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今日は、携帯電話の新周波数をソフトバンクが獲得することが確実となったという記事について。
【記事要約】
・総務省が予定する携帯電話向けの新たな電波割当先がソフトバンクモバイルになることが確実となった。29日に開く総務省の電波監理審議会を経て決める。
・NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、イー・アクセスの携帯4社が携帯向けの新たな周波数帯の割り当てを総務省に申請、事業計画を提出。電波を獲得した場合の基地局開設などによるエリアの整備計画、消費者の利便性の向上などを検討材料としてきた。
・新たに割り当てる900メガヘルツ帯の周波数は障害物があっても届きやすい特性を持つ。現在、ソフトバンクが保有している1ギガヘルツ以上の周波数は直進性が強く、障害物があると電波が届きにくい。ドコモとKDDIは800メガヘルツ帯を保有しており、ソフトバンクは通信品質の面で不利だと主張していた。
・1月末の国内携帯電話の契約数はドコモが5971万件、KDDIが3447万件、ソフトバンクが2806万件。
・ソフトバンクが新たな電波を獲得することで携帯3社は通信品質でを並べることになり、顧客獲得競争が一段と激しくなる。今後の競争は料金や端末の品揃え、コンテンツサービスに移る。
(日本経済新聞2012年2月29日朝刊)
新たな電波である700/900MHz帯は、2011年7月のアナログTV放送の終了に伴い空き地となる700MHz帯の一部と、800MHz帯再編で2012年7月に運用が終わる900MHz帯の携帯電話用帯域(旧800MHz帯の上り帯域)を、新たに移動通信用に割り当てるもの。
NTTドコモやKDDIが主力バンドとして利用してきた800MHz帯は、現在、ソフトバンクが保有している1ギガヘルツ以上の周波数と比べて伝搬特性に優れ、山間部などでのエリア構築や屋内ロケーションのカバーで有利。このため800MHz帯の割り当てを受けていないソフトバンクの孫正義社長などは、この帯域を「プラチナバンド」もしくは「黄金バンド」、「黄金周波数帯」と呼び、通話品質のソフトバンクは、900MHz帯周波数の取得に全力を注ぎこんでいました。
(出所:http://businessnetwork.jp/tabid/65/artid/102/page/1/Default.aspx)
iPhoneが好調の中、「つながりにくい」といった利用者の不満が多かったソフトバンク。
黄金バンドをソフトバンクが取得することにより、携帯3社は通信品質で肩を並べることになり、今後の携帯電話競争の舞台はよりハードからソフトへシフトしていくことが予測されます。
携帯電話キャリア大手4社のステータスとソフトバンク全体業業績推移を携帯事業の業績推移を俯瞰してみます。
NTTドコモ | KDDI | ソフトバンク | イー・アクセス | ||
携帯ブランド | docomo | au | Soft Bank | イーモバイル | |
直近売上高(百万円) |
4,224,273 |
3,434,545 |
3,004,640 |
181,541 | |
直近営業利益(百万円) |
844,729 |
471,911 |
629,163 |
14,967 | |
直近営業利益率(%) |
20.00 |
13.74 |
20.94 |
8.24 | |
個社年度財務情報(当社DB) | |||||
個社四半期財務情報(当社DB) | |||||
比較年度財務情報(当社DB) | |||||
比較四半期財務情報(当社DB) | |||||
携帯事業の属するセグメント名 | 携帯電話事業 | 移動通信 | 移動体通信事業 | モバイル事業 | |
携帯事業の属する直近セグメント売上高 (百万円) |
4,090,659 | 2,590,724 | 1,944,551 | 142,637 | |
携帯事業の属する直近セグメント営業損益 (百万円) |
856,734 | 438,885 | 402,411 | 2,633 | |
携帯事業の属する直近セグメント営業損益率 (%) |
20.94 |
16.94 |
20.69 |
1.84 |
携帯事業の営業利益率の高さに驚きです。
また、ドコモが最近押され気味のイメージがありますがまだまだ、ソフトバンクの倍以上の売上高、営業利益を誇っていますね。
<ソフトバンク 業績推移グラフ>
※純有利子負債=有利子負債-手元流動性 手元流動性=現金及び現金同等物+流動資産に含まれる有価証券(当社米国子会社が保有するYahoo! Inc.株式を除く)+預入期間が3カ月を超える定期預金
<ソフトバンク 移動通信事業 業績推移グラフ>
【携帯電話事業者別純増契約数】
(ソフトバンクHP:http://www.softbank.co.jp/ja/irinfo/finance/ より)
一時期は有利子負債の多さで有名だったソフトバンクも、業績好調により5年前のほぼ半分まで純有利子負債を圧縮しています。
また、ADSLなどのブロードバンド事業のイメージが強かったですが、近年は売上高、営業利益の半分以上を携帯事業で稼ぎ、全社の業績を牽引しています。
通信品質でドコモやKDDIに肩を並べることに成功したソフトバンク。
しかし、昨年、iPhone4SをKDDIが発売するなど、ソフトバンクのiPhone端末を軸とした優位性も失われつつあることも事実。今朝の朝刊でも、KDDIがiPad販売の国内販売に向け、アップルと詰めの調整をしているとの報じています。
今後はいかに魅力的なコンテンツやサービスを提供できるかなどソフト面で勝負をしないと激しい料金争い巻き込まれ各社消耗戦となってしますでしょう。
最近ドコモの「らでっしゅぼーや」買収は、そんなコンテンツ競争時代の幕上げを予感します。
■ 2012/02/02 NTTドコモ らでぃっしゅぼーやTOB
今後の携帯電話各社の戦略に注目です。
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