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昨日に引き続き、日経朝刊11面「企業戦略 突破口を探る」から。
今日は、ブリジストンの話題からですね。
<2012年8月23日 日経朝刊11面、記事要約>
・ブリジストンはタイヤの原材料を大幅に見直す。
・2050年をめどにゴム原料のほぼ半分を占める石油の使用をゼロにし、従来型天然ゴムの使用比率も低減。材料の再利用や新しい食物原料で置き換える。
・7月、アリゾナ州で東京ドーム24個分(約113.7ヘクタール)の試験農場を購入し「グアユール」という木を栽培。乾燥地帯でも栽培できる。
・ロシアタンポポからゴムを生産する技術開発にも着手。
・味の素と共同で微生物を使って植物からゴム成分を作り出す開発も始めた。開発コストはかかるが「調達ソースを増やせば原料調達コストを安定させられる」(津谷正明CEO)。
・ブリヂストンの業績は好調。12年1~6月期は営業利益が過去最高益の1338億円を計上。通期も営業・経常利益ともに最高益の見通し。売上は仏ミシュランを抜き世界最大で利益もほぼ並ぶ。
・50年には世界の自動車保有が現在の約2倍の20億台になる見込み。ただ、需要拡大と収益増加に結び付くとは限らない。
・原材料メーカーの価格交渉力が強く、ブリヂストンはタイヤを値上げした。
・12年の全社の研究開発費は850億円。新しい原材料の開発へ重点的に資金や人材を振り向け、安定調達できる体制をいち早く構築。ミシュランなど2位以下を引き離す考え。
・原材料の見直しは仏ミシュランや3位の米グッドイヤーなども力を入れている。
<記事要約はここまで>
今日は、ブリヂストンと国内のタイヤ業界について簡単にみていこうと思います。
◆国内のタイヤ業界のステータス
国内のタイヤ業界のステータスは次のとおりです。
【単位:百万円、営業利益率はパーセント】
企業名 | ブリヂストン | 住友ゴム工業 | 横浜ゴム |
---|---|---|---|
証券番号 | 5108 | 5110 | 5101 |
会計基準 | 日本 | 日本 | 日本 |
決算期 | 12月 | 12月 | 12月 |
特徴 |
世界トップ企業。利益水準でも仏ミシュランと並ぶ。 |
『ダンロップ』ブランドで展開。世界3位の米グッドイヤーと日米欧で合弁展開している。スポーツセグメントは全体の10%程度の比率が高いのも特徴的。 |
『アドバン』ブランドで展開。 |
直近決算の状況(2011年12月期) |
|||
売上高 |
3,024,355 |
676,903 |
519,742 |
営業利益 |
191,321 |
53,924 |
29,490 |
当期純利益 |
102,970 |
28,386 |
13,923 |
営業利益率 | 6.33 | 7.97 | 5.67 |
今期(2012年12月期)の業績予想 | |||
売上高(予) | 3,130,000 | 715,000 | 576,000 |
営業利益(予) | 287,000 | 67,000 | 49,000 |
当期純利益(予) | 172,000 | 32,000 | 30,000 |
営業利益率(予) | 9.16 | 9.37 | 8.50 |
財務データベース | |||
財務DB(年度) | ブリヂストン.pdf | 住友ゴム工業.pdf | 横浜ゴム.pdf |
規模ではブリヂストンがダントツですが、住友ゴム工業は営業利益率が高いですね。
当期予想では、3社とも売上高営業利益率が9%前後と高い営業利益率に回復するようです、
◆ブリヂストンの最近業績推移
ブリヂストンの最近の業績推移は次のとおりです。
<売上高推移>
【リソース】IKP財務データベースよりグラフ化。
<利益推移>
【リソース】IKP財務データベースよりグラフ化。
売上、利益ともに2009年12月期のリーマンショックから回復してきていますね。
特に利益では、高い利益水準に回復してきているのがわかります。
日経の記事にもあったように、過去最高益を予想しており、業績の良さがうかがえますね。
<ROA・ROE推移>
【リソース】IKP財務データベースよりグラフ化。
ROA・ROEは、日本の製造業の業界標準といてるでしょうか。
ROA・ROEともに、2ケタとまではいかないようですね。
<CF推移>
ブリヂストンの特徴的なのは、継続した投資CFの多さでしょうか。
日経の記事にも継続的な研究開発費の話題が出てましたが、次の一手のために投資を怠ることなく十分にキャッシュをあてているのがわかります。
ブリヂストンは日本を代表するタイヤメーカーとして世界のトップを走っています。
原材料高騰はさまざまな分野で問題が顕在化してきており、人口増、発展途上国のますますの成長に伴い、リスクが高まることが予想されます。
以前のBizBlogでは、味の素を分析した際に、ブリヂストンとの共同研究に触れました。
味の素は別分野の企業ですが、味の素は味の素としてグローバル企業へ成長していくために、「次の一手」に十分な経営資源を投入しています。
常にトップを走るために、「次の一手」を模索していくことが大事なのでしょう。
以 上
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