連結納税制度は現在終了しており、グループ通算制度へ移行しております。グループ通算制度については、グループ通算制度をご覧ください。
クライアントの課題
連結納税によるグループ全体での納税額の最適化。
当社はIKPの税務顧問先であり、持株会社が国内製造子会社、海外製造子会社、国内販売子会社及び商社機能子会社等の複数子会社を保有してグループ経営を行っていた。また、持株会社が新規で企業買収を行ったり、新規に法人を立ち上げ
新規事業を行ったりしていた。
当社は、国内製造子会社と国内販売子会社が安定して多額の利益を計上している一方、商社機能子会社には繰越欠損金があり、新規法人では赤字が先行していた。そのため、グループ内の一部の会社では多額の納税が発生する一方、その他の会社では納税がゼロという状況であり、グループ全体での納税額を最適化する方法を模索していた。
IKPのソリューション
グループでの連結納税の導入を提案。連結納税の要件とメリット・デメリットの提示し、連結納税によるタックスインパクトを具体的に計算。連結納税の導入の意思決定をサポートするとともに、具体的な導入プロジェクトを推進。
IKPではクライアントの課題について連結納税の導入を提案した。連結納税は、完全支配関係にある内国法人が適用の対象となることや適用開始の日の3ヶ月前までに税務署へ届出を行う必要がある。また、繰越欠損金を有する子法人は、その繰越欠損金を引継ぐための要件が定められている。さらに、決算日が異なる子法人は、親法人の事業年度に合わせて決算数値を作成する必要がある。
IKPでは、次のような要件や制約を整理した上で、連結納税導入のメリット・デメリットをクライアントに提示し、連結納税によるインパクトを具体的に計算。連結納税の導入意思決定をサポートした。実際の連結納税導入に当たっては、決算期が異なっている子法人については決算期を統一し、各社の経理フローの見直しを行い経理事務の負荷軽減を行った。
連結納税導入にあたっての主たる検討要素
■適用法人の範囲
- 連結納税が適用される法人はどれか?
- 親法人(内国法人)と完全支配関係にある内国子法人を連結納税グループに入れる
- 外国法人や完全支配関係にない内国法人は連結納税グループに入れない
■適用開始の時期
- いつから連結納税を適用するか?
- 連結納税を開始する事業年度の開始の日の3ヶ月前までに税務署に届出をする必要がある
■適用法人による損益通算の可能性
- 連結納税適用法人内で所得が出る法人と欠損が出る法人が両方存在する見込みか?
■連結納税開始時の時価評価対象法人の有無と影響
- 連結納税開始にあたって保有資産の時価評価が必要になる子法人があるか?
- 保有資産の時価評価の影響はどうか?
- 例えば、評価損により繰越欠損金が発生した場合、その繰越欠損金は連結納税開始にあたって切り捨てられてしまう
■繰越欠損金の引継要件
- 子法人が保有する繰越欠損金は、連結納税開始後も引き継ぐことができるか?
- 例えば、5年前から継続して完全支配関係がある子法人の繰越欠損金は引き継ぐことができる(ただし、当子法人の所得を上限に使用可能)
■決算日が異なる子法人への対応
- 連結納税開始までに子法人の決算期を統一するか?
- 決算期が異なる子法人は、親法人の決算期に合わせて決算数値を作成する必要があり事務負荷が高い
■買収による子会社化の方針
- 今後、買収によって子会社化する方針があるか?
- 100%子会社として買収する場合は、原則として連結納税開始時の時価評価が必要になり、また、繰越欠損金を引き継ぐことが出来ない
■新規子会社設立の方針
- 今後、新規に子会社を設立する方針があるか?
- 100%子会社として設立し、当面欠損(赤字)が見込まれる場合、他の連結納税適用法人の所得と相殺することが可能
■その他個別税制への影響
- 連結納税開始により個別税制への影響はないか?
- 例えば、親法人の資本金の金額によっては、子法人において単体納税で得られていた税務メリットが得られなくなる可能性がある(繰越欠損金の使用限度など)