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(平成23年1月31日現在)
5.取得法による会計処理 -全体像-
企業結合は、取得法を適用して会計処理しなければなりません。(IFRS3.4)
取得法による会計処理は下記ステップに基づき行われます。(IFRS3.5)
① 取得企業の識別
② 取得日の決定
③ 識別可能な取得した資産、引き受けた負債および被取得企業の非支配持分の認識及び測定
④ のれんまたは割安購入益の認識および測定
以下、ステップごとの詳細な内容について説明していきます。
6.取得企業の識別
各企業結合に関して、結合企業のうち1社を取得企業として識別しなければなりません。(IFRS3.6)
取得企業、すなわち被取得企業に対する支配を獲得する企業を識別するためには、IAS第27号「連結及び個別財務諸表」の指針を適用しなければなりません。
ただし、上記指針を適用しても企業結合のどちらかが取得企業となるかが明確ではない場合には、下記要因を考慮し決定します。(IFRS3.7)
① 主に現金又はその他の資産を移転するか又は負債を引き受けることにより実行される企業結合では、現金又はその他の資産を移転するか又は負債を引き受けることになる企業が通常は取得企業となります。(IFRS3.B14)
② 主に資本持分を交換することにより実行される企業結合では、資本持分を発行する企業が通常は取得企業となりますが、次の事項を含む他の関連事実及び状況も考慮しなければなりません。(IFRS3.B15)
(a)企業結合後の結合後企業における相対的な議決権
取得企業は、通常、企業結合のうち、その総体としての所有者が、結合後企業の議決権を最も多く保持又は受領する企業となります。どの所有者のグループが議決権を最も多く保持又は受領するのかを決定するにあたり、異常又は特殊な議決権に関する取決め、及びオプション、ワラント又は転換証券の存在を考慮しなければなりません。
(b)他の所有者又は組織された所有者グループが重要な議決権を有していない場合における、企業結合後企業に対する大きな少数議決権の持分の存在
取得企業は、通常、結合企業のうち、その単一の所有者又は組織された所有者グループが結合後企業に対する最大の少数議決権の持分を有する企業となります。
(c)結合後企業の統治機関の構成
取得企業は、通常、結合企業のうち、その所有者が結合後企業における統治期間の構成員を選出もしくは任命または解任することができる企業となります。
(d)結合後企業の上級経営者の構成
取得企業は、通常、結合企業のうち、その以前の経営者が結合後企業の経営を支配することになる企業となります。
(e)資本持分の交換条件
取得企業は、通常、企業結合のうち、他の結合企業の資本持分の企業結合前における公正価値を超えてプレミアムを支払う企業となります。
④ 取得企業は、通常、結合企業のうち、その相対的規模(例えば資産、収益又は利益で測定される)が、他の結合企業よりも著しく大きい企業となります。(IFRS3.B16)
⑤ 3社以上の企業結合では、取得企業の決定には、とりわけ、結合企業の相対的な規模だけでなく、どの結合企業が主導したかを考慮します。(IFRS3.B17)
⑥ 企業結合を実行するために設立された新しい企業は、必ずしも取得企業とはなりません。企業結合の実行において資本持分を発行するために新しい企業が設立される場合には、企業結合前に存在していた結合企業のうちの1つを上記(①~⑤)までの指針の適用により取得企業として識別しなければなりません。これに対し、対価として現金その他の資産を移転するか又は負債を引き受ける新しい企業が取得企業となる場合があります。(IFRS3.B18)
7.取得日の決定
取得企業は、取得日を識別しなければなりません。
取得日は、取得企業が被取得企業に対する支配を獲得した日とします。(IFRS3.8)
取得企業が被取得企業に対する支配を獲得した日とは、一般的に取得企業が法的に対価を移転し、被取得企業の資産を取得し負債を引き受けた日、すなわち実行日をいいます。
しかし、取得企業は実行日より前に、または後に支配を獲得する場合があります。例えば、契約書において実行日より前に取得企業が被取得企業の支配を獲得すると規定されている場合には、取得日は実行日より前になります。(IFRS3.9)
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