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今日は、4月27日に公表された、文房具・オフィス家具のプラス(アスクルを運営している会社)が連結子会社ビズネットを完全子会社化すするTOBを実施した話題を、当社TOBデータベースから。
■IKP提供『TOBデータベース』はこちら ⇒ http://www.ikpi.co.jp/tobdatabase/index.html
◆公開買付会社のプラスとビズネットの概要
公開買付会社のプラスは文具・事務用品卸から自社工場を持つ本格的なメーカーへと転身し、商品開発に意欲的に取り組む一方、流通形態の刷新にも取り組み、業界の商慣習や文具・オフィス家具といった取扱商品の範囲にこだわらない独自の流通サービスを発明するなど、市場創造に鋭意取り組んでいる会社です(公開買付届出書3ページより)。
流通形態刷新の1つとして、大手・注規模事業所向け文具・オフィス関連用品の調達代行を目的とする新規流通事業部門を、平成9年9月にQDS事業部を発足、その後、平成12年5月にソリューション事業としての位置づけを明確にするため、対象者であるビズネット株式会社としてプラスから分社化しています。
ビズネットは、間接材の調達システムと社内流通業務のプラットフォームを提供し、企業の間接部門のビジネスプロセスの効率化を図り、流通ソリューションを提供するのがビジネスモデルです。
今回の完全子会社では、ITのSaaSサービスと、最近の流通ソリューションとして展開されている3PPL(サードパーティー・パーチェス&ロジスティクス)の事業強化を図ることを中心課題として行われるようです。
関係書類の提出は以下のとおりです。
日 付 | 公表企業 | タ イ ト ル |
平成24年5月1日 | 対象者 | 意見表明報告書の提出 |
平成24年5月1日 | 公開買付者 | 公開買付届出書の提出 |
平成24年4月27日 | 対象者 | 支配株主であるプラス株式会社による当社株券等に対する公開買付けに関する意見表明のお知らせ |
◆公開買付者と対象者の資本関係
ビズネットは上記のとおり連結子会社となります。
保有割合は間接保有を含めて50%弱となっています。
公開買付者の基本情報 | 株価チャート | ||||
企業名 |
プラス㈱ |
証券番号 | N/A | EDINET | E02924 |
---|---|---|---|---|---|
URL | http://www.plus.co.jp/index.html | 業種 | N/A | 市場 | N/A |
財務情報 |
N/A |
||||
対象者の基本情報 | 株価チャート | ||||
企業名 | ビズネット㈱ | 証券番号 | 3381 | EDINET | E03396 |
URL | http://www.biznet.co.jp/ | 業種 | 卸売業 | 市場 |
JASDAQ |
財務情報 | 個別財務情報 | ||||
公開買付者と対象者との既存資本関係等 | |||||
公開買付者は、完全子会社を通じた間接保有も含めて、対象会社の普通株式11,112,000株(保有割合49.79%)を保有し、対象会社を連結子会社としている。 |
※各社の「財務情報」は、IKP財務データベースによる。
◆本公開買付の取引に関する基本情報
基本的な取引内容は、次のとおりです。
総額は13億円ほどです。
前日比のプレミアムは30%弱です。6か月でのプレミアムでは45%程度となっています。
取引種類 | 完全子会社化 | 対象者の賛同 | 賛同 | 二段階条項 | あり |
---|---|---|---|---|---|
公開買付代理人 | みずほ証券 | ||||
買付け等の期間 | 平成24年5月1日から平成24年6月13日まで(30営業日) |
買付予定数(数) | 買付予定数の下限(株) | 買付予定数の上限(株) |
---|---|---|
12,757,656 | 8,542,704 | ー |
◆公開買付価格
公開買付価格 | 102円 | 買付け等に要する資金 | 1,329百万円 | 公表前日終値 | 80円 |
---|
◆プレミアムの状況
対前日取引日終値 | 対過去1カ月終値単純平均 | 対過去3カ月終値単純平均 | 対過去6カ月終値単純平均 |
---|---|---|---|
27.50% | 32.47% | 36.00% |
45.71% |
〔備 考〕
新株予約権は、行使価額が本公開買付価格を下回っており、本公開買付価格102円と行使価額50円との差額の52円に新株予約権1個の目的となる普通株式の数である100を乗じた金額である5,200円と決定。 |
◆バリュエーションの状況
バリュエーションの状況は、以下のとおりです。
DCF法では、みずほ証券が最高値115円、高野総合が129円となっています。
公開買付者による評価状況 | |||
第三者算定機関 | みずほ証券 | ||
---|---|---|---|
フェアネスオピニオンの有無 | 無 | ||
評価方法1 | 市場株価基準法 | 評価額1 | 70円から80円 |
評価方法2 | DCF法 | 評価額2 | 91円から115円 |
対象者による評価状況 | |||
第三者算定機関 | 高野総合コンサルティング | ||
---|---|---|---|
フェアネスオピニオンの有無 | 無 | ||
評価方法1 | 市場株価法 | 評価額1 | 77円から81円 |
評価方法2 | DCF法 | 評価額2 | 87円から129円 |
評価方法3 | 類似上場会社比較法 | 評価額3 | 98円から121円 |
◆ファイナンスの状況
今回のファイナンスは、みずほコーポレート銀行から借入によるファイナンスを実施するようです。
ファイナンス合計 (a) + (b) + (c) + (d) | 1,500,000千円 | ||
---|---|---|---|
保有預金等 (a) | ー | 金融機関借入金等 (b) | 1,500,000千円 |
金融機関以外 (c) | ー | その他の資金調達方法 (d) | ー |
〔備 考〕
みずほコーポレート銀行からの借入。 |
文具・オフィス家具の通販は、アスクル(プラスが運営)、カウネット(コクヨが運営)、たのめーる(大塚商会が運営)の3社で激しい競争がある中で、プラス本体が運営するオフィス家具も競争が激しく、もう1つの柱としての3PPL事業は次の柱に育てたいところでしょう。
しかし、間接材の3PPL提供企業も競合が激しく、非上場企業であるプラスの完全子会社化とすることで結果として非上場化させることで、業績に関係ない中長期的な戦略を展開できるとの判断から完全子会社化に踏み切ったものと思われます。
間接材の3PPLは、パソコンなどを取り扱う富士通やIBMといった企業も参入しているので、成長させるには本格的な営業のテコ入れが不可欠だったのだと思われます。
TOB価格も総額15億円程度で済んだことも要因であったのかもしれませんね。
以 上
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