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1.有限責任事業組合における会計(投資サイド)
LLPにおける会計処理は、民法上の任意組合、LPSと特に変わりません。連結範囲に関する検討も同様です。なお、LLPについては、実務対応報告21号「有限責任事業組合及び合同会社に対する出資者の会計処理に関する実務上の取扱い」(企業会計基準委員会、平成18年9月8日)が公表されており、Q1及びAの記述で、純額処理が原則とされながらも、「その契約内容の実態及び経営者の意図を考慮」して、総額処理も認められる旨が記載されています。
2.有限責任事業組合における会計(LLP自体)
民法上の任意組合と同様に、組合契約により会計処理を定めることで解決されます。
3.有限責任事業組合における税務
LLPの税務上の特徴点は、組合型ファンドとして民法上の任意組合、LPSと同様に“パススルー税制”が採用されていることです。
また、組合損失については、その取込額に関する限度規定が設けられています。具体的には組合員の組合損失超過額が損金不算入となります(租税特別措置法27条の2、67条の13第1項)。
4.有限責任事業組合における損金不算入規定(個人組合員の場合)
個人組合員の場合、組合損失超過額はその年分の不動産所得の金額、事業所得の金額または山林所得の金額の計算上、必要経費に算入できません(租税特別措置法27条の2)。
組合損失超過額は、損失のうち、調整出資金額を超過する金額のことであり、調整出資金額は、以下の1号と2号の合計額から3号の額を差し引いて計算します(租税特別措置法施行令18条条の3)。
1 | その年に計算期間の終了の日が到来する計算期間(その年に計算期間の終了の日が二以上ある場合には、最も遅い終了の日の属する計算期間。第三号において同じ。)の終了の時までに当該個人が当該組合契約に基づいて有限責任事業組合契約に関する法律第十一条の規定により出資をした同条の金銭その他の財産の価額で同法第二十九条第二項の規定により当該組合の会計帳簿に記載された同項の出資の価額の合計額に相当する金額 |
2 | その年の前年に計算期間の終了の日が到来する計算期間(その年の前年に計算期間の終了の日が二以上ある場合には、最も遅い終了の日の属する計算期間)以前の各計算期間において当該個人の当該組合の組合事業から生ずる各種所得(所得税法第二条第一項第二十一号に規定する各種所得をいう。以下この号において同じ。)に係る収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額の合計額から各種所得に係る必要経費に算入すべき金額その他の財務省令で定める金額の合計額を控除した金額の当該各計算期間における合計額に相当する金額 |
3 | その年に計算期間の終了の日が到来する計算期間の終了の時までに当該個人が交付を受けた金銭その他の資産に係る有限責任事業組合契約に関する法律第三十五条第一項に規定する分配額のうち当該個人がその交付を受けた部分に相当する金額の合計額に相当する金額 |
また、①の金額を計算する際に、組合員にキャピタルコールがかかっている場合の取扱いは、実際にそのキャピタル・コールに応じて出資した場合に限られます(租税特別措置法基本通達27の2-2)。
LLPの場合は、共同事業性が前提とされているため、民法上の任意組合やLPSのような「特定組合員」といった概念もなく、「不動産所得の損失の額は生じなかったものとみなす」規定はありえず、調整出資金額までの損失分配は容認されています。ただし、LLPはその共同事業性が重要ですので、法的にLLPであることが否定されてしまうと、税務上の取扱いも民法上の任意組合と同様の取扱いになりますので留意が必要になります。
5.有限責任事業組合における損金不算入規定(法人組合員の場合)
法人組合員の場合も、基本的に個人組合員と同様、損失のうち調整出資金額を超える「組合損失超過額」は損金不算入となります(租税特別措置法67条の13第1項)。ただし、確定申告書等を提出する法人が、各事業年度において組合損失超過合計額を有する場合には、当該組合損失超過合計額のうち当該事業年度の当該法人の組合事業による利益の額に、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入できます(租税特別措置法67条の13)。
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