株式会社インターナレッジ・パートナーズ IKP税理士法人

IAS第21号「外国為替レート変動の影響」(表示通貨への換算)

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(平成22年12月31日現在)

8.表示通貨への換算 -通常の場合-

企業はいかなる通貨(又は複数の通貨)でも財務諸表を表示することができます。「表示通貨(presentation currency)」とは、財務諸表が表示される通貨をいい、表示通貨が企業の機能通貨と異なる場合には、企業はその業績と財政状態を表示通貨に換算します。

例えば、企業集団に異なる機能通貨を有する個別の企業が含まれている場合、各企業の業績と財政状態は連結財務諸表を表示できるように共通通貨で表されます。(IAS21.38)

 

機能通貨が超インフレ経済下の通貨ではない企業の業績と財政状態は次の手続により異なる表示通貨に換算しなければなりません(IAS21.39,41)。

 

財政状態計算書の資産と負債(比較対象金額を含む):

財政状態計算書の日現在の決算日レートで換算

 

包括利益計算書係る収益及び費用(比較対象金額を含む)

取引日の為替レートで換算

 

為替換算差額

為替換算差額はすべてその他の包括利益に認識し、為替換算差額の累計額は、在外営業活動体の処分時まで資本の独立区分に表示

(為替換算差額が、完全子会社ではない場合には、換算から発生し非支配持分に帰属する累積為替差額は、連結財政状態計算書上の非支配持分に配分し、その一部として認識)

 

ただし、実務上の理由から、取引日の為替レートに近似するレート(例えば、期中の平均レート)が、収益及び費用項目を換算するのに用いられることがありますが、為替レートが著しく変動している場合には、ある期間の平均レートの使用は不適切となります(IAS21.40)。

9.表示通貨への換算 -機能通貨が超インフレ経済下の場合-

機能通貨超インフレ経済下の通貨である企業の業績及び財政状態は、次の手続により異なる表示通貨に換算しなければなりません(IAS21.42)。

 

(a)

すべての金額(比較対象金額を含む資産、負債、資本、収益及び費用)は、次の場合を除き、直近の財政状態計算書の日現在の決算日レートで換算

(b)

ただし、金額が超インフレ経済下にはない表示通貨に換算される場合(機能通貨が超インフレ経済下だが、表示通貨はそうでない場合)、比較対象金額は、適切な過年度財務諸表に当期金額として表示された金額(すなわち、事後の物価水準の変動又は為替レートの変動について修正していない前期末の決算日レート)で換算

 

ただし、企業の機能通貨が超インフレ経済下の通貨の場合には、上記換算方法を適用する前に、IAS第29号「超インフレ経済下おける財務報告」に従って財務諸表を修正再表示しなければなりません(ただし、上記(b)の場合の比較対象金額は除かれる)。

また、経済が超インフレでなくなり、企業がIAS第29号に従って財務諸表をもはや修正再表示しない場合には、企業は、自らが財務諸表の修正再表示を中止した日における物価水準に合わせて修正再表示された金額を表示通貨への換算における取得原価として使用しなければなりません。(IAS21.43)

10.表示通貨への換算 -在外営業活動体の換算-

以上の換算方法に加え、在外営業活動体が連結、比例連結又は持分法により報告企業の財務諸表に含まれるように在外活動営業体の業績及び財政状態を表示通貨に換算する場合には下記手続を適用します。(IAS21.44)

 

<企業集団内の貨幣性項目の換算>


企業集団内の貨幣性項目は、短期であれ長期であれ、連結財務諸表に為替の変動の結果を表示することなしに、対応する企業集団内の負債(又は資産)と相殺消去することはできません。

貨幣性項目が、在外営業活動体に対する純投資の一部を構成する場合には、その他の包括利益に認識され、在外営業活動体が処分されるまでは資本の独立の区分に累積され(詳細は、「7.外貨建取引の換算 -為替差額の認識-」参照)、そうでない場合には、為替換算差額は損益として認識しなければなりません(IAS21.45)。

 

<在外営業活動体の財務諸表の日付が報告企業の日付と異なる場合の換算>


在外営業活動体の財務諸表の日付が報告企業の日付と異なるが、在外営業活動体は報告企業の日付と同じ財務諸表を新たに作成しない場合、IAS第27号「連結及び個別財務諸表」は、日付の違いが3か月以内で当該期間に生じる重要な取引やその他の事象の影響について修正が加えられる場合には、異なる日付を使用することを認めています。

そのような場合には、在外営業活動体の資産及び負債は、在外営業活動体の報告期間の末日の為替レートで換算されます。

ただし、報告企業の報告期間の末日までの為替レートの著しい変動による修正をIAS第27号に従って行う必要があります。関連会社及びジョイント・ベンチャーに持分法を適用するとき、及びIAS第28号「関連会社に対する投資」及びIAS第31号「ジョイント・ベンチャーに対する持分」に従ってジョイント・ベンチャーに比例連結を適用する場合も同様です。 (IAS21.46)

 

<在外営業活動体の取得時ののれん・公正価値修正額の換算>


在外営業活動体の取得により生じるのれんと在外営業活動体の取得により生じる資産と負債の帳簿価額の公正価値修正額は、在外営業活動体の資産と負債として処理しなければなりません。

したがって、在外営業活動体の機能通貨で表され、表示通貨への換算手続きに従い、決算日レートで換算されなければなりません(IAS21.47)。

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