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今日は、6月30日の日経朝刊の記事からです。
【記事要約】
・スマートフォンの普及を受け、南米でゲーム市場が開花しつつある。
・これまではゲーム機への関税などの影響でゲーム機自体が普及せず市場の低迷が続いてきた。ブラジルやアルゼンチンでは海外から輸入する家庭用ゲーム機に20%前後の関税を課す。工業製品税や商品流通税といった税も課されるため、例えばプレーステーション3は日本の2~3倍の価格で販売されている。ソフトの違法コピーも横行し、日本のゲーム会社が進出をためらう要因になってきた。
・スマホという新たな万人向けの「ゲーム機」の登場でゲームを楽しむ人が増加。カプコンやグリーなど日本のゲーム大手が相次ぎ進出し、未開の成長市場の取り込みを狙う。
・スマホの急速な普及で、ハード不足の問題が解消。南米主要7カ国のスマホ出荷台数は2011年に1億3200万台と2008年から7割増え、世界全体の3割弱を占めた。ゲーム機の世界出荷台数は年間2800万台程度で、これを大きく上回る数のハードが南米の消費者の手元にある。スマホに配信するゲームなら、違法コピーの不安もない。
・南米は欧米のゲーム市場と比べ競合が少なく、欧米のゲーム市場と比べ競合が少ない。
・交流サイト(SNS)が他の地域より普及しているといった特徴もある。
・日本勢はSNSと親和性の高いソーシャルゲームを得意としており、いち早く市場に参加して顧客の掘り起こしを進める考え。
・カプコンは13年度にもブラジルに現地法人を設立する方針を決め、それに先立ち同国やアルゼンチンなどで、子会社が開発した交流ゲームの配信を始めた。ブラジルを南米の中核拠点の位置づけ、現在4割程度の海外売上高比率を早期に5割以上に引き上げる。
・グリーは今年2月に設立したブラジル現地法人を軸に市場を開拓する。言語対応を順次進めて南米ユーザーの獲得を急ぐ。日本で培ったノウハウも生かす。
・ディーエヌエーは昨年10月にチリのゲーム開発会社を買収し、近くスマホ向け交流ゲームの配信を始める。
・セガも検討中、スクウェアエニックスも米国の関連会社を通じ本格参入する方針。
ゲーム業界では、ソーシャルゲーム大手のグリーやDeNAが注目あびていますが、スマートフォンの普及により、それ以外のゲーム機ソフトをメインとするゲーム会社にも大きなチャンスがでてきているようです。
任天堂やソニーなどのゲーム機ソフト大手のカプコン、スクウェアエニックスHDとソーシャルゲーム大手のグリーとディーエヌエーの業績を比較してみます。
カプコン |
スクウェアエニックス |
グリー |
ディーエヌエー | |
証券番号 | 9697 | 9684 | 3632 | 2432 |
直近期 | 2012年3月期 | 2012年3月期 | 2012年6月期(予想) | 2012年3月期 |
直近売上高(百万円) |
82,065 |
127,896 |
160,000~170,000 |
145,729 |
直近営業利益(百万円) |
12,318 |
10,713 |
80,000~90,000 |
63,415 |
直近営業利益率(%) | 15.01 | 8.37 | 50~52 | 43.51 |
直近経常利益(百万円) |
11,819 |
10,297 |
80,000~90,000 |
62,660 |
直近当期純利益(百万円) |
6,723 |
6,060 |
44,000~50,000 |
34,485 |
直近海外売上高比率(%) |
日本:68.61% 北米:21.12% 欧州:6.85% その他:3.40% |
日本:79.50% 北米:8.29% 欧州:10.30% アジア:1.88% |
海外売上高なし (23年6月期) |
海外売上高は 10%以下 |
モンスターハンターやバイオハザードのカプコン、ドラゴンクエストやファイナルファンタジーのスクウェアエニックスを抑えて、売上高規模、利益率でもソーシャルゲーム大手が上回っています。
ただし、海外進出という意味では、最近はグリーやディーエヌエーが海外企業の買収に乗り出していますが、まだまだゲーム機ソフト会社の方がリードしているようです。
カプコンの海外売上状況をみてみます。
まだまだ、海外売上では北米や欧州などの先進国が中心です。ニンテンドーDSやWii、プレイステーションなどハードのゲーム機が北米や欧州中心のため、それによる影響が大きいと思われます。
ただし、5年間の売上高成長率では、先進国以外のその他の地域が圧倒的に大きいことがわかります。
ソーシャルゲーム以外のゲームソフト会社にとっては、スマートフォンの爆発的普及はゲーム機のハード不足の解消という大きなビジネス構造の転換になります。
ゲーム機ソフト会社が、スマートフォン市場の成長を取り込めるかどうか注目ですね。
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