株式会社インターナレッジ・パートナーズ IKP税理士法人

2012/08/14 ウォシュレット海外投入早く TOTO、基幹部品共通に

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今日は、本日の日経朝刊10面のTOTOの記事からです。

 

【記事要約】


・TOTOは温水洗浄機付き便座「ウォシュレット」の新製品を世界でほぼ同時に発売する体制をつくる

・基幹部品を世界共通にすることで、日本で発売後に海外で発売するまでの期間を現行の「2~4年後」から「半年~1年後」に短縮する。

・温水洗浄便座は米国が発祥だが、TOTOやLIXILなど日本企業が技術力で先行している。米トイレ最大手のコーラ社が韓国の温水洗浄便座大手ノビタを買収するなど競争環境が激化する中、TOTOは富裕層の住宅やホテルなどに拡販してシェア拡大を目指す。新興国の所得水準の向上で、温水洗浄便座は世界に広まりつつあり、海外での製品投入を速めて競合他社に対応する。


  

ウォシュレットといえば、今や日本が誇る文化の一つといっても過言ではありません。

日本へ来て衝撃をうける外国人観光客も多いとも言われます。 

 

「ウォシュレット」は、TOTOが発売している温水洗浄便座の登録商標ですが、今や他社製品も含めその名は定着しています。その成り立ちはというと、米国からの輸入によって温水洗浄便座(ウォッシュエアシート)の販売を行っていたTOTOがこれに目をつけ独自に研究開発を進め清潔好きな土壌を持つ日本での普及が見込めることなどから、1980年に発売を開始しました。特に肛門位置などの数値データは存在していなかったので社員などの協力を得てデータを収集し、噴出位置を設計するという工夫をこらしたとのこと。(Wikipediaなどより)

そんなトイレや洗面所やバスルームなどの衛生陶器といえばTOTOINAXブランドをもつLIXILグループ(旧住生活グループ)ですね。

まずは大手2社のステータスを俯瞰してみてみます。

 

LIXILグループ

(旧 住生活グループ)

TOTO
証券番号 5938 2181
直近通期  平成24年3月期  平成24年3月期

直近売上高(百万円)

1,291,396

452,686

直近営業利益(百万円)

17,915

18,779

直近営業利益率(%)

1.38

4.14

直近経常利益(百万円)

16,125

19,536

直近当期純利益(百万円)

1,868

9,270

海外売上高比率(%)

10%未満のため省略

14.59
個社年度財務情報(当社DB) 住生活グループ_通期.pdf

TOTO_通期.pdf

衛生陶器事業の属するセグメント名 水回り設備事業 住宅設備機器事業

衛生陶器事業の属する直近セグメント売上高

(百万円)

370,451 443,876

衛生陶器事業の属する直近セグメント営業損益

(百万円)

11,473 18,332

衛生陶器事業の属する直近セグメント営業損益率

(%)

3.09

4.12

 

製品ラインも多岐にわたるため、規模こそLIXILグループが圧倒的ですが、 トイレや洗面所やバスルームなどの水回り事業では、規模および利益率の点でTOTOが上回っています。また、海外展開もTOTOは進んでいることもわかります。

 

ちなみに、LIXIL(リクシル)グループは、旧住生活グループで、2012年7月に商号変更しました。もともとは、トステムINAXが統合して誕生した住宅設備機器の総合大手ですが、2011年4月にトステム、INAX、TOEX、新日軽、サンウエーブ工業を統合しLIXILを発足を機に、持株会社もLIXIグループに商号変更しています。

 

LIXILグループは、トイレなどの衛生陶器以外にも、サッシやキッチン、バスルームなどにも強く、事業内容も多岐にわたるため、売上規模は実に1兆円を超える巨大住宅設備企業となっています。

 

一方、TOTOは、トイレや洗面所、バスルームなど衛生陶器に強いメーカーで、森村グループの一員です。

 

森村グループとは、森村市左衛門と森村豊兄弟の両氏によって創立された現在のノリタケカンパニーリミテドを中心とする日本の陶磁器産業を代表する企業集団で、その沿革について調べると興味深い情報があります。

 

以下、ノリタケカンパニーリミテドのHPからの抜粋です(http://www.noritake.co.jp/company/morimura/history.html)。

 

『森村グループの歩みは、1904年(明治37年1月)、日本陶器合名会社 (のち日本陶器(株)、現在(株)ノリタケカンパニーリミテド)が森村組の創業者らによって設立されてからであり、その後、1917年(大正6年5月) に、同社の衛生陶器部門を分離して東洋陶器(株)(現在、TOTO(株)が、ついで、1919年(大正8年5月)に碍子部門を分離して日本碍子(株) (日本ガイシ(株))が設立されました。
同じ年(大正8年5月)に、大倉陶園(現在、(株)大倉陶園)、1924年(大正13年2月)には伊奈 製陶(株)(現在、(株)INAX。平成13年10月、トステムと統合)が、その後も1936年(昭和11年9月)日東石膏(株)(1985年(昭和60 年6月)ノリタケカンパニーリミテドに合併)、同年10月、日本特殊陶業(株)(日本ガイシNGK点火栓部門等より分離独立)、共立原料(株)(現在、共 立マテリアル(株))などが設立され、こんにちの森村グループの基礎が形成されるにいたりました。』

 

(抜粋ここまで)

 

衛生陶器の2大ブランドであるTOTOとINAXの出発点は森村グループの創業者らによって設立された現在の高級食器で有名な「ノリタケカンパニーリミテド」が母体だったとは驚きですね。TOTOは、森村グループの衛生陶器事業として分離、INAXはタイル事業として設立されましたが、その後INAXは森村グループから離れ住生活グループに属するようになったようです。

最後にTOTOの業績についてもう少し詳しく見てみます。

 

住宅着工戸数の減少ともに業績は低迷していましたが、ここ数年は住宅エコポイント制度などの政策の追い風もあり持ち直しています

しかし、住宅エコポイントも終了し今後はその反動による落ち込みが懸念されます。

さらにセグメント情報を見てみます。 

 

今回の記事であったとおり、TOTOは海外展開に力を入れています。特にここ数年中国での成長率が大きいようですね。

経済成長にとともない富裕層も増加、もともと同じアジアということで日本のトイレや衛生文化が受け入れられ易かったのかもれませんね。

 

そうはいってもTOTOの海外売上高比率も決して高いとはいえず、今後の伸びシロに期待したいところです。特にトイレは今や日本が誇る文化の一つといっても過言ではありませんので、今後その文化を世界にどれだけ発信しけるのか、楽しみです。

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