現在、こちらのアーカイブ情報は過去の情報となっております。取扱いにはくれぐれもご注意ください。
1.はじめに
国際財務報告基準(International Finincial Reporting Standards:IFRS)は、国際会計基準審議会(International Accounting Standards Board:IASB)により設定される会計基準のことです。
企業活動だけでなく、資金移動に関してもボーダレス化している経済状況において、各国の株式市場で用いられる企業会計の基準が自国による場合、国際企業間もしくは国際市場間での比較可能性が害されることになり、投資家にとって適切な投資意思決定が阻害される可能性があります。こうした中で、2002年7月にEUにより、2005年1月1日からEU域内でのIFRS強制適用が可決され、それを受けて、オーストラリア等でのIFRSへのアドプション(Adoption)が表明されました。
米国では、2002年にIASBと米国企業会計基準審議会(Financial Accounting Standards Board:FASB)との間で、IFRSと米国会計基準との間でコンバージェンス(Convergence)で合意(いわゆるノーウォーク合意)していましたが、2008年11月に証券取引委員会(Security and Exchange Commission:SEC)が公表したロードマップ案では2011年にIFRS適用義務化の最終決定を行うことを前提に2014年から段階的なIFRS適用の義務化が提案され、IFRSへのアドプションが前提とされた議論へと変化していきました。
日本においても、2007年8月にIASBと企業会計基準委員会(Accounting Standards Board of Japan:ASBJ)との間で、IFRSと日本会計基準との間でのコンバージェンスで合意(いわゆる東京合意)しましたが、SECのアドプションへの変化に伴い、2009年6月に金融庁が「我が国における国際会計基準の取扱いに関する意見書(中間報告)」を公表し、いわゆる日本版ロードマップにおいて、コンバージェンスからアドプションへと変化していきました。
日本版ロードマップでは、2012年頃を目途にIFRSの強制適用するかどうかについての最終的な意思決定を行うものとし、強制適用の意思決定をした場合には最低でも3年間の準備期間を設けることとしているため、最短で2015年又は2016年に適用開始となります。
IFRSの初度適用においては、IFRS開始財政状態計算書(opening IFRS statement of financial position)と最低1年の比較情報が必要になるため、例えば、2015年3月期から強制適用となった場合、2015年3月期のIFRS適用財務諸表(財政状態計算書、包括利益計算書、所有者持分変動計算書、キャッシュフロー計算書、注記)だけでなく、2014年3月期のIFRS適用財務諸表と2013年4月1日におけるIFRS開始財政状態計算書が必要となります。
2.本シリーズの目的
本シリーズでは、クライアントの段階的なIFRS導入を支援することを目的に、IFRSについての解説を順次行っていくことを目的としています。
なお、IFRSは現在でも頻繁に改訂されており、公開草案(Exposure Draft)も多く出されております。本シリーズの解説は、解説日現在において適用されている基準を基礎としているので、ご留意ください。
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