株式会社インターナレッジ・パートナーズ IKP税理士法人

IAS第40号「投資不動産」(3/3)

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(平成23年1月31日現在)

11.処分

投資不動産が処分された場合、又は恒久的に使用を取り止め、除却による将来の経済的便益が見込まれなくなった場合には、認識の中止を行わなければなりません(IAS40.66)処分日の決定に際しては、売却の場合は、IAS第l8号「収益」における商品の販売収益を計上するための要件を適用し、 ファイナンス・リースの開始による処分の場合は、 IAS第17号「リース」を適用しなければなりません。(IAS40.67)

 

投資不動産の使用停止又は処分から生ずる利得又は損失は、資産の正味売却収入と帳簿価額との差として決定しなければならず、停止又は処分に関わる期間の純損益として認識しなければなりません(ただし、セール・アンド・リースバックの場合はIAS 第17号「リース」に基づく処理が要求されます)。(IAS40.69)

また、投資不動産の処分により受領すべき対価は、公正価値すなわち現金価格相当額で当初認識されるため、対価の名目価額と現金価格相当額との差額は、実効金利法を用いてIAS第18号に従って受取利息として認識しなければなりません。(IAS40.70)

 

減損、消失又は破棄された投資不動産に対する第三者からの補償は、当該の対価が受領可能となるときに純損益として認識しなければなりません。(IAS40.72)

 

投資不動産の減損又は滅失、第三者に対する賠償金又は第三者からの補償の支払及び取替資産のその後の調達又は建設は、別個の経済的事象であり、次のように個別に会計処理を行わなければなりません。(IAS40.73)

・投資不動産の減損はIAS第36号に従って認識する。

・投資不動産の廃棄又は処分は本基準に従って認織する。

・減損したか、滅失したか又は破棄された投資不動産に対する第三者からの補償は、受領可能となるときに純損益に認識する。

・取替資産として原状回復した、調達された又は建設された資産の原価は本基準の当初認識の測定方法従って算定する。

 

<取替の場合>

認識原則に従って、企業が資産の帳簿価額に、投資不動産のある部分についての取替原価を計上する場合には、企業は取り替えられた部分の帳簿価額の認識を停止します。

原価モデルを用いて会計処理されている投資不動産については、取り替えられた部分が個別に減価償却されていた部分ではなく、取り替えられた部分の帳簿価額を算定するのが実務上不可能な場合には、取替原価を取り替えられた部分が取得されたとき又は建設されたときの原価を示すものとして使用します。

公正価値モデルでは、投資不動産の公正価値が、取り替えられる部分がその価値を失っていることを既に反映しており、取り替えられる部分について公正価値をどれだけ減額すべきかを把握することが困難となる場合があります。取り替えられた部分について公正価値を減額することが実際的でない場合に、取替を伴わない増設の場合のように取替原価を資産の帳簿価額に含め、それから公正価値を再評価するという代替方法が考えられます。(IAS40.68)

12.開示

企業は、次の事項を開示しなければなりません。(IAS40.75)

 

 ① 公正価値モデルを適用しているのか、原価モデルを適用しているのか。

 ② 公正価値モデルを適用する場合には、オペレーティング・リースの下で保有している不動産賃借権が投資不動産として分類され会計処理されているかどうか、及びどのような状況でそうされているのか。

 ③ 投資不動産に該当するか否かの分類が困難な場合(IAS40.14)には、自己使用不動産及び通常の営業過程において販売目的で保有する不動産から投資不動産を区別するために企業が用いる規準

 ④ 投資不動産の公正価値を算定する際に適用した方法及び重要な前提

これには、 公正価値の算定が市場における証拠に基づくものか否か、又は、不動産の特質及び比較可能な市場のデ一タが不足するためそれを市場における証拠以外の要素(企業はこれを開示しなければならない)に大きく依存している場合におけるその旨等の説明を含みます。

 ⑤ 測定された又は財務諸表に開示された投資不動産の公正価値が、広く認められた適切な専門的資格を所有し、かつ、評価対象の投資不動産の所在地及び分野に関し最近の実績をもつ独立の鑑定人による評価に基づいている程度

このような評価が行われていなかった場合はその旨を開示しなければなりません。

 ⑥ 下記について純損益として認識される金額

・投資不動産からの賃貸料収益

・期間中の賃貸料収益を生み出した投資不動産から生じた直接営業費(修繕及び維持費を含む)

・期間中の賃貸料収益を生み出さなかった投資不動産から生じた直接営業費(修繕及び維持費を含む)

・原価モデルが使用される資産群から公正価値モデルが使用される資産群への投資不動産の売却について純損益に認識した公正価値の変動累計額

 ⑦ 投資不動産の実現可能性又は収益及び売却代金の送金に対する制限の存在及び金額

 ⑧ 投資不動産の購入、建設若しくは開発又は修繕、維持若しくは改良のための契約上の債務

 

<公正価値モデルを採用している場合の追加開示事項>

公正価値モデルを採用する企業は、上記開示事項に加えて下記内容を含んだ投資不動産の期首と期末の帳簿価額の調整表を、開示しなければなりません。(IAS40.76)

・増加額(取得による増加と、資産の帳簿価額に認識した事後的支出による増加を区別して開示)

・企業結合による取得に基づく増加額

・IFRS第5号に従って売却目的保有に分類される資産、又は売却目的保有に分類される処分グループに含められている資産とその他の処分

・公正価値の修正に伴う正味の利得又は損失

・異なる表示通貨への財務諸表の換算及び報告企業の表示通貨に在外営業活動体を換算することにより生じる正味為替差額

・棚卸資産及び自己使用不動産への振替及びそれらからの振替

・その他の変動

 

投資不動産について入手した評価額が財務諸表上、大きく修正されている場合(例えば、個別の資産及び負債として認識される資産又は負債の二重計算を避けるために大きく修正されている場合)には、企業は、足し戻された認識されているリース債務の総額を個別に表示し、入手した評価額と財務諸表に計上した修正後の評価額との間の調整額及びその他の重要な修正額を開示しなければなりません。(IAS40.77) 公正価値が信頼性をもって算定不可能である例外的なケースで、企業がIAS第16号の原価モデルを使用する場合には、上記の調整表において、当該投資不動産に関係する金額を、それ以外の投資不動産に関係する金額から区別して開示しなければなりません。さらに、次の事項も開示しなければなりません。(IAS40.78)

 ① 当該投資不動産の説明

 ② 公正価値を信頼性をもって算定できない理由についての説明

 ③ 可能な場合、公正価値の予想される見積額の上下の範囲

 ④ 公正価値で計上されていない投資不動産の処分に関する次の情報

・企業が公正価値で計上されていない投資不動産を処分した事実

・その投資不動産の売却時の帳簿価額

・認識された利得又は損失の額

 

<原価モデルを採用している場合の追加開示事項>

原価モデルを採用する企業は、次の事項も開示しなければなりません。(IAS40.79)

 

 ① 使用する減価償却の方法

 ② 使用する耐用年数又は減価償却率

 ③ 期首及び期末の償却累計額控除前帳簿価額及び減価償却累計額(減損損失累計額を合算)

 ④ 以下を示した、期首と期末までの投資不動産の帳簿価額の増減内訳表

・取得により生じる増加額と資産として認識されるその後の支出に伴う増加額を区別して開示したうえでの増加額

・企業結合による取得に基づ<増加額

・売却目的に分類される、又はIFRS 第5号に従って売却目的に分類される処分グループに含められている資産額とその他の処分額

・減価償却額

・IAS第36号に従って期中に認識された減損損失及び戻し入れられた減損損失の額

・異なる表示通貨への財務諸表の換算及び報告企業の表示通貨に在外営業活動体を換算することにより生じる正味為替差額

・棚卸資産及び自己使用不動産への振替及びそれらからの振替

・その他の変動

 ⑤投資不動産の公正価値企業が投資不動産の公正価値を信頼性をもって算定できない例外的な場合(IAS40.53)には、企業は次の事項を開示しなければなりません。

・対象投資不動産の説明

・公正価値を信頼性をもって算定できない理由についての説明

・可能な場合、公正価値の予想される見積額の上下の範囲

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