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(平成23年1月31日現在)
7.誤謬 -会計処理-
誤謬(errors)は、財務諸表の要素の認識、測定、表示又は開示に関し発生します。
財務諸表は、下記のような誤謬を含んでいる場合、IFRSに準拠していないことになります。(IAS8.41)
・重要な誤謬を含んでいる場合
・重要性はないが企業の財政状態、経営成績又はキャッシュフローの特定の表示を達成するために意図的に誤謬を犯した場合
そのため、財務諸表が誤謬を含んでいる場合は下記の処理が求められます。
なお、当期の誤謬が発見された場合、財務諸表が承認されるまでに修正しなければなりません
過年度の重要な誤謬が発見された場合、その後に最初の承認される財務諸表において、下記いずれかの方法でこれを遡及的修正再表示しなければなりません。
・ | 誤謬が発生した表示対象となる過年度についての比較可能金額を修正再表示する |
・ | 誤謬が表示対象となる最も古い期間以前に発生している場合には、当該表示対象となる最も古い期間の資産、負債および資本の期首残高を修正再表示する |
「過年度の誤謬(prior period errors)」とは、次のような信頼性の高い情報を使用しなかったか、又は誤用したことにより生じた、過去の1つ又は複数の期間に係る企業の財務諸表における脱漏又は虚偽表示をいいます。
・当該期間の財務諸表が発行に向けて承認されたときに入手可能となっており、かつ
・当該財務諸表を作成し表示するときに入手でき検討できたと合理的に予想だできた
これらの誤謬には、計算上の誤り、会計方針適用の誤り、事実の見落しや解釈の誤り及び不正行為の影響も含まれます(IAS8.5)。
「遡及的修正再表示(retrospective restatement)」とは、財務諸表要素の金額の認識、測定及び開示を、過年度の誤謬が発生していなかったように訂正することをいいます(IAS8.5)。
<遡及的修正再表示の制限>
ただし、過年度の重要な誤謬に対する遡及的修正再表示は、各期間に対する影響または累積的影響を測定することが実務上不可能な場合は、遡及的修正再表示に対する制限が設けられています(IAS8.43)。
具体的には、表示されている1期以上の過年度に関する比較情報について、誤謬が与える期間特定の影響を測定することが実務上不可能である場合には、企業は、遡及的再表示が実行可能である最も古い期間(当期である場合もある)の資産、負債、資本の期首残高を修正再表示しなければなりません(IAS8.44)。
また、当期の期首において、過年度のすべてについて誤謬の累積的影響を測定することが実務上不可能な場合には、企業は、実務上可能な最も古い日付から将来に向かって誤謬を修正するために比較可能情報を修正しなければなりません(IAS8.45)。
特定の過年度について、次のいずれかである場合には、誤謬の遡及的修正再表示を行うことが実務上不可能といえます(IAS8.5)。
① | その遡及的修正再表示の影響を確定できない場合 |
② | その遡及的修正再表示が、当該期間における経営者の意図が何であったかに関する仮定を必要とする場合 |
③ | その遡及的修正再表示が、金額の重要な見積りを必要とするが、それらの見積りに関する次のような情報を、他の情報と客観的に区別することが不可能である場合 |
(a) 当該金額を認識、測定又は開示すべき日に存在していた状況の証拠を提供し、かつ (b) 過年度に関する財務諸表が発行に向けて承認された時に入手可能であった |
8.誤謬 -開示-
過年度の重要な誤謬を遡及して修正した場合、以下の事項を開示しなければなりません(IAS8.49)。
① | 過年度の誤謬の内容 |
② | 表示対象となる各期間について、実務上可能な範囲における下記の事項に関する修正額 |
・影響を受ける財務諸表の各表示項目
・IAS第33号「1株当たり利益」が適用される場合の基本的および希薄化後の1株当たり利益 |
|
③ | 表示対象となる最も古い期間の期首における修正額 |
④ | 遡及的修正再表示が特定の過年度について実務上不可能である場合には、その状態が存在するに至った状況および誤謬がどのように訂正され、そしていつから訂正されているかの説明 |
なお、当該開示内容はその後の期間の財務諸表でこれらの開示を繰り返す必要はありません。
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