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(平成23年1月31日現在)
12.逆取得
逆取得は、証券を発行する企業(法律上の取得企業)が、取得企業の識別に関する指針に基づいて、会計上被取得企業として識別されることにより生じます。
取引が逆取得とされるためには、資本持分を取得される企業(法的な被取得企業)が会計上の取得企業でなければなりません。
例えば、非公開企業が公開企業になりたいと考えているが、自らの持分証券を登録したくない場合に、それを達成するため、非公開企業は、公開企業がその資本持分と交換に非公開企業の資本持分を取得する取引を行うことにより、逆取得が生じることがあります。この例では、公開企業が資本持分を発行しているため法律上の取得企業となり、非公開企業は資本持分が取得されているため法律上の被取得企業となりますが、取得企業の識別に関する指針を適用すると、公開企業を会計上の被取得企業として、非公開企業を会計上の取得企業として識別することになります。(IFRS3.B19)
なお、逆取得として会計処理されるためには、会計上の被取得企業は事業の定義を満たしていなければなりません。また、逆取得の場合でものれんの認識の定めを含むすべての認識及び測定の原則が適用されます。(IFRS3.B19)
<移転された対価の測定>
逆取得において、会計上の取得企業は通常、被取得企業についての対価を発行しません。代わりに会計上の被取得企業が通常、会計上の取得企業の所有者に対して持分株式の発行を行います。したがって、会計上の被取得企業の持分と交換に会計上の取得企業が移転した対価の取得日公正価値は、法律上の子会社が、逆取得から生じる結合後企業への持分と同じ比率の資本持分を、法律上の親会社の所有者に与えるために法律上の子会社が発行しなければならなかったであろう資本持分の数を基礎とします。そして、当該計算された資本持分の数に基づく公正価値を、被取得企業と交換に移転される対価の公正価値として用いることができます。(IFRS3.B20)
<連結財務諸表の作成及び表示>
逆取得の後に作成される連結財務諸表は、法律上の親会社(会計上の被取得企業)の名前で発行されますが、注記において法律上の子会社(会計上の取得企業)の財務諸表が継続しているものとして記述され、会計上の被取得企業の法定資本を反映するように会計上の取得企業の法定資本が遡及修正されることになります。当該連結財務諸表に表示される比較情報も、法律上の親会社(会計上の被取得企業)の法定資本を反映するように遡及修正されます。(IFRS3.B21)
また、連結財務諸表は資本構成を除いては法律上の子会社の財務諸表が継続していることを表現するため、次の項目が反映されることになります。(IFRS3.B22)
(a)企業結合前の帳簿価額で認識及び測定された法律上の子会社(会計上の取得企業)の資産及び負債
(b)IFRS第3号に従って認識及び測定された法律上の親会社(会計上の被取得企業)の資産及び負債
(c)企業結合前の法律上の子会社(会計上の取得企業)の利益剰余金及びその他の資本の残高
(d)IFRS3号に従って算定された法律上の親会社(会計上の被取得企業)の公正価値に、企業結合直前の法律上の子会社(会計上の取得企業)の発行済資本持分の残高を加算して算定した、連結財務諸表に発行済資本持分として認識されている金額。
ただし、資本構成(すなわち発行済資本持分の数及び種類)には、企業結合を実行するために法律上の親会社が発行した資本持分を含めた、法律上の親会社(会計上の被取得企業)の資本構成が反映されています。したがって、法律上の子会社(会計上の取得企業)の資本構成は、逆取得において発行された法律上の親会社(会計上の被取得企業)の株式の数を反映させるため、取得契約に定められる交換比率を使用して、修正再表示されます。
(e)法律上の子会社(会計上の取得企業)の企業結合前の利益剰余金及びその他の資本持分の帳簿価額に対する非支配持分の比例的持分
<被支配持分>
逆取得では、法律上の被取得企業(会計上の取得企業)の一部の所有者はその資本持分と法律上の親会社(会計上の被取得企業)の資本持分を交換していない場合かありますが、そうした所有者は、逆取得以後、連結財務諸表において非支配持分として扱われます。法律上の取得企業の資本持分と交換しない法律上の被取得企業の所有者は、法律上の被取得企業の業績及び純資産に対する持分のみを有しており、結合後企業の業績及び純資産に対する持分を有していないからです。(IFRS3.B23)
また、法律上の被取得企業の資産及び負債は、連結財務諸表上、企業結合前の帳簿価額で測定し認識さため、通常の取得においては、非支配持分を取得日時点の公正価値で測定しますが、逆取得では、非支配持分は法律上の被取得企業の企業結合前の帳簿価額による純資産に対する非支配持分の比例的持分を反映することになります。(IFRS3.B24)
<1株当たり利益>
1株当たり利益算出のための、逆取得が生じる期間についての発行済普通株式の加重平均株式数(1株当たり利益計算の分母)の計算は、下記方法で行います。(IFRS3.B26)
・当該期間の期首から取得日までの発行済普通株式数は、期間中における法律上の被取得企業(会計上の取得企業)の発行済普通株式数に対して合併契約に定められた交換比率を乗じて求められた加重平均株式数に基づいて計算しなければなりません。
・取得日から期末日までの発行済普通株式数は、期間中における法律上の取得企業(会計上の被取得企業)の実際の発行済普通株式数としなければなりません。
また、逆取得に伴い、連結財務諸表上取得日より前の比較可能な各期間における基本的1株当たり利益は、次の①を②で除して計算します。(IFRS3.B27)
① 各期間における普通株主に帰属する法律上の被取得企業の純損益
② 法律上の被取得企業の発行済普通株式に対して取得契約に定められた交換比率を乗じて求めた過去の加重平均株式数
13.その他特定の類型の企業結合に取得法を適用するための追加的な指針
<段階的に達成される企業結合の場合>
段階的に達成される企業結合においては、取得企業は以前に保有していた被取得企業の持分を、取得日公正価値で再測定し、それにより利得又は損失が生じる場合には、当該利得又は損失を純損益又はその他の包括利益に認識しなければなりません。(IFRS3.42)
<対価の移転なしに達成される企業結合の場合>
取得企業が、対価を移転することなく支配を取得する場合があります。
対価を移転することなく支配が取得される状況としては、次のような状況を挙げることができます。(IFRS3.43)
(a)既存の投資家(取得企業)が支配を取得するために、被取得企業が十分な数の自己の株式を買い戻した場合
(b)取得企業が議決権の大部分を所有していた被取得企業を取得企業が支配することを阻んでいた少数株主拒否権が消滅した場合
(c)取得企業と被取得企業が、契約のみで事業を結合することを合意した場合
契約のみで達成される企業結合においては、取得企業以外の当事者が保有する被取得企業に対する資本持分は、たとえ被取得企業のすべての資本持分が非支配持分に帰属することになるとしても、企業結合後の取得企業の財務諸表では非支配持分となります。(IFRS3.44)
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