株式会社インターナレッジ・パートナーズ IKP税理士法人

ストック・オプションの設計

現在、こちらのアーカイブ情報は過去の情報となっております。取扱いにはくれぐれもご注意ください。

4.ストック・オプションの設計概論

ストック・オプションを設計するにあたっては下記のような条件を設定する必要があります。

 

・付与対象者

・設計パターン(税制適格ストック・オプションor税制非適格ストック・オプション、有償発行or無償発行など)

・付与数

・権利行使価格

・権利行使期間

・その他追加条件(付与対象者が退職した場合・死亡した場合にどうするかなど)

 

これらの条件を設定するにあたっては(特に設計パターンを選択するには)、ストック・オプションの法務・会計・税務・バリュエーションの知識が不可欠です。

特に設計パターンについては、法務・会計・税務・バリュエーションの話が複雑に絡み合いながら展開されていくので、まずは法務・会計・税務・バリュエーション上どんな論点があって、今自分がどの論点にいるのか確認する必要があります。

 

それではどんな論点があるのかさらっと見てみましょう。

 

まずは法務について。 ストック・オプションも新株予約権の一種のため、新株発行で当然に出てくる会社法上の論点について検討する必要があります。 まず代表的な会社法上の論点は、ストック・オプションを公正発行するのか、有利発行するのかです。

 

また、ストック・オプションを有償発行するのか、無償発行するかという論点もあります。

 

この論点、分かりづらいのですが、ストック・オプションの付与を法律上、まずいくらの報酬権利をあげ、そしてその報酬権利と相殺する形でストック・オプションを付与するという論理構成をとるのか、そもそも報酬としてストック・オプションを××株あげるというように、ストック・オプション自体を追加的な報酬と考える論理構成をといるのかという論点です。

 

要は論理構成をどうのように捉えるかです。

 

またストック・オプションも新株予約権の一種として、会社法上株式発行に準じた手続きが求められるため、株主総会や取締役会の決議や議事録の作成などどのような法定手続が必要とされるかという論点もあります。

 

さらに、ストック・オプションも新株予約権の一種のため、有価証券として金融商品取引法上の募集規制に該当する場合があるので金融商品取引法上の論点もでてきます。

 

続いて会計について。 ストック・オプションを付与したという経済行為は企業会計上どのように処理するべきか(費用として認識するのか、それとも認識しないのかなど)という論点です。

これが会計上の論点です。 企業会計の話のため、ストック・オプションという経済的事象について企業側がどのように認識するかという論点になります。

 

続いて税務について。

ストック・オプションよって付与対象者は経済的利得を得ることになりますし、付与者である会社は逆に経済的利得を与えていることになります。 そのため、付与対象者が得た利得と付与者が与えた利得に対しての課税関係が当然に論点になります。

 

この課税関係の主なテーマは、付与対象者が得た利得についていつのタイミングで課税されるのか、何の所得として課税されるのか(これにより税率も変わってきます)、発行側としては損金に算入することができるのかです。 これらの違いについて、税法上、税制適格ストック・オプションと税制非適格ストック・オプション(原則的な課税関係)の2種類が制度上用意されており、どちらの制度のストック・オプションがいいのか、また、その制度の要件はどんなかが税務上の主要論点になってきます。

 

最後にバリュエーション(評価)について。

ストック・オプションを企業が付与するわけですから、当然いくらの価値のものを付与対象者に与えているのか、その評価方法・評価結果が論点になってきます。 評価方法として、ブラック・ショールズモデルや格子モデル(二項モデルなど)、モンテカルロ・シミュレーションが登場します。

 

その他、法務・会計・税務・バリュエーション以外にも下記のような論点がありますので、どこかで解説することになると思います。

 

■上場準備会社の場合、証券市場規則や上場審査基準に抵触しないように設計する必要がありますので、証券市場の規則にかかわる論点。

■未公開企業がストック・オプションを導入する場合の留意点。

■プライベート・エクイティ・ファンドが投資先にストック・オプションを導入する場合の留意点。

■税制非適格ストック・オプションでも税制適格ストック・オプションの効果を享受するためにはどのようなスキームで設計すればいいのか。

■エキゾチック・ストック・オプションとして設計する場合。

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