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日本経済新聞2011年12月17日朝刊の特集記事”戦略分析”で「ヤマハ発動機」が取り上げられていたので今日は二輪車業界について取り上げてみます。
同記事を要約すると以下のとおり。
・連結売上高を5割増の2兆円にする目標を合わせ、2015年12月期を目途に、新興国で二輪車販売台数を1000万台に増やす(2010年12月期比1.5倍)、売上高営業利益率は8%程度を目標とするとみられる
・今期販売台数見通し700万台にインドネシア、インドで各100万台、ベトナムなどその他地域で100万台の上乗せを目指す
・成長路線を鮮明にする背景には、2,000億円を超す最終赤字を計上した09年12月期以降の構造改革の成果が表れてきたことによる
リストラにより収益立て直しに終止符を打ち、一気に成長路線に舵を切るようです。
まずは、二輪車業界の大手4社のステータスを整理してみます。
ホンダ | ヤマハ発動機 | スズキ | 川崎重工業 | |
直近売上高(百万円) | 8,936,867 | 1,294,131 | 2,608,217 | 1,226,949 |
近直近営業利益(百万円) | 569,775 | 51,308 | 106,934 | 42,628 |
直近営業利益率(%) | 6.38 | 3.96 | 4.10 | 3.47 |
個社財務情報(当社財務DB) | ホンダ.pdf | ヤマハ発動機.pdf | スズキ.pdf | 川崎重工業.pdf |
比較財務情報(当社財務DB) | 二輪車大手4社比較.pdf | |||
二輪車事業の属するセグメント名 | 二輪事業 | 二輪車事業 | 二輪車 | モーターサイクル&エンジン事業 |
二輪事業の属する直近セグメント売上高(百万円) | 1,288,194 | 905,977 | 257,682 | 235,690 |
二輪事業の属する直近セグメント営業損益(百万円) | 138,594 | 42,740 | △10,814 | △4,961 |
二輪事業の属する直近セグメント営業損益率(%) | 10.75 | 4.71 | △4.19 | △2.10 |
二輪車の世界市場で1位のホンダと2位のヤマハの2強の収益・利益とも川崎、スズキを圧倒しているようです。
川崎、スズキはともに先進国市場中心の一方、ホンダ、ヤマハは先進国市場のみならず新興国市場に強いという特徴があります。
成熟市場をターゲットするのか、新興国をターゲットにし自らも経済成長を取り込んでいくか、戦略の差が鮮明の表れていると言えますね。
ヤマハ発動機全体の過去10年間の業績の推移と今期2011年12月期の予想業績を見てみます。
(単位はすべて百万円)
2005年あたりから増収増益を果たしていますが、下記のグラフのとおり売上高の7割を占める二輪車事業の貢献、特にアジア市場における売上高の拡大が大きいようです。
ただし、2007年をピークに、2008年、2009年と急速に売上・利益ともに悪化していますね。2008年後半、2009年前半といえばリーマンショックにより世界経済が急速に悪化した時期ですね。2009年12月期には、営業赤字もさることながら1,037億円もの事業構造改善費用を特別損失計上し、大幅な最終赤字に転落しています。
その後、2010年12月期にようやく営業黒字、最終黒字を達成し、リストラのピークもようやく終えたようですね。
設備投資額、研究開発費も2010年・2011年(予想)には、よやく持ち直してきましたが、2007年・2008年と比較するとまだまだ回復途中といえます。
フリー・キャッシュフロー(営業活動CFと投資活動CFの合計として計算)も2009年12月期以降改善し、手元キャッシュも過去10年で最高水準となっており、投資余力も十分ですね。
ただし、世界首位のホンダと比較すると課題も多いのが現実です。
2010年12月期のヤマハ発動機の二輪車世界販売台数が「696万台」の一方、ホンダの2011年3月期の二輪車販売台数は「1,144万台」とヤマハ発動機の1.5倍の規模を誇ります。
さらに、二輪車事業の営業利益率でもホンダは直近期で10%超と大きな差を開けられています。
また、ヤマハ発動機は、アジア市場に偏る一方、ホンダは、ブラジルやオーストラリアなどアジア以外の新興国でも稼げる体制を構築しています。
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以上の点を鑑みると二輪車市場はホンダの独り勝ちを言っても過言ではないかもしれません。
ただし、ホンダにも懸念材料があります。
2011年にインド市場の4割のシェアを握る現地メーカーであるヒーローグループとの合弁会社「ヒーローホンダ」の合弁事業の解消を発表しています(下記URL参照)。インド市場と言えば中国に次ぐ二輪車世界市場2位の規模を誇ります。
http://www.honda.co.jp/news/2010/c101216.html
今後のインド市場でのホンダの二輪車販売網の再構築の動向にも注目が集まりそうです。
ベトナム、インドネシア、カンボジアなどに旅行に行くと現地の若者が乗り回すバイクは、"Honda"や"YAMAHA"がほとんどでした。現地の若者曰く、、"Honda"や"YAMAHA"に乗っていることが"カッコイイ"とのこと。
海外旅行の楽しみの一つはそんな、日本ブランドのカッコ良さを再認識できることだ感じたのを覚えています。
また、ホンダ、ヤマハ発動機、スズキともに発祥地は静岡県浜松市です。静岡県出身の筆者にとって、二輪事業を営む3社(特にジュビロ磐田をもつヤマハ)は、地元に工場や関連会社もあり昔から身近な会社です。
そんな地元愛も込めて、ヤマハ発動機やホンダなど日本企業が世界を席巻する二輪車業界に今後も注目していきたいと思います。
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