現在、こちらのアーカイブ情報は過去の情報となっております。取扱いにはくれぐれもご注意ください。
1.はじめに
近年の企業経営は、利益拡大だけでなく資産の効率的利用についても考慮する必要があり、代表的な指標として資本利益率(ROE:Return on Equity)や総資産利益率(ROA:Return on Assets)が言及されることとなりました。資本利益率は、分子である利益の拡大だけでなく、分母である資本や資産の縮小が必要となりました。また、銀行借入や社債、普通株式による増資といった単純な資金調達手法だけでなく、「証券化」という新たな資金調達スキームの開発により、資産流動化が活発化されることとなりました。
こうした流れを受けて、様々な投資ビークル(Vehicle)が開発され、法的な整備も行われることとなりました。代表的な投資ビークルには、以下のようなものがあります。
- 民法の任意組合(NK)
- 投資事業有限責任組合(LPS)
- 有限責任事業組合(LLP)
- 商法上の匿名組合(TK)
- 合同会社(GK)
- 株式会社(KK)
- 一般社団法人
- 特定目的会社(TMK)
- 投資法人
- 信託(投資信託、特定目的信託)
一般的に、上記1~4を「組合型」、5~9を「法人型」、10を「信託型」と呼びます。それぞれのビークルは資金調達サイドの思惑、資金提供サイドの思惑とのバランスにより、それぞれの法的、会計的、税務的な見地から選択されることになります。
2.本シリーズの目的
本シリーズでは、ファンドとして利用されるビークルについて法務、会計、税務から簡単に解説することを目標としています。まずは、それぞれの特徴を理解することで、適切なビークル選択を可能とし、スキーム組成を可能にします。資金調達スキームは、資金調達サイドの思惑だけでなく、資金提供サイドのメリット・デメリットも十分に把握しておかなければ、予定している資金調達を達成できないことになります。
また、ファンド組成では金融商品取引法による規制を把握しておかないと、想定していたスキームを組成できなくなります。このため、金融商品取引法について、特にファンド組成で必要な部分だけ簡単に解説することにしています。
本シリーズを通じて、基本的な投資ビークルの特徴とスキーム組成のノウハウについて理解し、資金調達の選択肢が少しでも広がることが目的になります。本シリーズの目次は以下のとおりです。
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