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(平成23年1月31日現在)
1.目的
IAS第8号は、会計方針の選択と適用方法、会計方針の変更、会計上の見積りの変更、過年度の誤謬の訂正に関する会計処理方法およびその開示方法を定めることにあります。これにより、企業の財務諸表の目的適合性と信頼性及び比較可能性(期間比較と企業間比較)を向上されること目的としています(IAS8.1)。
なお、会計方針の開示に関する基準は、IAS第1号「財務諸表の表示」に定められています(IAS8.2)。
2.範囲
IAS第8号は、会計方針の選択と適用、会計方針の変更、会計上の見積りの変更及び過年度の誤謬の訂正の会計処理に適用しなければなりません(IAS8.3)。
なお、過年度の誤謬の訂正及び会計方針を変更するために行われる遡及的調整にかかる、税効果については、IAS第12号「法人所得税」に準拠して会計処理し、開示します(IAS8.4)。
3.会計方針の選択と適用
「会計方針(accounting policies)」とは、企業が財務諸表を作成表示するにあたって採用する特定の原則、基礎、慣行、ルール及び実務をいいます(IAS8.5)。IAS第8号では会計方針の選択と適用方法について、取引その他の事象又は状況に当てはまる具体的なIFRSが存在する場合と存在しない場合とに区分して定めています。
【具体的に当てはまるIFRSが存在する場合】
ある取引その他の事象又は状況に具体的に当てはまるIFRSがある場合には、当該IFRSを選択適用しなければなりません(IAS8.7)。
【具体的に当てはまるIFRSが存在しない場合】
ある取引その他の事象又は状況に具体的に当てはまるIFRSが存在しない場合には、経営者は、次のような情報をもたらすような会計方針を選択適用しなければなりません(IAS8.10)。
① 利用者が経済的意思決定のニーズに対する目的適合性がある
② 財務諸表が下記点において信頼性がある
・企業の財政状態、経営成績及びキャッシュフローの状況を忠実に表す
・法的形式だけでなく取引その他の事象及び状況の経済的実質を反映する
・中立である、すなわち偏りがない
・慎重である
・すべての重要な点で完全である
上記①②の判断を行うにあたっては、経営者は次に掲げる根拠資料を上から順に参照し、その適用可能性を検討することが求められています(IAS8.11)。
a. 類似の事項や関連する事項を扱っているIFRSの定め
b. 概念フレームワークにおける資産、負債、収益及び費用に関する定義、認識規準及び測定概念
さらに、経営者は、「会計基準を開発するために類似の概念フレームワークを使用している他の会計基準設定主体の直近の基準等の文書」、「その他の会計上の専門的文献」、及び「一般に認められている業界実務慣行」も、上記根拠資料(a.およびb.)に反しない範囲において、考慮することができます(IAS8.12)。
<会計方針の首尾一貫性>
上記プロセスに従い会計方針を選択適用した場合、IFRSが異なる会計方針の選択適用を要求又は許容している場合を除き、類似の取引その他の事象及び状況について首尾一貫してその会計方針を選択適用しなければなりません。
ただし、 IFRSが異なる会計方針の選択適用を要求又は許容している場合には、取引区分ごとに首尾一貫して適切な会計方針を選択適用しなければなりません(IAS8.13)。
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