株式会社インターナレッジ・パートナーズ IKP税理士法人

2012/07/24 日清食品、トルコ進出

現在、こちらのアーカイブ情報は過去の情報となっております。取扱いにはくれぐれもご注意ください。

今日は、本日の日経朝刊11面の日清食品の話題から。

 

 

【記事要約】


・日清食品HDがトルコに進出。現地の食品大手のユルドゥズHDの子会社に出資。投資額は約24億円の見通し。

・ユルドゥズは約23万店の小売店と取引があり、この流通網を活用。

・トルコは手料理の習慣が根強く、即席食品はほぼない。ただ経済成長と共働き家庭の増加により市場の急拡大を見込む。

・進出5年目以降で現在の日本市場の5分の1に当たる年間10億食の販売を目指す。

・トルコは新興国の中でも1人当たりGDPが1万ドル強と比較的高く人口も年100万人ずつ増えている。

・日清ではトルコを足場に中近東と北アフリカの開拓も目指す。

(2012年7月24日付日本経済新聞朝刊11面より)


 

みなさんも「カップヌードル」でおなじみの日清食品。

日清食品がトルコへ進出するようです。

 

■平成24年7月24日 日清食品ホールディングス公表

トルコ共和国でのパスタ及び即席麺の合弁事業開始に関するお知らせ

【リソース】日清食品HDのHPより

 

今日は日清食品の財務状況について簡単に確認しようと思います。

◆日清食品ホールディングスの直近の状況

日清食品HDの直近の財務状況は、同業の東洋水産(「マルちゃん」で有名)と比較すると次のとおりです。

 

日清食品HD

東洋水産

証券番号

 2897

2875

直近期(通期) 2012年3月期 2012年3月期

売上高(百万円)

380,674

320,988

営業利益(百万円)

26,211

 25,514

当期純利益(百万円)

18,538

16,119

売上高営業利益率(%)

6.89

7.95

総資産(百万円)

414,714

 251,414

純資産額(百万円)

286,657

 186,665

ROA(総資本経常利益率)(%)

6.78

10.73

ROE(自己資本当期純利益率)(%)

 6.20

8.42

当社財務データベース

 日清食品HD個別財務情報.pdf

 東洋水産個別財務情報.pdf

 

会社規模からすると日清食品HDのほうが大きいですが、売上高営業利益率、ROA、ROEともに東洋水産の方が数値がよいことがわります。

東洋水産はROAで2桁台ですから優良企業と言えるでしょう。

◆日清食品ホールディングスの業績推移

日清食品ホールディングスの業績推移をグラフ化すると次のとおりです。

 

<売上高>

【リソース】IKP財務データベース

 

売上高は2009年3月期に落ち込んでいますが順調に回復路線にあります。

ただ、リーマンショック前の売上水準までは回復していない状況です。

 

中長期的には2018年度に7000億円を目指す計画となっています。

 

【リソース】日清食品HDのHPより。中長期計画。

 

<利益推移>

【リソース】IKP財務データベース

 

利益水準では、営業利益で約250億円オーバーという感じですね。

営業利益率ベースでは約7%ぐらいというところでしょう。

2018年度計画では売上7000億円、営業利益600億円なので営業利益率8.5%ということで、二桁営業利益を目指す、という感じではなさそうです。

 

<キャッシュ・フロー状況>

【リソース】IKP財務データベース

 

CF状況は健全で、2009年3月期、2011年3月期に設備投資で300億円ほどの投資を行っています。

2010年3月期では、設備投資がない一方で自己株式の買い受けを300億円ほどの規模で実施しているようです。

十分にCFは稼げているようですね。

 

<セグメント状況>

【リソース】IKP財務データベース

 

最後セグメント状況を確認します。

セグメントでは日清食品、明星食品(チャルメラ等)、低温事業と米州、中国地域というセグメントになっています。

中国でも高いシェアを誇っていますが、やはり土台となっているのは国内の日清食品セグメントとなっていますね。

 

ただ、売上7000億円レベルに行くには内需だけでは厳しい状況がわかっており、海外展開は必須であるとの認識にたっているものと追われます。

中期計画でも次の通り、基本方針に『海外力の拡大』がうたわれています。

 

 

【リソース】日清食品HDのHPより。中期計画。

 

 

この流れの中で、手料理文化が強く残るトルコへの進出を決めたのでしょう。

5年後に10億食という計画のようですが、文化ギャップを埋められるかが勝負のカギといったところでしょうか。

一昔前までは日本でも同じようなもので、共働きや食生活の変化により外食産業、中食産業が発展してきていますから、トルコでも普及する可能性は十分ありそうですね。

 

今後の日清食品の動きに注目していきたいですね。

以  上

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