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(平成22年7月31日現在)
9.所有者持分変動計算書
企業は、次の事項を示す所有者持分変動計算書を開示しなければなりません。(IAS1.106)
① | 親会社の所有者と非支配持分に帰属する合計額を個別に表示している当期包括利益合計 |
② | 資本の各内訳項目について、IAS第8号「会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬」に従って認識される遡及適用または遡及修正再表示の影響額 |
③ | 資本の各内訳項目について、次の結果生じる変動を個別に開示する、期首および期末残高の間の調整表 |
・純損益 ・その他の包括利益の各項目 ・所有者の立場としての所有者との取引 (所有者による拠出を所有者への分配および支配の喪失とならない子会社に対する所有者持分の変動を個別に示す) |
また、企業は所有者持分変動計算書または注記のいずれかで、当期中に所有者への分配として認識された配当額や関連する1株当たりの金額を表示しなければなりません。(IAS1.107)
10.キャッシュフロー計算書
キャッシュフロー計算書の開示内容はIAS7号「キャッシュフロー計算書」で規定されているため、別章で解説します。
11.注記の構成
<注記事項>
財務諸表の注記事項として、以下の開示を行わなければなりません。(IAS1.112)
① | 財務諸表の表示の基礎および採用している具体的な会計方針に関する情報 |
② | 財務諸表本体で表示されていないがIFRSで開示が要求される情報 |
③ | 財務諸表のどこにも表示されていないが、それらの理解のために関連性のある追加情報 |
企業は、実務的に可能な限り、注記を体系的な方法で記載しなければなりません。
企業は、財政状態計算書、包括利益計算書、分離した損益計算書(2計算書方式を採用している場合)、所有者変動持分計算書およびキャッシュフロー計算書の各項目を注記における関連情報と相互参照しなければなりません。(IAS1.113)
<注記の記載順序>
通常、注記は利用者が財務諸表を理解し、企業間比較を可能とするため、以下の順序で表示されます。(IAS1.114)
① | IFRSに準拠している旨 |
② | 適用した重要な会計方針の概要 |
③ | 財政状態計算書、包括利益計算書、損益計算書(2計算書方式を採用している場合)、持分変動計算書およびキャッシュフロー計算書に表示されている項目に関する補足情報 |
④ | その他の開示事項 |
・偶発債務、未認識契約、コミットメントなど ・非財務財務開示事項(企業の財務リスク管理目標及び方針など)など |
なお、必要に応じて、注記の個別項目の順序を変更することが必要または望ましい場合もあります。さらに、財務諸表の基礎および個別の会計方針に関する情報を提供している注記を、財務諸表の別個の部分として表示することもできます。(IAS1.115,116)
12.会計方針の開示
企業は、重要な会計方針の概要として、次の事項を開示しなければなりません。(IAS1.117)
① | 財務諸表の作成に際して使用された測定基礎 |
② | 財務諸表を理解するのに必要なその他の会計方針 |
また、重要な会計方針の要約または注記において、見積もりを伴う判断とは別に、経営者が当該企業の会計方針を適用する過程で行った判断で、かつ財務諸表に表示されている金額に最も重要な影響をもたらす判断について開示しなければなりません。(IAS1.122)
13.見積もりの不確実性の原因となる事項の開示
企業は、翌会計年度において資産や負債の帳簿価額に重要な修正を加える原因となる重要なリスクを伴う将来に関してなされた仮定および報告期間の末日におけるその他の見積もりの不確実性に関する主な情報を開示しなければなりません。そして、当該資産および負債に関し、次の事項の詳細について開示しなければなりません。(IAS1.125)
① | その内容 |
② | 報告期間の期末日における帳簿価額 |
14.自己資本に関する事項の開示
<資本管理に関する開示事項>
企業は、財務諸表の利用者が、自己資本の管理に関する企業の目的、方針、手続を評価することができるような情報を開示しなければなりません。(IAS1.134)
具体的には下記内容を開示します。(IAS1.135)
① | 以下を含む、自己資本の管理に関する企業の目的・方針・手続についての質的情報 | |
(i) | 企業が自己資本として管理している事項の説明 | |
(ii) | 企業が外部から課せられた自己資本規制の対象である場合 | |
(iii) | 企業はどのように自己資本管理の目的を達成しているのか | |
② |
企業が自己資本として管理している事項に関する数値データの概要 (企業によっては、金融負債(劣後債務など)を自己資本の一部とみなす企業もあれば、資本の一定の構成要素(例えばキャッシュ・フロー・ヘッジから生じる部分)を除外して自己資本とみなす企業もあります) |
|
③ | ①と②の前期からの変動額 | |
④ | 当期中において、対象となっている外部から課せられた自己資本規制を、企業は遵守していたかどうか | |
⑤ | 企業がそのような外部から課せられた自己資本規制を遵守していない場合には、そのような規制を遵守しないことの影響 |
企業は、上記開示項目の基礎を、経営幹部に内部的に提供される情報におく必要があります。
<資本に分類されているプッタブル金融商品に関する開示事項>
資本性金融商品に分類されているプッタブル金融商品について、以下の事項を他の箇所に開示されていない範囲で開示しなければなりません。(IAS1.136A)
① | 資本に分類されている金額に関する要約数量データ |
② | 当該金融商品の保有者に買戻しまたは償還を要求されたときにはそうするという義務の管理に関する企業の目的、方針および手続(前期からの変更を含む) |
③ | そのクラスの金融商品の償還または買戻しの際の予想キャッシュ・アウトフロー |
④ | 償還または買戻しの際の予想キャッシュ・アウトフローの算定方法に関する情報 |
14.その他の開示
企業は、注記にその他の開示事項として以下の事項を開示しなければなりません。(IAS1.137)
① | 財務諸表の公表が承認される前に提案または宣言されたが、当期中において所有者への配分として認識されていない配当の金額および関連する1株当たり金額 |
② | 認識されていない累積優先配当の金額 |
また、企業は財務諸表とともに公表される情報のどこにも開示されていない場合には、次の事項を開示しなければなりません(IAS1.138)
① | 当該企業の本拠地および法的形態、設立された国ならびに登記上の本社の住所(または登記住所と異なる場合の主要な事業所の所在地) |
② | 当該企業の事業内容および主要な活動に関する記述 |
③ | 親企業の名称およびグループの最終的な親会社の名称 |
④ | 存続期間が有限の企業である場合には、その存続期間の長さに関する情報 |
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