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2012/01/24 楽天 取扱高1兆円

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今日は、2012年1月24日付の日本経済新聞1面の記事についてです。

 

【記事の要約】


・インターネットを通じた消費が急拡大し、関連企業の収益を押し上げている。

・楽天の仮想商店街「楽天市場」に出ている店舗の売上げ合計額(取扱高)は2011年、前年比16%増の1兆1,000億円前後となったもようで、初めて1兆円を突破。設立14年で1兆円の大台を超えた。単純比較はできないが、三越伊勢丹ホールディングスは12年3月期に百貨店事業で1兆円953億円の売上高を見込んでおり、これに方を並べる規模となる。

・楽天では東日本大震災後に水や米など生活必需品を買う人が急増し、会員数は7,360万人と1年間で9%伸びた。年齢も中心層である30~40代から50~60代に広がった。11年12月期の連結営業利益は11%増の710億円前後と、4期連続の最高益となったようだ。

・ネット消費の担い手は若者から中高年層まで厚みを増し、スマートフォンの普及を後押しする。消費行動の変化は小売り・サービス業全体の経営戦略に影響を与えそうだ。 


 

スマホの普及などの後押しもあり、消費者向けネット関連企業の勢いが増しているようですね。

記事でも取り上げられたネット小売業の代表格の「楽天」と店舗型小売業の代表格である「三越伊勢丹ホールディング」を比較してみます。

楽天 三越伊勢丹HD
運営する主なサイト・店舗 楽天市場 三越・伊勢丹

直近売上高(百万円)

346,144

(記事によると取扱高1,100,000程度)

1,220,772
直近営業利益(百万円) 63,766 10,993
直近営業利益率(%) 18.42 0.90
個社財務情報(当社DB) 楽天.pdf  三越伊勢丹HD.pdf
比較財務情報(当社DB) 2社比較.pdf
小売り事業の属するセグメント名 EC事業 百貨店事業
小売り事業の属する直近セグメント売上高(百万円) 146,632 1,138,400
小売り事業の属する直近セグメント営業損益(百万円) 41,039 13,991
小売り事業の属する直近セグメント営業損益率(%) 27.98 1.22
小売り事業の属する直近セグメント資産(%) 340,543 1,120,271
小売り事業の属する直近セグメント資産営業損益率(%) 12.05 1.24

(有価証券報告書、各社HP等より作成)

 

楽天のECサイトは、すでに総合百貨店大手の三越伊勢丹ホールディングを大きく離すほどの規模の営業利益を稼いでいます。セグメント資産を見てみると三越伊勢丹ホールディングの3分の1の資産規模でこの利益ですから、従来型の店舗型の小売業・サービス業のビジネスモデルの見直しも迫られるのも当然ですね。

 

過去3期の楽天の「EC事業の」と三越伊勢丹ホールディングスの「百貨店事業」推移を見てみると、3年ほど前はそれほど大きくなかった両者の差がここ2年で急速に開いてきたようです。ここ2年ほどでスマホが急速に普及したのと重なりますね。

 

最後に楽天の過去5年間のセグメント別業績状況を見てみます。 

 

 

【楽天 2011年12月期のセグメント内容】 

事業区分 主要なサービス等 
EC事業

インターネット・ショッピング・モール(『楽天市場』)の運営

個人向けオークション・サイト(『楽天オークション』)の運営

EC(電子商取引)に関するコンサルティング

インターネット上の書籍等販売サイト(『楽天ブックス』)の運営

海外ECサイト(『Buy.com』、『PRICEMINISTER』及び『楽酷天』等)の運営

インターネット上のゴルフ場予約サイト(『楽天GORA』)の運営

 パフォーマンス・マーケティング・サービスの提供

インターネット・ショッピング・モールの店舗への物流代行サービスの提供

企業向けサービス取引市場(『楽天ビジネス』)の運営

クレジットカード事業  クレジットカード(『楽天カード』等)の発行及び関連各種サービス
電子マネー事業  プリペイド型電子マネー『Edy』事業の企画・運営
銀行事業  インターネットバンキングサービスの運営
ポータル・メディア事業

 検索機能等を備えたポータルサイト(『Infoseek』)の運営

インターネット広告事業

総合インターネット・マーケティング事業

結婚情報サービス(『オーネット』)の運営

動画コンテンツ配信事業(『ShowTime』)の運営

トラベル事業 インターネット上の宿泊予約、総合旅行サイト(『楽天トラベル』)の運営
証券事業  オンライン証券取引サービスの運営
プロスポーツ事業  プロ野球球団『東北楽天ゴールデンイーグルス』の運営及び関連商品の企画・販売
通信事業  中継電話サービス、IP加入電話サービス等の提供

 

※06年12月期~08年12月期の「クレジットペイメント事業」は、イーバンク銀行(株)の連結子会社化に伴い、銀行事業セグメントの新設及び当社グループにおける銀行業に関連する事業の再編を行ったため、従来クレジット・ペイメント事業セグメントに含まれておりました一部連結子会社を銀行事業セグメントに区分を変更するとともに、クレジット・ペイメント事業セグメントの名称をクレジットカード事業セグメントに変更している。  

  

日経平均株価が2万円目前だった2006年~2007年まではオンライン証券の楽天証券がグループ業績をかなり牽引していたようですが、リーマンショック後は縮小、その後はEC事業やトラベル事業がグループ業績を牽引しているようですね。

また、2007年頃に大規模な赤字を計上していたクレジットカード事業(クレジットペイメント事業)もその後、業績が回復。現在は若干ではありますが黒転している点も見逃せません。

東北楽天ゴールデンイーグルスなどを展開するスポーツ事業も少額ではありますが、5年連続赤字です。

 

また、上記セグメント事業に登場してくるサイトは下記のとおりとなります。興味のある方はご覧下さい。

 

楽天市場

楽天オークション

楽天ブックス

楽天ダウンロード

楽天GORA

楽天ビジネス

楽天カード

楽天銀行

Infoseek

みんなの就職活動日記

楽天リサーチ

オーネット

楽天トラベル

楽天証券

東北楽天ゴールデンイーグルス

  

ちなみに、海外売上高はどうかというと連結売上高の10%にも満たないようですが、下記のような海外向けECサイトも展開しています。少子高齢化で国内人口が縮小していく中、小売業としては海外展開は今後の課題となるでしょうね。

http://corp.rakuten.co.jp/company/worldwide.html

 

 

同記事によると楽天以外にもゾゾタウンを運営するスタートトゥデイや宿泊予約サイトを運営する一休なども元気があるようですね。


宿泊予約サイトを運営する一休は、11年7~9月の取扱高が4%増の101億円と初めて100億円を突破した。「旅館・ホテルもネット予約を重視している」(森正文社長)という。店頭販売が主体の近畿日本ツーリストなどは震災後に国内旅行が振るわず、明暗を分けている。

衣料品通販「ゾゾタウン」を運営するスタートトゥデイは、ブランド店の充実で若者の人気を集めている。12年3月期の営業利益は85億円と46%増える見通しだ。」

(同記事より)


 

パソコンがもたらした一家に1台のインターネット端末の時代から、1人1台のインターネット端末の時代を築いたスマートフォン

どこまで業界地図に変革をもたらすか興味深いです。

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