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2011/12/02 縮む家電量販 収益モデルの転換急務

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今日は、日経朝刊11面に家電量販店のニュースが掲載されていたので、今日はその話題から。

 

<2011年12月2日 日経朝刊2面>


縮む家電量販 収益モデルの転換急務

 家電量販店が市場縮小の波に襲われている。家電エコポイント制度や地上デジタル放送移行という特需の反動減は想定以上で11月のテレビ販売台数は前年同月比85%減った。各社は相次ぎ採用や出店計画を見直し始めたが、対症療法では限界がある。業界全体が既存のビジネスモデルを抜本的に見直さざるを得ない状況に追い込まれている。

(中略)

 世界規模で競争が激化する国内家電メーカーの苦境も、家電量販の構造転換を促す。

 「今後は量販店ごとの取引条件に差をつけざるを得ない」。ある大手メーカー幹部は断言する。メーカーは従来、販売数量に応じた奨励金(リベート)などで実質的に販売店の利益を補填し、量販各社の"横並び”の成長を後押ししてきた。だが、パナソニックやソニーが大幅赤字のテレビ事業の縮小に踏み切る時代。メーカーには小売りを支援する余裕はない。

 (中略)メーカー支援は協賛金にとどまらない。説明員の派遣、店頭販促物の費用負担など多岐にわたる。メーカーが限られた原資の選択と集中を進めれば、「一部企業の収益悪化は避けられない」(エディオン幹部)。

 韓国LG電子や中国海爾集団(ハイアール)など海外メーカーが日本で事業拡大していることも業界を揺るがす。

 (中略)海外メーカーはリベートなど日本特有の商慣習に対し「しがらみがなく非常にドライ」(大手量販店幹部)だ。

 (以下、略)


<ここまで>

 

家電量販店の大手5社を比較すると次のようになります。 

会社名 ヤマダ電機

エディオン

ケーズHD ヨドバシカメラ ビックカメラ

証券番号

9831 2730 8282 未上場 3048

売上

2,153,259 901,010 770,947 約700,500 612,114
経常利益

137,847

34,435

49,365 約61,000 22,329
経常利益率

6.40%

3.82%

6.40%

約8.7%

3.65%

店舗数

640店

1,130店

(直営 415店)

372店

(直営 363店)

21店

34店

店舗名

ヤマダ(LABIなど)、ダイクマ、マツヤデンキ、サトームセン

エイデン、デオデオ、ishimaru、ミドリ

K's

ヨドバシカメラ(マルチメディア館など)

ビックカメラ、ソフマップ、ベスト電機(持分法)

個別財務

ヤマダ電機.pdf

エディオン.pdf

ケーズHD.pdf

N/A

ビックカメラ.pdf

4社比較

家電量販店大手比較(※ヨドバシカメラを除く)

※各社の店舗数は、ヤマダ電機・K'sデンキが平成23年10月末、エディオンが平成23年3月末、ヨドバシカメラ・ビックカメラが平成23年11月末。それぞれ会社のホームページより。

※売上高と営業利益の単位は百万円。

 

大手4社を比較すると、ヤマダ電機とケーズHDの経常利益率が、ともに6.4%と高いことがわかります。ケーズHDでいえば、4期前までが2.89%だったのが6.40%まで利益率を高めているので、経営効率化の結果がハッキリと見てとれます。

 

<4社の経常利益率の推移>

 

 

◆リベート等の情報開示

上場している大手4社の有価証券報告書やIR情報を概観すると、どこにもリベートやメーカーからの説明員派遣についての情報が見当たりません。他の小売業態に比べて、これらが家電量販店のビジネス・モデルの特徴とすれば、こういった非財務情報等(むしろ詳細な財務情報)は知りたいところなので、開示がなされていないのは残念です。

 

有価証券報告書の経営指標等の情報に記載ある期末の従業員数(平均臨時雇用者数も含む。)を用いて、1人当たり売上高を計算すると次のようになります。

ヤマダ電機

エディオン

ケーズHD ビックカメラ

売上

2,153,259百万円 901,010百万円 770,947百万円 612,114百万円
従業員数(正規雇用者)

23,214名

(12,439名)

17,117名

(10,022名)

13,621名

(5,993名)

8,847名

(5,827名)

1人当たり売上高(正規雇用者数)

 92,757千円

(173,105千円)

52,638千円

(89,903千円)

56,600千円

(128,641千円)

69,189千円

(105,047千円)

 

これをみると、ヤマダ電機が突出して高いことがわかります。ケーズHDも正規雇用者1人当たりの売上高はヤマダ電機についで高いものになっています。

しかし、このことから「メーカー側から販売人員を確保できたために人件費が抑えられた」のか、「販売員管理が徹底されていて効率的な経営がなされている」のかを把握することはできません。

メーカーの販売協力員の派遣については、社会的に問題なったのも記憶に新しいところです。このため、昔ほど家電量販店の言いなりということもないかと思いますが、日経の記事にも記載されるぐらいなので、未だにこういったメーカー負担は続いていると考えられます。

 

2007年5月13日 ヤマダ電機公表「公正取引委員会立入検査「販売員派遣強要の疑い」の件について」

【リソース】http://www.yamada-denki.jp/information/pdf/070513.pdf

 

ただ、日経の記事にもあるように、メーカー側の体力も落ちてきており、サムスンやLG電子といった海外勢のメーカーが台頭してきている現状では、現状の収益モデルが継続されるとは思えません。

 

amazonをはじめとするネット通販も力を増しているし、テレビ系通販も「ジャパネットたかた」だけでなく、住友商事完全子会社のジュピターショップチャンネル等も安定して成長しており、強力なライバルとなる可能性があります。

 

一方で、ヤマダ電機「LABI」やヨドバシカメラのマルチメディア館などの大型店では家電以外の小売りも積極的に展開しようとしており、家電量販店が家電量販店としてのビジネス・モデルからの脱却を図ろうとしているのが伺えます。この動きは別の小売業態、とくにディスカウントストア等にとっては脅威となるでしょう。

ヤマダ電機やビックカメラが三菱自動車の電機自動車(EV)車を販売するといったニュースもありました。

 

2010年12月2日 ヤマダ電機公表「ヤマダ電機、三菱自動車の『i-MiEV』を試行販売」

【リソース】http://www.yamada-denki.jp/information/pdf/101202.pdf

 

 

今後どのように家電量販店が展開していくのか、小売業態の業界再編があるのか、注目していきたいところですね。

以上

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