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2012/08/17 米小売り、値引きで消耗戦 ウォルマート独走

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今日は、本日の日経朝刊7面、米国の小売りの話題から。

 

<2012年8月17日 日経朝刊7面 要約記事>


・米小売業界が値引き競争による消耗戦の様相を呈してきた。景気回復ペースが緩やかで消費者の低価格志向が進行。

・こうした中で、資本力で値引き戦略を展開する世界最大手ウォルマートが復調してきている。

・ウォルマートは価格の値下げと商品の充実という両輪がかみ合う形となり「ウォルマート」部門の既存店売上高は今年5-7月期まで四半期連続でプラスを記録。2011年前半まで続いた低迷から脱し「完全復活の道」を歩んでいる観がある。

・「低価格化」は小売業界で最も重要なキーワード。1ドルショップが健闘しているのもその表れ。

・米国経済は住宅部門で薄日が差す半面、雇用の改善は思うように進んでいない。米個人消費は金融危機後の伸び悩みから脱していない。


<記事の要約はここまで>

 

米ウォルマートは小売業者の最大手ですね。

今日は、簡単にウォルマートの業績推移について確認したいと思います。

◆ウォルマート(Wal Mart Store)の財務状況

ウォルマートといえば、日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、西友(SEIYU)の親会社ですね。

西友はもともとセゾングループですが、セゾングループ解体に伴い、ウォールマートグル―プ傘下となり、2007年のTOB実施に伴い完全子会社化されました。

ウォルマートの財務状況は次のとおりです(決算期は1月決算)。

 

<最近5カ年売上高推移>

【リソース】Wal Mart Storeの10-Kより筆者集計。

 

ここ5年間の売上は約20%の伸びですから、順調に復活している観があります。

それにしても、35兆円の売上はすごいですね。

この後、確認しますが、日本のセブン&アイHDやイオンでも5兆円ですから、その大きさがよくわかります。

 

 

<最近5カ年利益推移>

【リソース】Wal Mart Storeの10-Kより筆者集計。 

 

売上増加に伴い利益も順当に増加しています。

最終利益ベースで、約150億ドル(約1兆2500億円)を計上しており、規模の大きさがわかります。

売上高最終利益率は3%程度なので、小売業界の平均的な利益率といえます。

 

 

<在庫回転率(日数)>

 

【リソース】Wal Mart Storeの10-Kより筆者集計。 

 

特徴だったことはありませんが、在庫の回転率と自己資本利益率を簡単に確認しておきます。

在庫回転期間はほぼ30日前後で推移しており、安定した在庫管理ができていることがわかります。

自己資本比率もそれほど大きく上下しておらず、安定した財務状況であることがわかります。

2011年には約140億ドルをこえる自己株式の取得が行われており、それにより若干、自己資本比率が下がっています。

 

<最近10四半期売上高推移>

 

【リソース】Wal Mart Storeの10-Kより筆者集計。

 

最近10四半期の推移です。

第4四半期は、クリスマス商戦で季節変動として売上が増加しやすい時期となっていますので、同期比を下のグラフで確認してみましょう。

 

 

<最近10四半期利益推移>

 

【リソース】Wal Mart Storeの10-Kより筆者集計。

 

 これをみると、2013年1月期まで、第1四半期・第2四半期ともに前年同期比を上回る売上を達成していることがわかります。

 

日経の記事にもあったように、ウォルマートが復活している観が財務状況からも把握することができます

最後に、日本の小売大手のセブン&アイHDとイオンと直近の年度業績で比較してみましょう。

 

ウォルマート(米)

セブン&アイ(日)

イオン(日)

直近期(通期) 2012.1 2012.2 2012.2
適用会計基準 US-GAAP J-GAAP J-GAAP

Total sales and revenue/売上高

443,854 millions $

(35,197,622百万円

4,786,344 百万円

5,206,131 百万円

Operating income/営業利益

26,558 millions $ 

(2,106,049百万円)

292,060 百万円

195,690 百万円

売上高営業利益率

5.98% 

6.10%

3.76%

Net income/当期利益 ※

15,766  millions $

(1,250,244百万円)

129,837 百万円

66,750 百万円

Cash and cash equivalents

/現金・現金同等物

6,550 millions $

(519,415百万円) 

733,707 百万円

166,277 百万円

Total assets/資産総額

193,406 millions $

(15,337,096百万円) 

3,889,358 百万円

4,048,937 百万円

Stockholders' equity/株主資本 ※

71,315 millions $

(5,655,280百万円) 

 1,860,954 百万円

1,282,066 百万円

 

これをみても、ウォルマートの大きさがわかりますね。

イギリスのテスコでも売上高8兆円ぐらいですから、群を抜いていることがわかります。

 

最近は欧州機器も若干落ち着き、米国の景気回復期待があるものの、住宅バブルの頃の米国個人消費は強さがありません。

雇用統計も一進一退で、バーナンキFRB議長も金融緩和政策の落とし所が難しいところでしょうか。

値引き合戦による価格競争は、見方をかえるとデフレ経済のスタートともいえます。

おそらく、日本経済のようなデフレになることを回避するために、金融緩和政策を実施していくのでしょうが、米国もまた今までにない超低金利に入っています。

金利政策は為替問題にも波及しますので基軸通貨であるドルも安易なインフレ政策はとりずらいでしょうし、「強いドル」信奉が根強いともききます。

 

今後もウォルマートの業績や業績見通しに注視していきたいですね。

以  上

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