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今日は、7月28日(土)の日経朝刊2面、フェイスブックの決算の話題から。
【記事要約】
・SNS最大手の米フェイスブックの株価が「低空飛行」を続けている。
・上場企業として初めての決算だった4-6月期は売上高が前年同期比32%増の11億8400万ドルと堅調だったが、発表翌日の27日は株価が急落した。
・一時、前日比15%強安い22ドル台前半まで下がり、上場来安値を更新。
・4-6月決算は、売上こそ伸びたが上場関連の一時的費用を除いた実質的な純利益は前年比4%増にとどまった。
・広告主の間では「効果があるのか」という疑問が浮上。
・所得水準が高く収入への貢献が大きい欧米の利用者数も伸び悩み。4-6月期は北米の増加率は10%、欧州が16%、アジアその他地域は40%以上。
・幹部は今後の収益見通しへの具体的な言及を見送った。「自信のなさの表れだ」と受け止められた。
<要約記事はここまで>
今年の最も注目を集めた世界の上場ニュースといえば、今年5月にNASDAQへ上場したFacebookではないでしょうか。
■2012年5月17日 Facebook公表 Facebook Announces Pricing of Initial Public Offering
【リソース】Facebook HPより。
そのFacebookが上場して初の四半期決算発表ということで、注目を集めていましたが、結果は期待したほどではなかったというのが関係者の共通認識のようです。
今日は、そんなFacebookについて、簡単に財務情報を確認してみようと思います。
◆Facebook(フェイスブック)の業績推移
Facebookの業績推移について、簡単に確認していきましょう。
<年度売上推移>
【リソース】Registration Statement より。筆者集計。
5カ年の売上高推移です。
2007年度が153百米ドル(約119億円)から2011年度で3711百万米ドル(約2908億円)と24倍となっています。
売上高成長率(前期比)を折れ線グラフで示していますが、2009年度、2010年度と100%成長を達成していたのが、2011年度では100%成長を達成できず、90%を切るぐらいになっています。
<年度利益推移>
【リソース】Registration Statement より。筆者集計。
2008年度を最後に黒字転換し、2010年度、2011年度とIncome from operations及びNet incomeもともに大幅増加しているのがわかります。
さて、ここで四半期ベースでの成長率を確認してみましょう。
<四半期ベース売上推移>
【リソース】Registration Statement 、Qurter Resultsより。筆者集計。
※売上成長分析は、季節変動が存在しない前提で前年同期比ではなく前四半期との増減比較としています。
四半期ベースでの売上推移です。
売上をAdvertising revenueとPayments and other fees revenueに分解しています。
Payments and fees revenueは、プラットフォームビジネスによる収益で、Zyngaのソーシャルゲームが大半です。
折れ線グラフの成長率は売り上げ全体の成長率となっていますが、2012年第1四半期では2011年第4四半期比で▲6.5%となっています。
前年同期比(2010年度第1四半期と2011年第1四半期比)では、+44.7%です。
直近の2012年度第2四半期は、2012年度第1四半期比で+11.9%、前年同期比では+32.3%となっています。
さて、一方で、ユーザー数の推移を確認してみます。
<Monthly Acitive Usersの推移>
【リソース】Registration Statement 、Qurter Resultsより。筆者集計。
<Daily Active Usersの推移>
【リソース】Registration Statement 、Qurter Resultsより。筆者集計。
Facebookではユーザ数について2つの指標を利用しており、月次アクティブユーザー数(MAUs)と日次アクティブユーザー数(DAUs)です。
MAUsは、2009年度第1四半期で約2億人だったのが直近では約9億5千万人まで成長しているので、3年半で約4.8倍の増加となります。
MAUsの増加率を売上増加率の比較グラフです。
<MAUs増加率・売上増加率>
【リソース】Registration Statement 、Qurter Resultsより。筆者集計。
2010年第1四半期から並べてみると、MAUの増加率は二桁を割り込み、直近で5%弱となっています。
目に見えて成長率は少し陰りが出ているかもしれませんね。
日経の記事では欧米等の増加率が鈍化していると掲載されていましたが、発展途上国ではまだまだSNSの利用環境が整っているとは言い切れないので、国全体の経済の発展のスピードを勘案しながら、どういう形でアジア圏を含めた発展途上国を取り込んでいけるのかがポイントかもしれません。
四半期ベースの利益推移は次のとおりです。
<四半期 利益推移>
【リソース】Registration Statement 、Qurter Resultsより。筆者集計。
ここ3年半の四半期決算で、初の赤字計上となっています。
ただし、Share-based compensation expenseを除いたnon-GAAPの指標である利益もuseful supplemental informationとして公表しており、これだとIncome from operationsで515百万米ドル、Net incomeで295百万米ドルとなった模様です。
最後に株価推移をみてみましょう。
<Facebook 3カ月チャート>
【リソース】Morningstar
時価総額も直近で448億米ドル(約3兆5000億円)。
PBRは9.1倍、PERは55.3倍のようです(Morningstarより)。
日経の記事にもあったように、収益モデルをどう再構築できるかでしょう。
右端に少し出てるだけの広告は、利用者側からすれば利用しやすく便利なものでしょうが、広告主からすれば広告効果があるのかどうかを疑うのも仕方ないかもしれません。
また、スマホやタブレットへの対応にFacebookは若干出遅れている感は否めないので、モバイル利用者のマネタイズをどう確立していくのかも経営課題と言えるでしょう。
以 上
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