株式会社インターナレッジ・パートナーズ IKP税理士法人

IAS第16号「有形固定資産」(認識後の測定 2/2)

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(平成23年1月31日現在)

7.認識後の測定 -再評価モデル-

「再評価モデル」とは、有形固定資産項目を、再評価実施日における公正価値から、その後の減価償却累計額およびその後の減損損失累計額を控除した評価額で計上する方法をいいます(IAS16.31)。

「'公正価値(fair value)」とは、独立第三者間取引において、取引の知識のある自発的な当事者の間で、資産が交換され得る価額をいいます(IAS16.6)。

 

土地および建物の公正価値は、通常、専門家としての資格をもつ鑑定人の行う評価により市場価値に基づく証拠によって決定されます(IAS16.32)。また、有形固定資産の性質が特殊であるために、公正価値について市場ベースの証拠がなく、継続事業の一部としての売却以外にめったに販売されない場合、インカム・アプローチまたは減価償却後の再調達原価アプローチを用いて公正価値を見積もることが必要な場合があります(IAS16.33)。

 

 

<評価単位>


 ある有形固定資産項目が再評価される場合、当該資産の属する種類の有形固定資産全体を再評価しなければなりません(IAS16.36)。

有形固定資産の種類とは、企業の事業活動において性質と使用目的の類似した資産のグループです。例えば、種類の区分の例としては、「土地」「土地及び建物」「機械装置」「船舶」「航空機」「車両」「器具及び備品」「事務機器」などが挙げられます(IAS16.37)。

また、同種の有形固定資産項目は、同じ基準日で評価しなければなりませんが、同種の資産の評価が短期間内に完了しており、かつ、再評価が最新のものになっている場合は、その種類の資産をローリングして評価することができます(IAS16.38)。

 

 

<評価頻度>


 再評価は、帳簿価額が報告期間の末日における公正価値を用いたならば算定されたであろう金額と大きく異ならないような頻度で定期的に行う必要があります(IAS16.31)。

評価頻度は、有形固定資産項目の公正価値の変動に依拠するため、多額かつ著しい変動があるものは毎年再評価が必要とされる一方、わずかな変動しか生じないものは頻繁な再評価は必要ありません(IAS16.34)。

 

 

<評価差額の会計処理>


 ● 帳簿価額<再評価額の場合

資産の帳簿価額が再評価の結果、増加する場合、その増加額はその他の包括利益として認識するとともに、再評価剰余金として資本項目に累積計上します。ただし、再評価による増加額は、過去に同一資産で費用として認識していた場合は、当該費用を戻し入れる範囲では収益認識します(IAS16.39)。

 

● 帳簿価額<再評価額の場合

資産の帳簿価額が再評価の結果、減少する場合、その減少額を費用として認識します。ただし、再評価による減少額は、過去に同一資産で再評価差額金として計上していた場合は、当該金額の範囲でその他の包括利益として認識するとともに再評価差額金を減少させる処理を行います(IAS16.40)。

 

上記再評価差額金は、資産の認識の中止を行ったときに、利益剰余金に直接振り替えます。また、資産の再評価後の帳簿価額に基づく減価償却費と当初の取得原価に基づく減価償却費との差額も再評価差額金から利益剰余金へ直接振替えます(IAS16.41)。

また、 有形固定資産の再評価による税効果は、IAS第12号「法人所得税」に従って認識され、開示されます(IAS16.42)。

 

 

<再評価による減価償却累計額の修正方法>


 再評価モデルを採用した場合、再評価実施日の減価償却累計額は、次のいずれかの方法により修正処理されます(IAS16.35)。

 

評価後の資産の帳簿価額が再評価額と等しくなるように、資産の減価償却累計額控除前の帳簿価額の変動に比例して再表示する方法。
減価償却累計額控除前の帳簿価額と相殺消去し、その正味価額の再評価額に修正する方法

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