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(平成22年12月31日現在)
27.確定給付制度と企業結合
企業結合において、企業は、退職後給付から生じる資産及び負債を当該債務の現在価値から制度資産の公正価値を控除した金額で認識します(IFRS第3号「企業結合」参照)。
当該債務の現在価値には、被取得企業が取得日時点において未認識の場合でも、次のすべてを含めなければなりません(IAS19.108)。
(a) |
取得日前に発生した数理計算上の差異(10%の「回廊」内か否かを問わない) |
(b) |
取得目前の給付の変更又は制度の導入により発生した過去勤務費用 |
(c) | 経過措置により被取得企業が認識していない金額 |
28.確定給付制度(縮小および清算)
企業は、縮小(curtailments)又は清算(settlements)が発生したときには、確定給付制度の縮小又は清算に係る利得又は損失を認識しなければなりません。
縮小又は清算に係る利得又は損失は、 次の項目から構成されます(IAS19.109)。
・ |
結果として生じるすべての確定給付制度債務の現在価値の変動 |
・ | 結果として生じるすべての制度資産の公正価値の変動 |
・ | 未認識のすべての関連する数理計算上の差異及び過去勤務費用 |
なお、縮小及び生産の影響を算定する前に、企業は現在の数理計算上の仮定(現在の市場利率及びほかの現在の市場価格を含む)を使用して、債務を(関連する制度資産があれば、それとともに)再測定しなければなりません(IAS19.110)。
<縮小とは>
縮小が発生するのは、次のいずれかの場合です。
・ | 企業が制度の対象となる従業員数の大幅な削減を行うことを明白に確約(コミット)している場合 |
・ | 企業が、現在の従業員による将来の勤務の重要な要素がもはや給付に適格とはならないか、又は減額された給付にしか適格でないように確定給付制度の規約を変更した場合 |
縮小は、工場の閉鎖、又は営業の廃止又は制度の終了若しくは停止、あるいは過去の勤務に対して支払われるべき給付に将来の昇給が連動する程度の削減のような独立した事象から発生する場合もあります。また、縮小はリストラクチャリングに関連していることが多く、この場合、企業は関連するリストラクチャリングと同時に縮小の会計処理をおこなわなければなりません。制度の変更で給付が削減される場合、将来の勤務に関する削減の影響のみが縮小に該当します(過去の勤務に対する削減の影響は負の過去勤務費用になります)。(IAS19.111,111A)
縮小が、制度の対象となる従業員の一部のみに関連する場合、又は債務の一部のみが決済される場合には、それまでに未認識であった過去勤務費用及び数理計算上の差異の比例部分を利得又は損失に含めます。
当該比例部分は、その状況の下でより合理的な他の基準がない限り、縮小又は清算の前後の債務の現在価値を基準にして決定します。
例えば、同一制度の縮小又は清算により発生した利得があれば同一制度に関連する未認識の過去勤務費用の消去に最初に充当することが適切と考えられます。(IAS19.115)
<清算とは>
清算は、企業が確定給付制度の下で支給する給付の一部又は全部について将来の法的債務又は推定的債務を解消する取引を締結するときに発生します。例えば、特定の退職後給付を受け取る制度加入者の権利と交換に、加入者に(又は当該加入者のために)一時金の支払を行う場合が該当します。(IAS19.112)
また、場合によっては、企業は、当期及び過去の期間の従業員の勤務に関連する従業員給付の一部又は全部を積み立てるために保険証券を取得する場合も該当します(ただし、保険会社が保険証券で規定された従業員給付を支払わない場合に、企業がさらに金額を支払う法的債務又は推定的債務を引き続き負うのであれば、このような証券の取得は清算には該当しません)。。(IAS19.113)
さらに、債務を決済し、かつ、制度を消滅させる形により制度を終了する場合には、清算は縮小とともに発生します。
しかし、当該制度が実質的に同一の給付を行う新制度により代替される場合には、制度の終了は、縮小又は清算にはなりません。(IAS19.114)
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