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(平成23年1月31日現在)
10.表示
<当期税金資産(未収法人税等)と当期税金負債(未払法人税等)>
次の場合、かつ次の場合にのみ、企業は当期税金資産と負債を相殺しなければなりません。(IA12.71)
・認識された金額を相殺する法律上強制力のある権利を企業が有している
・企業が、純額で決済するか又は資産の実現と負債の決済を同時に行うことを意図している
<繰延税金資産および繰延税金負債>
企業は、次の場合にのみ、繰延税金資産と繰延税金負債とを相殺しなければなりません。(IA12.74)
① 企業が当期税金資産と当期税金負債を相殺する法律上強制力のある権利を有している
② 繰延税金資産と繰延税金負債とが、同一の税務当局によって次のいずれかに対して課された法人所得税に関するもの
・同じ納税企業体
・重要な金額の繰延税金負債もしくは資産が決済もしくは回収されると予想される将来の各期に、当期税金負債と資産とを純額で決済すること、又は資産を実現させると同時に負債を決済することを意図している異なった納税企業体
<繰延税金資産および繰延税金負債の流動・非流動区分>
流動・非流動資産および流動・非流動負債を財政状態計算書上に別個の分類として表示する場合繰延税金資産および繰延税金負債についてを流動項目への分類は禁止されており、すべて固定項目として分類しなければなりません。(IAS1.56)
<税金費用>
経常的活動による純損益に係る税金費用(収益)は、包括利益計算書に表示しなければなりません。(IA12.77)
ただし、分離損益計算書で純損益の構成要素を表示している場合には、経常的活動による純損益に関係する税金費用(収益)を分離損益計算書に表示しなければなりません。(IA12.77A)
11.開示
<税金関連勘定に関する内容>
税金費用(収益)の主要な内訳は別個に開示しなければなりません。(IA12.79)
【主要な内訳の例示】
・当期税金費用(収益)
・過去の期の当期税金について当期中に認識された修正
・一時差異の発生と解消に係る繰延税金費用(収益)の額
・税率の変更または新税の賦課に係る繰延税金費用(収益)の額
・当期税金費用の減額のために使用された、従前は未認識であった税務上の欠損金、税額控除又は過去の期間の一時差異から生じた便益の額
・繰延税金資産の評価減または以前に計上した評価減の戻入れにより生じた繰延税金費用
・遡及的に会計処理できないために、IAS第8号「会計方針、会計上の見積りの変更および誤謬」に従って純損益に含められた会計方針の変更および誤謬に係る税金費用(収益)の額
次の項目も別個に開示しなければなりません。(IA12.81)
① 資本に直接に借方計上または貸方計上された項目に係る当期税金および繰延税金の合計額
② その他の包括利益の各内訳項目に係る法人所得税の金額(IA12.82)
③ 次の様式のいずれか又は両方による、税金費用(収益)と会計上の利益との関係についての説明
・会計上の利益の適用税率を乗じて得られる額と税金費用(収益)との間の数字的調整(適用税率を計算した根拠も併せて開示)
・平均実際負担税率と適用税率との間の数字的調整(適用税率を計算した根拠も併せて開示)
④ 前期と比較した適用税率の変動の説明
⑤ 財政状態計算書上で繰延税金資産が認識されていない将来減算一時差異、税務上の繰越欠損金、および繰越税額控除の額(および、もしあれば失効日)
⑥ 繰延税金負債が認識されていない、子会社、支店および関連会社に対する投資ならびにジョイント・ベンチャーに対する持分に係る一時差異の総合合計
⑦ 各タイプの一時差異並びに各タイプの税務上の繰越欠損金および繰越税額控除について
・掲記された各期の財政状態計算書上で認識された繰延税金資産および負債の額
・財政状態計算書に計上された金額の変動からは明らかでない場合には、包括利益計算書で認識された繰延税金収益または費用の額
⑧ 非継続事業に関して、次に係る税金費用
・廃止に伴う利得または損失
・非継続事業の当期中の経常的活動からの純損益(掲記された過去の期の対応額もともに)
⑨ 財務諸表の公表が承認される前に提案または宣言されたが、財務諸表に負債として認識されていない、企業の株主に対する配当の法人所得税上の影響額
⑩ 企業が取得企業である企業結合により、取得前の繰延税金資産について認識された金額の変動が生じた場合には、その変動の金額
⑪ 企業結合で取得した繰延税金便益が取得日の時点では認識されていなかったが、取得日後に認識される場合には、繰延税金便益を認識する原因となった事象または状況変化の説明
<繰延税金資産の回収可能性に関する内容>
次の場合には、繰延税金資産の金額とその認識を妥当とする根拠の内容を開示しなければなりません。
① 当該繰延税金資産を活用でできるかどうかが、現存の将来加算一時差異の解消により生じる所得を超える将来の課税所得の有無に依存しており、かつ
② 企業が、当該繰延税金資産に関係する課税管轄地域において、当期または前期に損失を被っている
<その他>
管轄地域によっては、純利益または留保利益の一部または全部が企業の株主に対する配当として支払われると、法人所得税が高い税率または低い税率、もしくは還付または追徴となる場合があります。(IA12.52A)
このような状況にある場合には、企業は株主に対する配当の支払いにより生じる法人所得税への潜在的な影響の性質を開示しなければなりません。さらに、実務上算定可能な法人所得税への潜在的な影響の金額、および法人所得税への潜在的な影響が実務上算定不可能なものであるか否か開示しなければなりません。(IA12.82A)
12.解釈指針
IAS第12号「法人所得税」に関係する解釈指針としてはSIC第21号「法人所得税-再評価された非減価償却資産の回収」とSIC第25号「法人所得税-企業又は株主の課税上の地位の変化」があります。
SIC第21号「法人所得税-再評価された非減価償却資産の回収」は、非減価償却資産に関する一時差異の税効果の計算にあたって売却する場合と使用する場合で税率の異なる場合に、どちらの税率を使用するべきかについての解釈指針です。
SIC第25号「法人所得税-企業又は株主の課税上の地位の変化」は、企業または株主の課税上の地位の変化により生じた税務上の影響を、どのように処理すべきかについての解釈指針です。
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