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今日は、7月18日付日経朝刊の日立とLGの記事からです。
【記事要約】
・日立製作所は韓国でデータセンター事業を始める。韓国のLLGグループがソウル市内なでに持つデータセンターを活用し、韓国に進出する日本企業にクラウドサービスのほか、日本国内で蓄積しているデータを韓国でバックアップするサービスを提供する。
・データセンターはサーバーが正常に作動するように、室内温度を20度台に保つ必要がある。このため運用コストの約3割は電力料金で占め、電気供給が不安定で料金も上昇する懸念が高まっている日本でデータ管理に不安を募らせる顧客企業増えていた。
・韓国はデータセンター関連での人件費や施設費などが日本とほぼ同等とされるものの、電気料金が日本より3割~4割安いとされている。単純計算すると総コストは日本より1割程度安くなるとみられる。
・日立の海外でのデータセンター事業は今回が初めて。今後は東南アジアなどでも提携先を探し2年間で20か所程度に増やす計画。2015年に海外でのデータセンター事業で50億円の売上高を目指す。
(2012年7月18日付日本経済新聞朝刊9万)
同記事によると、日立製作所がデータセンターがデータセンターをアジア展開する第1歩として韓国を選んだのは、韓国が低コストをテコにアジアのデータ保管需要を活発に取り込んでいることが背景にあるとのことです。
国内外を結ぶインターネット環境の良さ、産業用電力の安さ、データセンター向けの電力料金の割引制度などインフラが充実しており、IT産業の集積するインドに比べ電力事情が安定するとともに、東南アジアより気温が低くサーバなどの冷却コストを抑えられる点が韓国の強みのようです。また、韓国全体で低コストをテコにアジアのデータ保管需要を活発に取り込んでいるとこのことです。
膨大な情報を解析して経営や商品開発、消費動向を分析する動きが拡大し、企業が扱う情報量は急激に伸びており、2020年にはデータ総量が現在の50倍になるとの試算もあるようです。(同記事より)
日立は情報システム関連ビジネスの重要性は高いため、今後の展開に注目です。
また、LGといえば韓国のエレクトロニクス産業でサムスン電子に次ぐ大手です。テレビの世界シェアでは、世界2位に位置しています。そこで、最後にLGグループの財務情報を簡単に見てみたいと思います。
LGエレクトロニクス(韓) |
|
直近期(通期) | 2011.12 |
適用会計基準 | K-IFRS |
Total sales and revenue/売上高 |
54,256,585 million Won (3,797,960 百万円) |
Operating income/営業利益 |
280,263 million Won (19,618 百万円) |
売上高営業利益率 |
0.51% |
Net income/当期利益 ※ |
△432,805 million Won (△30,296 百万円) |
Total assets/資産総額 |
32,658,457 million Won (2,286,091 百万円) |
Stockholders' equity/株主資本 ※ |
12,893,959 million Won ( 132,577 百万円) |
Cash and cash equivalents /現金・現金同等物 |
2,345,465 million Won (164,182 百万円) |
※ 日本円ベースは.07円/ウォンで簡便的に換算している。日本円換算数値はあくまで参考値。
※ 当期利益と株主資本は支配株主帰属分
売上高が4兆と巨大企業であることがわかりますが、営業利益率は1%を切り、さらに最終赤字と、あまり業績は芳しくないようです。
さらに、セグメント別業績を見てみます。
2009年まではテレビ事業(Home Entertainment)や携帯事業が業績を牽引してきましたが、テレビの価格競争の激化やスマートフォンへのシフトの遅れによって業績は急速に悪化しています。
この点、サムスン電子とは対照的で、むしろ日本のソニーやパナソニックと似ているといえますね。
ただし、ソニーやパナソニックと異なる点がテレビ事業の業績は悪化しているものの多額な赤字には転落しておらず、携帯事業が足をひっぱている点が大きく異なります。
日立の今後のデータセンターの海外展開とともに、携帯事業の不振をLGがどこまで挽回できるのか注目したいと思います。
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