現在、こちらのアーカイブ情報は過去の情報となっております。取扱いにはくれぐれもご注意ください。
(平成22年12月31日現在)
6.外貨建取引の換算 -当初認識後の報告期間末日における報告-
各報告期間の末日において外貨建て取引は下記のとおり換算しなければなりません(IAS21.23)。
① | 外貨建貨幣性項目:決算日レートで換算 | |
② | 外貨建非貨幣性項目: | |
・ | 外貨建の取得原価で測定されているもの:取引日の為替レートで換算 | |
・ | 外貨建の公正価値で測定されているもの:公正価値が決定された日の為替レートで換算 |
なお、帳簿価額は、関連する他の基準に合わせて決定し、また、帳簿価額が2つ又はそれ以上の金額を比較して決定される場合(例えば棚卸資産の帳簿価額は、IAS第2号「棚卸資産」に従って取得原価又は正味実現可能価値のいずれか低い方となる)には、帳簿価額は下記を比較のうえ決定しなければなりません(IAS21.24,25)。
(a) |
金額が決定された日の為替レート(すなわち取得原価に関して測定された項目についての取引日のレート)で換算された取得原価又は適切な帳簿価額 |
(b) | 価額が決定された日の為替レート(すなわち報告期間の末日の決算日レート)で換算された正味実現可能価額又は適切な場合には回収可能額 |
<複数の為替レートが利用可能な場合>
複数の為替レートが利用可能な場合には、使用されるレートは、当該キャッシュ・フローが測定日に発生した場合に当該取引による将来キャッシュ・フロー又は残高が決済されていたであろうレートとされています。
また、2つの通貨の交換性が一時的に欠けている場合には、使用されるレートはその後に交換が可能となるときの最初のレートとされています。(IAS21.26)
-貨幣性項目とは-
「貨幣性項目(monetary items)」とは、保有している通貨単位及び固定又は決定可能な数の通貨単位で受領又は支払うことになる資産及び負債をいいます(IAS21.8)。
貨幣性項目の本質的な特徴は、固定又は決定可能な通貨単位を受け取る権利(又は引き渡す義務)であることです。
例としては、現金で支払われる年金やその他の従業員給付、現金で決済される引当金、及び負債として認識される現金配当があります。同様に、受け取る(又は引き渡す)、引き渡すべき公正価値が固定又は決定可能な数量の通貨単位と等しくなるようにその数量が変動する、企業の自己の資本性金融商品又はその金額が変動する資産を受け取る(引き渡す)契約も貨幣性項目となります。
逆に、非貨幣性項目の本質的な特徴は、固定又は決定可能な数量の通貨単位を受け取る権利(又は引き渡す義務)が存在しないことであることです。
例としては、財貨及び役務の前払金額(例えば前払リース料)、のれん、無形資産、棚卸資産、有形固定資産、及び非貨幣性資産の引渡しにより決済される引当金があります。(IAS21.16)
7.外貨建取引の換算 -為替差額の認識-
外貨建取引の決済、または当初認識時・過去の財務諸表において換算したレートとは異なるレートで換算することによって生じる為替差額は下記のとおり処理しなければなりません
ただし、「2.範囲」のとおり外貨建項目のヘッジ会計については本基準の適用対象外のため(IAS21.5)、この場合、企業は本基準で要求される為替差額の処理とは異なる方法で為替差額の会計処理を行うことが要求されます(例えば、IAS第39号は、キャッシュ・フロー・ヘッジにおけるヘッジ手段として適格な貨幣性項目に係る為替差額を、ヘッジが有効である範囲で、その他の包括利益に当初認識することを要求しています)(IAS21.27)。
① 貨幣性項目:
貨幣性項目の決済、又は貨幣性項目を当期中の当初認識時又は過去の財務諸表において換算したレートとは異なるレートで換算することによって生じる為替差額は、在外営業活動体に対する純投資の一部を構成する貨幣性項目を除き、発生する期間の純損益に認識しなければなりません(IAS21.28,29)。
② 非貨幣性項目:
非貨幣性項目に係る利得又は損失がその他の包括利益に認識される場合には、当該利得又は損失の為替部分はその他の包括利益に認識しなければなりません。(例えば、有形固定資産について公正価値モデルを採用している場合において再評価により生じる差額をその他の包括利益に認識する場合など)
逆に、非貨幣性項目に係る利得又は損失が純損益に認識される場合には、当該利得又は損失の為替部分は純損益に認識しなければなりません。(IAS21.30,31)
③ 在外営業活動体に対する純投資の一部を構成する貨幣性項目:
報告企業の在外営業活動体に対する純投資の一部を構成する貨幣性項目について生じる為替差額は、報告企業の個別財務諸表で(孫会社へ純投資のように該当する場合には子会社の個別財務諸表で)、純損益に認識しなければなりません。
一方、連結財務諸表(基準上では在外営業活動体及び報告企業を含む財務諸表と表現)においては、当該為替差額は、当初はその他の包括利益に認識し、純投資の処分時に資本から純損益に振替えなければなりません。(IAS21.32)
-在外営業活動体に対する純投資-
「在外営業活動体(foreign operation)」とは、その活動が、報告企業と異なる国又は通貨に基盤を置いているか又は行われている、報告企業の子会社、関連会社、ジョイント・ベンチャー又は支店をいい、当該営業活動体の純資産に占める報告企業の持分額を「在外営業活動体に対する純投資(net investment in a foreign operation)」といいます(IAS21.8)。
企業は、在外営業活動体に対する長期未収金及び長期未払金となる貨幣性項目を有していることがありますが、決済が計画されず、かつ、予見し得る将来において決済が発生しそうにない項目は、実質的には在外営業活動体に対する企業の純投資の一部となり、上記換算差額の認識の会計処理が適用されます。このような貨幣性項目には、営業上の未収金又は未払金は含まれません。
<機能通貨以外の通貨で帳簿を作成保管している場合>
企業が機能通貨以外の通貨で帳簿と記録を作成保管している場合には、財務諸表を作成する時点で、「5.外貨建取引の換算 -当初認識-」「6.外貨建取引の換算 -当初認識後の報告期間末日における報告-」と同様の結果となるよう機能通貨に換算し、生じた換算差額は上記の同様に認識しなければなりません。これにより、項目が機能通貨で当初から記録されていたとしたら発生していたであろう金額と同じ金額が機能通貨で表示されることになります。(IAS21.34)
<機能通貨の変更>
企業の機能通貨に変更がある場合には、企業は当該変更の日から将来に向けて新しい機能通貨に適用される換算手続を適用しなければなりません(IAS21.35)。
企業の機能通貨は当該企業に関連する基本的な取引、事象及び状態を反映します。したがって、機能通貨が決定されたら、当該の基本的な取引、事象及び状態に変更がある場合にのみ変更することが可能となります。例えば、財貨や役務の販売価格に主に影響を与える通貨の変更は、企業の機能通貨の変更に通じる場合があります。(IAS21.36)
現在、こちらのアーカイブ情報は過去の情報となっております。取扱いにはくれぐれもご注意ください。