現在、こちらのアーカイブ情報は過去の情報となっております。取扱いにはくれぐれもご注意ください。
(平成22年12月31日現在)
6.短期従業員給付(短期有給休暇)
企業は、有給休暇の形式による短期従業員給付の予想費用を、「5.短期従業員給付(認識及び測定)」に基づき下記タイミングで認識しなければなりません。(IAS19.11,12)
● | 累積有給休暇の場合… | 将来の有給休暇の権利を増加させる勤務を従業員が提供した時 |
● | 非累積有給休暇の場合… | 休暇が発生した時(従業員が休暇を取得した時) |
<累積有給休暇の場合>
企業は、累積有給休暇の予想費用を、報告期間の末日現在で累積されている未使用の権利の結果として企業が支払うと見込まれる追加金額として、測定しなければなりません(IAS19.14)。
なお、累積有給休暇には、権利確定するもの(従業員が離職するときに未使用の権利について現金の支払を受ける権利が与えられるもの)と権利確定しないもの(従業員が離職に際して未使用の権利について現金の支払いを受ける権利を有していないもの)があります(IAS19.13)。債務は、従業員が将来の有給休暇の権利を増加させる勤務を提供するに従って発生します。累積有給休暇の場合で、権利確定しないものでも、債務は存在するため、予測費用を認識しなければりませんが、この場合、権利確定しない有給休暇の権利の累積について、従業員がこれを使用する前に離職する可能性を、当該債務の測定に影響させる必要があります。
<非累加有給休暇の場合>
非累積有給休暇は、繰り越されません。すなわち、当期の権利をすべてを使用しなかった場合には失効し、離職に際しては従業員には未使用の権利について現金の支払いを受ける権利は付与されません。このように、非累積有給休暇は、従業員の勤務が給付額を増加させないため、企業は休暇取得のときまで負債または費用を認識しません(IAS19.16)。
7.短期従業員給付(利益分配及び賞与制度)
企業は、利益分配及び賞与の支払の予想費用を、「5.短期従業員給付(認識及び測定)」に基づき下記の2要件を満たす場合に、費用として(利益の分配としてではなく)認識しなければなりません(IAS19.17,21)。
・ |
当該企業が過去の事象の結果、当該支払を行う現在の法的債務又は推定的債務を有する場合 (企業が支払を行う以外に現実的な選択肢を有しない場合にのみ、現在の債務が存在する) |
・ | 当該債務について信頼性ある見積りが可能な場合 |
なお、利益分配及び賞与の支払が、従業員が関連する勤務を提供した期問の末日後12か月以内にその全額の期日が到来することにはならない場合には、当該支払は「その他の長期従業員給付」となります(IAS19.22)。
<現在の債務>
例えば、従業員が特定期間にわたり企業にとどまる場合にのみ利益の分配を受けることがあります。この場合、従業員が特定期間の末日まで勤務を継続する場合に、支払うべき金額を増加させる勤務を従業員が提供するに従って推定的債務を創出させると考えます。ただし、この場合、当該推定的債務の測定には、一部の従業員が利益分配の支払いを受けずに離職する可能性を反映させます。(IAS19.18)
また、企業は、賞与を支払う法的債務を有しないが、企業が賞与を支払う慣行を有することがあります。その場合には、当該企業は賞与を支払う以外に現実的な選択肢がないため、推定的債務を有していることになります。ただし、この場合、当該推定的債務の測定には、一部の従業員が賞与受け取らずに離職する可能性を反映させます。(IAS19.19)
<信頼性のある見積り>
企業は、次のいずれかの場合にのみ、利益分配又は賞与制度の下で法的債務又は推定的債務の信頼性のある見積りを行うことができます(IAS19.20)。
・ | 当該制度の正式な規約に給付額を決定する算定式が含まれている場合 |
・ | 支払うべき金額を、財務諸表の公表が承認される前に企業が決定する場合 |
・ | 過去の慣行が企業の推定的偵務の金額の明確な証拠を示している場合 |
8.短期従業員給付(開示)
IAS第19号では、短期従業員給付について特定の開示を要求していません。
ただし、経営幹部への従業員給付に関する事項の開示(IAS第24号「関連当事者についての開示」)や従業員給付費用の開示(IAS第1号「財務諸表の表示」)などのように、他の基準で開示が要求されている場合があります。(IAS19.23)
現在、こちらのアーカイブ情報は過去の情報となっております。取扱いにはくれぐれもご注意ください。