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(平成23年5月16日現在)
5.条件付決済条項(contingue settlement provisions)
金融商品は、不確実な将来の事象の発生又は不発生の場合(又は、不確実な状況の結果)、当該金融商品の発行体と保有者の双方の制御可能な範囲を超えて、企業に現金その他の金融資産の引渡し(又は、当該金融商品が金融負債となるような方法で決済すること)を要求することがあります。例えば、株価指数、コモディティ価格指数、金利又は税法規定、あるいは発行者の将来収益、純利益又は負債資本比率などがあります。
このような金融商品の発行者は、現金その他の金融資産の引渡し(又は、金融負債となるような方法での決済)を回避する無条件の権利を有しているとは言えません。したがって、次のいずれかの場合を除き、当該金融商品は発行者の金融負債となります(IAS32.25)。
[金融負債とはならないケース]
- 条件付決済条項の中の、現金又はその他の金融資産(又は、当該契約が金融負債となるような方法)での決済を要求する可能性のある部分が真正(genuine)なものでない場合
- 発行者が当該義務を現金又はその他の金融資産(又は、当該義務が金融負債となるような他の方法)で決済することを要求されるのが、発行者の清算のときのみである場合
- 当該金融商品が例外的プッタブル金融商品の特徴と条件のすべてを満たしている場合
ここで、「真性なものでない」とは、極端に稀で、非常に異常性が高く、発生する可能性が非常に低い事象です。条件付決済条項があるにもかかわらず資本性金融商品となるのは、こうした真正ではない条件だった場合としています。
現金又は企業自身の株式の可変数での決済を要求する契約は、資本性金融商品です。同様に、企業自身の株式の固定数での決済が、企業の統制不能な状況において契約上除外されているが、その状況が実際に発生する可能性がない場合には、資本性金融商品としての分類が適切です(IAS32.AG28)。
6.決済方法の選択肢
デリバティブ契約が一方の当事者に決済方法の選択肢を与えている場合(例えば、発行者又は保有者が、純額現金決済とするか、現金と株式との交換により決済するかを選択できる場合)には、すべての決済方法の選択肢で当該契約が資本性金融商品となる場合を除き、当該契約は金融資産又は金融負債となります(IAS32.26)。
IFRSでは、次のような分類が例示されています。
[例 示]
- 純額現金決済とするか、現金と自社株式との交換による決済とするかを、発行体が決定できる株式オプション ⇒金融負債
- 非金融商品項目の引渡しで決済することも、現金又はその他の金融商品で純額決済することもできる契約 ⇒金融資産又は金融負債
7.連結財務諸表の取扱い
連結財務諸表においては、企業は非支配持分を、IAS第1号及びIAS 第27 号に従って表示します。ある金融商品(又はその構成部分)を連結財務諸表において分類する際には、企業は、当該金融商品に関して、現金又は他の金融資産を引き渡す義務又は負債への分類を生じるような方法で決済する義務を、グループ全体が有しているかどうかの判定において、グループの構成企業と当該金融商品の保有者との間で合意されているすべての契約条件を考慮します。グループの子会社が金融商品を発行していて、親会社又は他のグループ企業が当該金融商品(例えば、保証)の保有者と直接に追加的条件に合意している場合には、グループは分配又は償還の自由裁量を有していないかもしれません。子会社の個別財務諸表ではこれらの追加的条件を考慮せずに当該金融商品を分類することが適切かもしれませんが、グループ全体が行っている契約及び取引を連結財務諸表が反映するようにするために、グループの他の構成企業と当該金融商品の保有者との間の他の契約の影響が考慮されます。そのような義務又は決済条項がある範囲で、当該金融商品(又は当該義務の対象となっている構成部分)は、連結財務諸表において金融負債に分類されます(IAS32.AG29)。
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