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(平成23年1月31日現在)
4.認識時点の測定
<取得原価>
資産としての認識規準を満たす有形固定資産項目は、以下の構成要素からなる取得原価で測定します(IAS16.15,16)。
・ |
値引及び割戻控除後の購入価格(輸入関税および還付されない取得税を含む) |
・ | 設置費用、稼働するために必要な直接付随費用 |
・ |
資産除去債務(解体及び除去費用、敷地の原状回復費用、取得時または特定期間に棚卸資産を生産する以外の目的で当該有形固定資産項目を使用した結果生じる債務の当初見積額) |
直接付随費用としては、以下のものが例示されています(IAS16.17)。
・ | 有形固定資産項目の建設または取得により直接生じる従業員給付費用 |
・ | 整地費用 |
・ | 当初の搬入および取扱費用 |
・ | 据付および組立費用 |
・ | 資産が正常に機能するかどうかの試運転費用(ただし、試運転時に製造された見本品等の販売により得られる正味受取金額控除後) |
・ | 専門家報酬 |
一方、以下のようなものは有形固定資産の取得原価には含まれません(IAS16.19)。
・ | 新しい施設の開設費用 |
・ | 新しい製品やサービスを導入する費用(宣伝やプロモーション活動費を含む) |
・ | 新たな場所で、または新たな層の顧客に向けて事業を行う費用(従業員の研修費を含む) |
・ | 管理費およびその他の一般間接費 |
また、有形固定資産項目の帳簿価額への原価の認識は、当該項目を経営者が意図した方法で稼働可能とするために必要な場所および状態に収めたときに終了します。
そのため、下記のようなものも有形固定資産の取得原価には含まれません(IAS16.20,21)。
・ | 資産項目を使用または配置替えするときに発生する費用 |
・ | 経営者が意図した方法で稼働可能な資産項目がまだ使用されていない間またはフル稼働していない間に発生する費用 |
・ | 当該資産項目の発生物に対する需要が確立する間に発生した初期営業損失 |
・ | 企業の営業の一部または全部を稼働または再構築する費用 |
・ | 建設前に建設現場を駐車場として利用するなど付随的な利用にともなう関連損益 |
その他、認識当初の測定に関する下記論点についても留意する必要があります。
<利息費用>
有形固定資産の取得原価は、認識日における現金価格相当額で測定されます。したがって、支払いが通常の信用期間を超えて繰り延べられている場合、現金価格相当額と支払総額との差額は、IAS第23号「借入費用」に従い資産化される場合を除き、信用期間にわたり利息費用として認識しなければなりません(IAS16.23)。
<自家建設>
自家建設資産の取得原価は、取得資産の取得原価と同様の原則が適用されます。販売を目的として同種資産を建設している場合、自家建設資産の取得原価は、販売目的資産の建設に要した原価と同様に測定されます。したがって、内部利益は除かれるとともに、廃棄原材料、労務及びその他の資源の異常な金額の原価は、取得原価には含めません。利息費用については、IAS第23号「借入費用」に従い資産計上すべきものは取得原価の一部として処理します(IAS16.22)。
<交換>
交換取引により取得した有形固定資産の取得原価は、下記の場合を除き、公正価値で測定されます。下記場合に該当し、公正価値で測定されいない場合には、その取得原価は、引き渡された資産の帳簿価額で測定されます。(IAS16.24)
・交換取引が経済的実質を欠いている場合
・受領した資産または引き渡した資産の公正価値を信頼性をもって測定できない場合
● 経済的実質の有無
交換取引が、経済的実質を有しているかどうかについて、将来キャッシュ・フローがその取引の結果、変化すると想定される範囲を考慮して判断します。
具体的には、次の場合は、経済的実質を有していることになります(IAS16.25)。
a. | 受領した資産のキャッシュ・フローの構成(リスク、時期、金額)が譲渡した資産のキャッシュ・フローの構成と異なっている場合で、かつ、変化が交換された資産の公正価値に比べて重要な場合 |
または | |
b. | 企業の営業活動のうち取引に影響を受ける部分の企業固有価値が当該取引により変化する場合で、かつ、当該変化が交換された資産の公正価値に比べて重要である |
「企業固有価値(entity-specific value)」とは、 企業が資産の継続的使用及びその耐用年数の終了時における処分から生じると予想する、または負債を決済する際に生じると予想するキャッシュ・フローの現在価値をいいます(IAS16.6)。
● 公正価値の測定
比較可能な市場取引が存在しない資産の公正価値は、合理的な公正価値の見積りの範囲の変動が、当該資産に関して重要でない、または、範囲内における様々な見積の確率が合理的に評価でき公正価値の見積りに使用できる場合に、信頼性をもって測定可能となります。公正値が信頼性をもって測定できる場合には、引き渡した資産の公正価値を受領した資産の取得原価を測定するために使用します(ただし、受領した資産の公正価値がより明らかとなる場合を除く)。(IAS16.26)
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