現在、こちらのアーカイブ情報は過去の情報となっております。取扱いにはくれぐれもご注意ください。
筆者はあまり頻繁に旅行に行くわけではありませんが、国内旅行などはほとんどECサイトで申し込みます。
去年、初めてイタリアに旅行したときは、JTBの店頭で、妻と販売員の方といろいろと相談しながら決めたのを覚えています。
さて、今日は、そんな旅行のECサイトの話題です。
日経朝刊13面に掲載されている日本旅行とリクルートの取組みの記事から、旅行業界を見てみます(そういえば、昨日はアパレルのECサイトの話題でしたね)。
<2011年10月18日 日経朝刊13面>
日本旅行は、リクルートが運営する旅行予約サイト「じゃらんnet」向けに専用の旅行商品を開発する。専用のシステムを開発し、JR列車と宿泊施設を自由に組み合わせられるツアーを同サイト限定で売り出す。旅行予約のネット化が急速に進み、店頭販売が主体の旅行大手の業績が低迷するなか、集客力の高い専業大手と組み、ネット事業のテコ入れを急ぐ。不振の店頭からネットへと旅行販売の軸足を移す動きが一段と加速しそうだ。
・・・中略・・・
旅行市場では利便性などが受け、予約のネット化が急速に進んでいる。2010年度の国内旅行取扱高はネット専業首位の楽天トラベル(東京・品川)が日本旅行、近畿日本ツーリストを抜き、JTBに次ぐ2位に浮上。リクルートは取扱高を公表していないが、10年度は予約ベースで3000億円を超えたとみられ、この4年で2倍超に急成長している。
・・・中略・・・
ネット事業のテコ入れに動く動きは大手各社の間で広がる。
・・・中略・・・
ネット販売攻略が旅行各社の最大の課題となっている。
<記事はここまで>
まず、旅行大手の財務数値は次のとおりです。
会社名 | JTB | 近畿日本ツーリスト | 日本旅行 | 阪急交通社 | H.I.S | 楽天トラベル | じゃらんnet | 一休 |
グループ |
日本交通公社 |
近畿日本鉄道 | JR西日本 | 阪急阪神HD | H.I.S | 楽天 | リクルート | 一休 |
上場区分 | 非上場 | 上場 | 非上場 | 非上場 | 上場 | 非上場 | 非上場 | 上場 |
売上高 | 1,166,680 | 63,644 | 50,107 | 未公開 | 348,065 | 23,779 | 未公開 | 2,951 |
営業利益 | 8,190 | 1,636 | 606 | 未公開 | 6,278 | 10,285 | 未公開 | 624 |
旅行取扱状況 | 1,124,457 | 489,837 | 376,251 | 348,335 | 320,075 | 253,526 | 調査対象外 | 調査対象外 |
※非上場企業の売上高、営業利益は当該会社のホームページにて公開されている決算情報より。
※旅行取扱状況は、観光庁が公表した「平成22年主要旅行業者旅行取扱状況年度総計(速報)(平成22年4月分~平成23年3月分)」の海外旅行、外国人旅行、国内旅行の合計ベース。
【リソース】観光庁ホームページ:http://www.mlit.go.jp/common/000144757.pdf
※近畿日本ツーリスト(KNT)の旅行取扱状況は、KNT387,252百万円とKNTツーリスト102,585百万円の合算ベースの数値。
※JTBは「ジェイティービ(14社系計)」より。
※楽天トラベルは、楽天株式会社の平成22年12月期有価証券報告書の事業セグメント情報の「トラベル事業」の数値。
意外かもしれませんが、旅行最大手のJTBや今回の記事の中心である日本旅行は上場していません(日本旅行はJR西日本が約80%保有の子会社)。日本旅行は、JR西日本の子会社ですので、今回の開発商品がJR列車と宿泊施設の組み合わせ商品であるのも納得ですね。
少し前に話題になりましたが、 日経の記事にもあるように、楽天トラベルが国内取扱高では現在第2位までのぼりつめました。上記の表は海外旅行なども合わせたベースですので、全体ベースでは6位となっています。
ちなみに、海外取扱高のトップは、JTBグループ384,638百万円でトップ、2位はH.I.Sの303,380百万円、3位は阪急交通社222,820百万円となっています。
なお、上場している近畿日本ツーリスト(KNT)、H.I.S、一休の財務情報は以下のとおり。
【リソース】すべてIKP財務データベースより
近畿日本ツーリスト、H.I.S、一休の株価は3カ年ベースでみると対照的です。
<近畿日本ツーリスト 3カ年週足チャート>
【リソース】SBI証券チャートより
<H.I.S 3カ年週足チャート>
【リソース】SBI証券チャートより
<一休 3カ年週足チャート>
【リソース】SBI証券チャートより
3社の財務上のポイントは、次のとおり。
・近畿日本ツーリストは3期連続の営業CF赤字と業績振るわず、株価も大幅に下落。
・H.I.Sは安定推移で、順調な営業推移で株価は堅調。
・一休は、営業利益率が4期で減少傾向にあり、株価水準も安定的。
以上
現在、こちらのアーカイブ情報は過去の情報となっております。取扱いにはくれぐれもご注意ください。