現在、こちらのアーカイブ情報は過去の情報となっております。取扱いにはくれぐれもご注意ください。
今日は、2012年8月4日(土)の日経朝刊1面、9面のトヨタ自動車の記事からです。
<2012年8月4日(土) 日経朝刊1面、9面 記事要約>
・トヨタ自動車が3日発表した2012年4月~6月期の連結決算(米国会計基準)は、純利益が2903億円となり、東日本大震災で生産に打撃を受けた前年同期(11億円)から急回復した。
・北米やアジアで販売が伸び、国内もエコカー補助金効果で好調だった。
・売上高は前年同期+60%の5兆5015億円。世界販売台数は、約226万9千台とリーマンショック前の08年を上回り、過去最高を更新。
・営業利益は前期赤字3000億円を超す黒字に浮上。700億円のコスト削減で、販売の急回復をそのまま純利益につなげた。
・5年ぶりの営業利益1兆円回復に向けてまずまずのスタート。
・ただし、エコカー補助金は8月中にも終了、欧州では販売が伸び悩みはじめ、欧州不安が世界景気にどこまで波及するかまだ読み切れない。円高も懸念材料。
<記事要約はここまで>
トヨタ自動車が好調のようですね。
今日は、トヨタ自動車の第1四半期の内容を簡単に確認しましょう。
◆自動車各社の第1四半期のステータス
日経9面にも大手7社の第1四半期の結果が掲載されていますが、ここでも簡単に俯瞰しておきましょう(ただし、富士重工は除く)。
【単位:百万円、営業利益率はパーセント】
企業名 | トヨタ | ホンダ | 日産 | スズキ | マツダ | 三菱自 |
---|---|---|---|---|---|---|
証券番号 | 7203 | 7267 | 7201 | 7269 | 7261 | 7211 |
会計基準 | SEC | SEC | 日本 | 日本 | 日本 | 日本 |
特徴 |
世界トップ企業。ハイブリッド車、電気自動車など広範。BMWとの提携でディーゼルエンジン調達。 |
世界の二輪車のダントツ。ハイブリッド車を投入。欧州債務危機により、欧州業績は悪化。 |
日産「リーフ」で電気自動車を投入。ハイブリッド車も。ルノー連合。 |
軽自動車が強い。独立性の意識が高く、VW社との資本提携も問題になっている。また、インド工場の暴動で未だ稼働できず。 |
EVとHVに出遅れ感があったが、『第3のエコカー』を仕掛け巻き返し。トヨタとHV技術のライセンス契約。ただし、昨年度大幅赤字で増資実施。 |
電気自動車「アイミーブ」を投入。2004年に起こったリコール問題もひと段落。 |
第1四半期の状況(上段:当期、下段:前年同期比(前期がマイナスの場合は金額)) |
||||||
売上高 |
5,501,573 (+59.9) |
2,435,909 (+42.1) |
2,136,359 (+2.6) |
644,765 (+6.2) |
506,615 (+24.1) |
419,296 (▲2.9) |
営業利益 |
353,143 (▲107,963) |
176,013 (+679.5) |
120,675 (▲19.7) |
35,648 (+39.4) |
1,800 (▲23,086) |
14,933 (+22.1) |
四半期純利益 |
290,347 (249倍) |
131,723 (+314.3) |
72,277 (▲15.0) |
24,470 (+30.6) |
▲8,879 (▲25,841) |
19,957 (+367.3) |
営業利益率 | 6.4 | 7.2 | 5.6 | 5.5 | 0.3 | 3.6 |
来期(2013年3月期)の業績予想 | ||||||
売上高(予) | 22,000,000 | 10,300,000 | 10,300,000 | 2,600,000 | 2,200,000 |
1,980,000 |
営業利益(予) | 1,000,000 | 620,000 | 700,000 | 120,000 | 30,000 | 80,000 |
当期純利益(予) | 760,000 | 470,000 | 400,000 | 70,000 | 10,000 | 13,000 |
営業利益率(予) | 4.5 | 6.0 | 6.8 | 4.6 | 1.3 | 4.0 |
財務データベース | ||||||
財務DB(年度) | トヨタ.pdf | ホンダ.pdf | 日産.pdf | スズキ.pdf | マツダ.pdf | 三菱自.pdf |
上表をみても、自動車全般で回復しているのがわかります。
日産は北米・欧州での販売費がかさみ、営業減益となっています。
マツダは赤字額が大幅に縮小していますね。
三菱自動車は、大幅増益ですが減収となっています。
◆トヨタ自動車の第1四半期
トヨタ自動車の第1四半期の決算発表資料から第1四半期と今後の業績見通しについて確認しようと思います。
下記の図・グラフは2012年8月3日トヨタ自動車公表「2013年3月期第1四半期決算説明会」資料から抜粋です。
■リンク先 http://www.toyota.co.jp/jpn/investors/financial_results/2013/
<連結販売台数>
【リソース】トヨタ自動車公表『2013年3月期第1四半期決算説明会 』p5
連結販売台数は前期1221千台からほぼ倍増の2269千台となっています。
北米・日本の伸びが大きく、アジアやその他地域でも順当に増加させています。
欧州は増加しているものの、やはり元気がないですね。
<連結当期純利益の増減要因>
【リソース】トヨタ自動車公表『2013年3月期第1四半期決算説明会 』p7
販売増加による利益増加がもっとも大きく4400億円の増益要因。
原価改善も700億円と大きな増益要因となっています。
為替変動による影響は▲400億円となっており、円高が業績を圧迫しているのがわかります。
<所在地別営業利益>
【リソース】トヨタ自動車公表『2013年3月期第1四半期決算説明会 』p8
販売台数の伸びと同様、各国ともに営業利益が大幅に改善しています。
日本では3137億円の回復をとげ、前期▲2066億円から1071億円まで回復しています。
ここでもやはり欧州の回復が弱いのが確認できます。
業績見通しでは、年間の連結販売台数は8800千台と100千台の増加にとどめています。
業績そのものは売上・利益とも据え置きで、営業努力や原価改善の800億円の増益見通しも為替変動などの影響により800億円の減益見通しを示し前回の業績見通しと変わらず、という結果になっています。
世界の自動車業界では、米GMも41%減益、仏ルノーも40%減益、仏PSAは最終赤字に転落し大規模なリストラを実施するなど、ブレーキがかかっています。
欧州債務危機による欧州での不振が最も大きな要因です。
本日の日経1面にも「日本車、欧州の提携縮小」ということで欧州関連の記事が大きく取り上げられていましたが、いすゞ自動車や三菱自動車、マツダのOEM供給はエンジン調達が打ち切りとなっていることから、欧州債務危機が大きく実体経済に影響を与えてきているのがわかります。
ホンダでは、第1四半期では、欧州セグメントでは減収減益となっており、前期61億円の赤字が76億円の赤字へ拡大しています。
トヨタも業績好調でありながら、欧州債務危機による世界経済の景況が不透明ということで業績見通しは据え置き。
自動車産業はすそ野が広く、経済・雇用を支える大黒柱的な産業です。
今後の自動車各社の動きに注視していきたいところですね。
以 上
【関連記事】
現在、こちらのアーカイブ情報は過去の情報となっております。取扱いにはくれぐれもご注意ください。