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(平成22年12月31日現在)
1.目的
IAS第21号の目的は、① 企業の財務諸表に外貨建取引及び在外営業活動体を計上するための方法と② 財務諸表を表示通貨に換算するための方法を規定することにあります(IAS21.1)。
主たる論点は、いかなる為替レートを適用し、為替レート変動の効果をどのように報告するかにあります(IAS21.2)。
2.範囲
本基準は、次に項目に適用しなければなりません(IAS21.3)。
(a) | IAS第39号「金融商品:認識及び測定」及びIFRS第9号「金融商品」の範囲内となるデリバティブ取引及び残高以外の外貨建による取引及び残高の会計処理 |
(b) |
企業の財務諸表に連結、比例連結又は持分法により含められる在外営業活動体の業績及び財政状態の換算 |
(c) |
企業の業績と財政状態の表示通貨への換算 |
【IAS第21号と他の基準との関係】
IFRS第9号は多くの為替デリバティブに適用されており、したがってこれらについては本基準の適用対象外とします。しかしながら、IFRS第9号の範囲外となる為替デリバティブ(例えば、他の契約に組み込まれている為替デリバティブ等)については本基準の範囲内となります。さらに、本基準は、企業がデリバティブに係る金額を機能通貨からその表示通貨に換算する場合にも適用します。(IAS21.4) また、本基準は、在外営業活動体に対する純投資のヘッジなど外貨項目のヘッジ会計には適用しません。IAS第39号がヘッジ会計には適用されます。(IAS21.5)
本基準は、外貨建取引により発生するキャッシュ・フローについてのキャッシュ・フロー計算書上の表示、又は在外営業活動体のキャッシュ・フローの換算については適用しません(IAS第7号「キャッシュ・フロー計算書」参照)。(IAS21.7)
本基準は、企業の外貨建財務諸表の表示に適用し、その結果生じる財務諸表がIFRS国際財務報告基準(IFRS)に準拠していると記載されるための定めを示しています。これらの定めに準拠しない財務情報の外貨への換算については、本基準は開示すべき情報を定めています。(IAS21.6)
3.概要
<外貨建取引の機能通貨への換算>
財務諸表を作成するとき、各企業は、単独の企業であろうと在外営業活動体を有する企業(親会社など)又は在外営業活動体(子会社や支店など)であろうと、まずは機能通貨を決定します。そして、企業は外貨項目を機能通貨に換算し、当該換算の影響額を報告するというプロセスを経ます。なお、外貨=外国通貨(foreign currency)とは、企業の機能通貨以外の通貨を指す点に注意が必要です。(IAS21.17)
① |
機能通貨の決定 (「4.外貨建取引の換算 -機能通貨の決定-」で解説) |
② |
外貨項目の機能通貨への換算 (「5.外貨建取引の換算 -当初認識-」で解説) |
③ |
影響額の報告 (「6.外貨建取引の換算 -当初認識後の報告期間末日における報告-」「7.外貨建取引の換算 -為替差額の認識-」で解説) |
<財務諸表の表示通貨への換算>
多くの報告企業が数多くの支店や個別の企業で構成され、また、多くの種類の企業が関連会社やジョイント・ベンチャーに投資を行っています。報告企業に含まれる個々の支店や企業の業績及び財政状態は、報告企業が財務諸表を表示する通貨に換算する必要があります。 IAS第21号は、報告企業の表示通貨にいかなる通貨(又は複数の通貨)も許容しており、そのため機能通貨が表示通貨と異なる報告企業に含まれる個々の支店や企業の業績及び財政状態を、換算する必要があります。(IAS21.18,19)
(「8.表示通貨への換算 -通常の場合-」「9.表示通貨への換算 -機能通貨が超インフレ経済下の場合-」「10.表示通貨への換算 -在外営業活動体の換算-」で解説)
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