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(平成23年1月31日現在)
6.財務諸表の構成要素の定義
財務諸表の構成要素は、「資産」、「負債」、「持分」、「収益」、「費用」とし、それぞれの構成要素を下記のとおり定義しています。
<資産(Assets)>
過去の事象の結果として企業が支配し、かつ、将来の経済的便益が当該企業に流入すると期待される資源(fw49)
<負債(Liabilities)>
過去の事象の結果として企業の現在の債務で、その決済により、経済的便益を有する資源が当該企業から流出されることが予測されるもの(fw49)
<持分(Equity)>
企業のすべての負債を控除した残余の資産に対する請求権(fw49)
<収益(Income)>
会計期間中の資産の流入、増価、負債の減少の形をとる経済的便益の増加であり、持分参加者からの出資に関連するもの以外の持分の増加を生じさせるもの(fw70)
<費用(Expenses)>
会計期間中の資産の流出、減価、負債の発生の形をとる経済的便益の減少であり、持分参加者への分配に関連するもの以外の持分の減少を生じさせるもの(fw70)
7.財務諸表の構成要素の認識
上記構成要素の認識要件として下記2点の充足を示しています(fw83)。
・項目に関連する将来の経済的便益が、企業に流入するか、企業から流出する可能性が高い(蓋然性要件)
・信頼性をもって測定できる原価または価値を有している(測定の信頼性要件)
したがって、各構成要素の認識タイミングは下記のとおりとなります。
<資産(Assets)の認識>
将来の経済的便益が企業に流入する可能性が高く、かつ、信頼性をもって測定できる原価または価値を有する場合(fw89)
<負債(Liabilities)の認識>
現在の債務を決済することによって経済的便益を有する資源が企業から流出する可能性が高く、かつ、決済される金額が信頼性をもって測定できる場合(fw91)
<収益(Income)の認識>
資産の増加または負債の減少に関連する将来の経済的便益の増加が生じ、かつ、それを信頼性をもって測定できる場合(fw92)
<費用(Expenses)の認識>
資産の減少または負債の増加に関連する将来の経済的便益の減少が生じ、かつ、それを信頼性をもって測定できる場合(fw94)
以上のように収益、費用の定義および認識は、資産、負債の認識に関連付けられることになり、IFRSでは「資産負債アプローチ」の考え方を重視していることが理解できます。
8.財務諸表の構成要素の測定
財務諸表の構成要素の測定基礎として下記4つが挙げられています。
IFRSでは、これらの測定基礎が、違った程度で、また種々の組合せによって使用されています(fw100)。
<取得原価(Historical cost)>
資産:取得金額もしくは提供された対価の公正価値
負債:債務と引き換えに受領した金額もしくは負債の決済金額
<現在原価(Current cost)>
資産:現時点での同一または同等の資産の取得金額
負債:現時点で債務を決済するために必要な割引前の金額
<実現可能価額(Realisable value)>
資産:処分、売却することによって現時点で得られる金額
負債:決済するために支払うことが予測される割引前の金額
<現在価値(Present value)>
資産:将来キャッシュ・イン・フローの現在価値
負債:将来キャッシュ・アウト・フローの現在価値
9.資本および資本維持の概念
資本の概念として「貨幣資本概念(financial concept of capital)」と「実態資本概念(physical concept of capital)」を挙げています。
貨幣資本概念とは、投下した貨幣または投下した購買力で資本を捉える考え方で、資本維持の考え方では「貨幣資本の維持(Financial capital maintenance)」の考え方と結びつきます。
実態資本概念とは、1日当たりの生産量に基づく企業の生産能力などの実態で資本を捉える考え方で、資本維持の考え方では「実態資本の維持(Physical capital maintenance)」の考え方と結びつきます。
しかし、概念フレームワークでは、概念について示されているだけでどちらが適切かは述べられていません。
概念フレームワークでは、測定基礎と資本維持の概念の選択によって、財務諸表の作成にあたって用いられる会計モデルが決定されると述べられています。
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