株式会社インターナレッジ・パートナーズ IKP税理士法人

2012/03/22 ドラッグストア アジアを開拓

現在、こちらのアーカイブ情報は過去の情報となっております。取扱いにはくれぐれもご注意ください。

今日は、3月22日の日経朝刊9面のドラッグストアの記事についてです。

 

【記事要約】


・ドラッグストア各社がアジア市場開拓に乗り出す

住友商事は子会社の住商ドラッグストアーズを通じて日本で展開する「トモズ」の台湾1号店を今夏に開業。ツルハHDはタイで多店舗化する。グローウェルHDは中国企業と組み、5月に上海に海外1号店を開業。マツモトキヨシHDは今春から中国のスーパーなど小売店向けに、日本国内のPBの化粧品や日用品などを卸販売する。

・日本のドラッグストアはスーパーや百貨店に比べて海外展開が遅れていたが、国内売上高の伸びが鈍化するなか、品質やブランド力で定評のある日本製の大衆薬や化粧品を武器にアジアの需要を取り込む。

・海外店舗を商品調達の拠点としても活用して成長を目指す。ツルハHDは現地で販売するカップ麺や菓子、歯ブラシなど食品・日用品20品を輸入して日本の店舗で販売を始める。グローウェルHDも中国で販売するPB商品「桜工房」を国内で扱う。

・ドラッグストア各社が海外進出に力を入れる背景には、他業態の小売業との競争激化で国内での成長に陰りが出始めたことがある。市場縮小に悩むスーパーや百貨店を横目に、ドラッグストアは国内に安住してきたが、成長維持へ次の一手が求められている

・国内のドラッグストアの総売上高は拡大が続いてきたが、11年度の総売上高の伸びは過去最低

・09年の改正薬事法成功を受け、コンビニやスーパーなどが医薬品販売に参入。競争は激しくなっている。

海外市場は成長が著しい。11年の中国のドラッグストア市場は10年比13.3%増の2ケタ成長を続けている。

海外進出の壁となるのは法規制である。医薬品販売は国・地域によって規制が異なる。中国では過当競争の防止などのを目的として、既存薬局から一定距離離れなければ医薬品を販売できないという規制がある。


 

最近、伝統的に内需産業と言われていた業種でも海外進出の動きが活発です。

ビズブロでも、海外進出の記事は多く取り上げてきましたね。

 

2012/03/14 ニチレイ ベトナム食品大手と資本業務提携

2012/03/12 アサヒ、東欧ビール大手買収へ

2012/03/05 グリー、ソーシャルゲーム世界でどう戦う?

2012/02/27 ハローキティ アジアから世界へ

2012/02/16 オンワードの主力婦人服「ICB」欧米再進出

2012/02/07 イオン、肥沃なアジアに野心

2012/01/25 凸版印刷、海外売上高3割に

2012/01/12 ベネッセ、アジア展開加速

2011/12/07 三菱地所、三井不動産レジ、丸紅 上海近郊でマンション開発

2011/11/22 コクヨ 中国ノート最大手を買収 国内縮小、海外に活路

2011/11/21 海外出店数、国内を逆転 コンビニ5社、純増1.5倍

2011/11/18 味の素 南米全域に販売網 日本の調味料 海外進出加速

 

ドラックストアまで海外進出の動きが波及してきたいとうニュースでした。

それではドラッグストア大手4社のステータスを見てみます。

(トモズは、住友商事は子会社の住商ドラッグストアーズが展開しているため割愛します。)

 

マツモトキヨシHD サンドラッグ スギHD ツルハHD
証券番号 3088 9989 7649 3391
直近年度決算期 平成23年3月期 平成23年3月期 平成23年2月期 平成23年5月期

直近売上高(百万円)

428,184

360,655

304,730

299,579

直近営業利益(百万円)

15,491

19,232

12,777

15,771

直近営業利益率(%) 3.62 5.33 4.19 5.26

海外売上高比率(%)

海外売上高なし 海外売上高なし 海外売上高なし 海外売上高なし
年度個社財務情報(当社DB)

マツモトキヨシHD_年度.pdf

サンドラッグ_年度.pdf

スギHD_年度.pdf

ツルハHD_年度.pdf

年度比較財務情報(当社DB)

ドラッグストア大手4社_年度.pdf

四半期個社財務情報(当社DB)

マツモトキヨシHD_四半期.pdf

サンドラッグ_四半期.pdf

スギHD_四半期.pdf

ツルハHD_四半期.pdf

四半期比較財務情報(当社DB)

ドラッグストア大手4社_四半期.pdf

主な店舗ブランド マツモトキヨシ サンドラッグ スギ薬局

ツルハドラッグ

くすりの太郎

ウェルネス

 

大手は規模、利益率等も横並びといった印象です。

規模の追及によるコストの抑制こそが競争源泉のため、近年、大手ドラッグストアは積極的にM&Aを行ってきました。

ただし、上記の大手上場ドラッグストアでさえ、国内ドラッグストア市場シェアは10%以下。まだまだ、中小ドラッグストアが犇めいているため、今後も業界再編が続く思われます。

企業単体で見ると上記が大手ですが、目が離せないのがスーパー大手のイオンを中心とするドラッグストア連合の「パピコム」です。

上記の業界4位のツルハHDも「パピコム」の構成企業です

他業種であるイオンの存在感も増していることからも、業界の競争の激しさを感じ取れますね。

 

<パピコム 構成ストア一覧>

 

(パピコムHP http://www.hapycom.jp/about/ より)

 

 

パピコムの構成企業のうち調剤薬局を除く主な上場企業を列挙すると以下のとおりとなります。 

 

<主なパピコム構成企業(調剤薬局を除く)>

ツルハHD グローウェルHD CFSコーポレーション クスリのアオキ
証券番号 7649 3141 8229 3398
直近売上高(百万円)

299,579

270,816 121,971 64,691
主な店舗ブランド

ツルハドラッグ

くすりの太郎

ウェルネス

ウェルシア

高田薬局

ドラッグてらしま

DRUG ELEVEN

ハック クスリのアオキ
直近期末のイオンの出資状況 13.31% 29.19% 50.05% 10.00%

 

ドラッグストア最大手のマツキヨでも売上高428,184百万円ですから大連合だということがわかります。

イオンは2010年6月にCFSコーポレーションの出資比率を高め子会社していますから、パピコムに対して今後もイオンの影響力が高まっていくかどうかが注目です。

 

マツキヨもコンビニのローソンと融合店舗を出店するなど、他業種も巻き込み今後も国内のドラッグストアの競争が激しくなるなか、海外進出を模索する動きもでてきたという今日のニュース。

 

ドラックストア業界の今後のポイントをまとめると以下の点でしょうか。

 

・中小ドラッグストアが犇めく中、今後も続く業界再編

・他業種との提携、他業種の参入

・海外進出

 

内需産業のドラッグストアの海外展開に注目ですね。

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