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日本経済新聞で日本電産が取り上げられていたので今日は、電子部品業界について取り上げてみたいと思います。
記事の内容は以下のとおりです。
日本電産はタイの洪水を受け、主力のハードディスク駆動装置(HDD)用モーターを中心に生産体制を再編。
工場の一部を家電用モーターの専用工事に変更し、今後のHDD用モーターの増産分はフィリピンと中国にシフトし、半年後にタイでのでの生産依存度を6割から4割に引き下げる。タイ国内10工場に止水壁の新設も検討する。
洪水で減産を余儀なくされた教訓を生かし、拠点分散などで事業の継続性を高める。
日本電産と言えば、世界一の技術力を誇る日本の電子部品メーカーの一つです。HDD用モーターで世界シェア8割を占める最大手です。永守社長で有名ですね。
電子部品メーカーは、各社独自の技術を生かし、専門分野も異なります。
それぞれの専門分野でのおもな電子部品メーカーを列挙すると以下のとおりです。
日本電産 | 京セラ | TDK | 村田製作所 | ホシデン | 日本ケミコン | 日本電波工業 | |
直近売上高(百万円) | 688,530 | 1,266,924 | 875,737 | 617,954 | 201,680 | 127,790 | 55,264 |
直近営業利益(百万円) | 90,527 | 155,924 | 63,842 | 77,485 | 3,272 | 8,155 | 2,094 |
直近営業利益率(%) | 13.15 | 12.31 | 7.92 | 12.54 | 1.62 | 6.38 | 3.79 |
個社財務情報(当社財務DB) | 日本電産.pdf | ||||||
比較財務情報(当社財務DB) | |||||||
カテゴリー | モーター | 総合メーカー | 総合メーカー | 総合メーカ- | コネクター | コンデンサー | 水晶デバイス |
備考 | HDD用モーターなど精密小型モーターに強み | ファインセラミック、セラミックコンデンサなど電子デバイス、半導体部品、携帯電話など幅広い | セラミックコンデンサ、HDD用ヘッドなどに強み |
セラミックコンデンサ世界首位、その他通信モジュールにも強い |
コネクタ、ジャック、スイッチ等が中心 | アルミ電解コンデンサーで世界首位 | 水晶振動子、水晶機器等の水晶デバイスが中心 |
総合メーカーから、モーター、コネクター、コンデンサー、水晶デバイスまで、多種多様です。
売上規模としては京セラが他を圧倒し、利益率では日本電産、京セラ、村田製作所が特に高いですね。
それぞれの会社については、今後のビズブロで取り扱うとして、今日は日本電産についてもう少し見てみます。
過去7年間の業績推移をグラフ化してみます。
直近2011年3月期の売上高は、2004年3月期の実に2.5倍、営業利益の同期比では実に4倍にもなります。ここ10年以内に急激に規模伸ばしてきたことがわかります。規模の拡大もみならず、利益率も右肩上がりです。
さらに製品別に見てみます。
世界首位であるHDD用モーターなどの精密小型モーターが売上規模、利益率ともに牽引しています。ただし、最近では、車載用や家電・産業用モーターを強化していますが、まだまだ黒字が定着していないようです。
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そのほか、設備投資の状況推移、株主資本比率状況は以下のとおりです。
リーマンショック後、落ち込みましたが、最近は回復傾向にあるようです。
過去5年の連結子会社数の推移を見てみます。日本電産と言えば、企業買収に積極的な会社で有名です。リーマンショック時は買収件数も減りましたが、近年ではまた連結子会社数が増加しています。
最後に日本電産の連結会社の所在地別の売上高、長期性資産の構成を見てみます。
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今回の新聞記事、連結グループの1割~2割の拠点がタイに依存していることがわかりますね。同記事によるとHDD用のモーターのタイへの生産依存度は6割にのぼるとのことです。
今年は、円高のみならず東日本大震災やタイの洪水など災害によって日本のメーカーは苦しめられた年といっても過言ではありません。
海外生産や拠点集中で、生産効率を高めてきた日本の製造業も、今後は日本電産のように災害リスクに備え、地域的・物理的な分散化の動きが見られるのかもしれません。
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