現在、こちらのアーカイブ情報は過去の情報となっております。取扱いにはくれぐれもご注意ください。
今日は、日経の特集「復活企業の研究」のアシックスの記事からです。
【記事要約】
・アシックスの2012年3月期は海外が牽引。今期も欧州の販売は2桁近く伸びる。2013年3月期の経常利益予想は200億円と、2007年3月期の最高益(221億円)も視野に入る。
・欧州は営業利益の4割弱を占める稼ぎ頭。五輪を契機に事業拡大を狙い、9月までに3カ国で相次ぎ大型店を出す計画。
・欧州では商品単価が高く、前期の欧州の売上高利益率は12%と日本のほぼ倍。景気は減速しているがランニング愛好家が多いため景気の影響を受けにくい。
・1990年代半ばには経営悪化に苦しんだ。海外販売で明確な戦略ため在庫は膨らむ一方だった。93年1月期~99年3月期まで最終赤字が続いた。事業立て直しのため販売体制の見直しとともに進めたのがブランド再生。
・経営資源をランニングシューズに集中、テニスや卓球のラケット、トライアスロン専用自転車など不採算事業は相次ぎ撤退。
・2002年には「オニツカタイガー」を25年ぶりに復活。創業者の鬼塚氏が品質にこだわって開発し、ナイキの創業者も同商品の輸入販売から事業を始めたという歴史をもつ。ブティックに並べたり映画俳優に履いてもらったり、パリコレのモデル履いたりしてブランド力を強化、欧州でヒット。
・こうした地道な努力が実を結びブランド再生と海外事業の拡大が業績拡大につながる好循環に入りつつある。
・海外売上高比率は63%とデサント(34%)、ミズノ(29%)を引き離す。
・国内でも基盤固めを急ぐ。オニツカタイガーをファッションブランドとしても育成。同ブランド直営店を増やし、直販商品の割合を高め利益率の底上げを狙う。
・五輪を契機に国内外でブランド力を磨く。
日本のスポーツメーカーの代表と言えばアシックスとミズノです。
世界レベルではナイキ(米)やアディダス(独)が圧倒的だと思いますが、ヨーロッパではシューズ分野において健闘しているようです。
ちなみに記事でできてきた往年のブランド「オニツカタイガー」について興味ある方は下記リンクを参考にしてください。
アシックスは昭和24年9月に鬼塚株式会社(神戸市)として設立、オニツカタイガーは創業時の「オニツカ」ブランドの流れを受け継いでいるようです。
■ オニツカタイガー http://www.asics.co.jp/onitsukatiger/
スポーツ用品大手4社(アパレル中心のデサントやゴールドウインは除いています)のステータスを見てみます。
アシックス | ミズノ |
ダンロップスポーツ (旧 SRIスポーツ) |
ヨネックス | |
証券番号 | 7936 | 8022 | 7825 | 7906 |
直近売上高(百万円) |
247,792 |
154,982 |
58,695 |
37,512 |
直近営業利益(百万円) |
19,628 |
5,498 |
2,855 |
1,237 |
直近営業利益率(%) | 7.92 | 3.54 | 4.86 | 3.29 |
直近経常利益(百万円) |
19,702 |
5,659 |
2,506 |
1,409 |
直近当期純利益(百万円) |
12,617 |
3,143 |
1,890 |
583 |
直近海外売上高比率(%) |
62.68 | 25.87 | 31.99 | 29.73 |
年度個社財務情報(当社DB) | ||||
年度比較財務情報(当社DB) | ||||
四半期個社財務情報(当社DB) |
||||
備考 |
スポーツ用品の総合メーカー。 スポーツシューズに強い。 |
スポーツ用品の総合メーカー。 野球・ゴルフ関連、スポーツシューズ、スポーツウェアに強い。 |
住友ゴム工業系(直近保有比率60.38%)。 ゴルフ、テニス用品が中心。 |
バトミントン、テニス、ゴルフ用品が中心。 |
※ 直近年度は24年3月期の決算短信の実績数値、ダンロップスポーツは23年12月期の有価証券報告書の実績数値。
※ 当社DBは決算短信情報は含んでいない。
アシックスの海外売上高比率がダントツですが、全体的に海外進出が進んでいる業種であることがわかります。
少子高齢化、子供のスポーツ離れ、若者のゴルフ離れの影響など国内のスポーツ用品市場は縮小傾向にあるためでしょうか。
また、国内2強であるアシックスとミズノの業績の明暗もはっきりしてる点も特徴です。
記事にもありましたが欧州をはじめ先進国のランニングブームを背景としてランニングシューズの売上が好調なアシックスに対し、野球用品のシェアの高いミズノは子供の野球離れの影響を大きく受けていることが要因の1つだと思われます。
ちなみに世界のスポーツ総合メーカーであるナイキ(米)やアディダス(独)の売上高は1兆円規模です。
アシックスの過去5年間のセグメント別業績を見てみます。
本日の記事で指摘されていたとおり欧州の占める割合が高いのは明らかですが、もうひとつポイントはアジア・オセアニア市場の業績も好調である点です。利益率も欧州並みに高く、新興国の成長をうまく取り込んでいるようです。今後、アジア・オセアニア市場が欧州と並ぶもしくは超えるセグメントに成長できるか注目ですね。
また、国内での利益率が低いのも特徴ですね。日本国内でも近年ジョギング・マラソン人口は増えており、その成長を取り込めるのかどうかも重要なポイントです。
6月末には、五輪を控えたロンドンの繁華街に、面積650㎡というアシックスの最大規模となる旗艦店が開店するとのことで(同記事より)、オリンピックイヤーに過去最高益を達成できるかどうか注目です。
オリンピックに絡む記事ということで、最後に今年7月末から始まるロンドンオリンピックについて簡単に見てみます。
■ ロンドンオリンピックサイト http://www.joc.or.jp/games/olympic/london/
■ 日本オリンピック委員会 http://www.joc.or.jp/
多くの方が気になっている日本のメダル数だと思いますので、参考までに過去のオリンピックのメダルの獲得数の推移を見てみます。
<出所:社会実情データ図録( http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/3980.html )より>
なかなか金メダルが獲得できない88年~00年を乗り越え、04年には東京オリンピックと並ぶ16個も獲得したしましたが、北京ではまた減少しています。果たしてロンドンはどこまでいけるでしょうか。とく近年は日本のお家芸である柔道での金メダル獲得が難しくなってきており、ロンドンでの巻き返しに期待したいところです。
ちなみに英国オリンピック委員会(BOA)が独自に集計したロンドンオリンピックでの仮想国別メダルランキングで、日本は金11個で8位にランクされいるようです。
(産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/sports/news/120227/oth12022719010021-n1.htm より)
ロンドンオリンピックのスケジュール表も以下抜粋しておきます。
ロンドンと日本の時差は8時間(日本の方が8時間進んでいる)、日本の選手の活躍が楽しみです。
<ロンドンオリンピックサイト http://www.joc.or.jp/games/olympic/london/ より>
現在、こちらのアーカイブ情報は過去の情報となっております。取扱いにはくれぐれもご注意ください。