株式会社インターナレッジ・パートナーズ IKP税理士法人

シリーズ<1> 資金調達の概要と本シリーズの目的

現在、こちらのアーカイブ情報は過去の情報となっております。取扱いにはくれぐれもご注意ください。

1.はじめに

会社経営を行う上で、資金繰りは重要な経営課題として取り組んでいく必要があります。特に会社規模を拡大する場合、新たな事業を展開する場合などは、多額の資金を調達する必要があります。

 資金調達の方法としては、大きく分けて内部資金の利用と外部資金の2つが考えられます。内部資金の利用は、配当せずに内部留保していた剰余金を使うものです。これに対して、外部資金の利用は、借入金、社債発行、増資といった企業外部の投資家から資金を集めて事業資金に充てるものです。

2.内部資金と外部資金

 内部資金は、計上した利益を配当へまわさず、社内に留保している分になります。稼得した資金を配当するか否かは、配当政策との絡みで考える必要があり、新規投資に対する資金の要否だけの問題ではありません。従来、日本企業の場合には、メーン・バンクや相互持ち合い等によるコントロールが強かったことから、配当は安定配当が求められ、一定配当が基本的な配当政策として採られてきました。

 しかし、近年では個人投資家や外国人投資家、ファンドの台頭により、高配当を望む声も高まり、配当政策の見直しが行われるようになってきました。また、十分な投資機会がない場合には、多額の現金を抱えることになり、敵対的買収の標的となる可能性も出てくるため、増配するケースも見受けられるようになりました。

 上記のように、配当政策は複合的な要因で考えていく必要があるため、「多額の資金が必要だから内部留保を行う」といった単純な戦略決定は行えません。

 一方で、外部資金の利用では、借入、社債、新株の発行、自己株式の処分といった方法により、新たに外部から資金を調達することになります。これら外部資金では、大きく分けて、負債と自己資本に分けられますが、負債は借入金や社債、自己資本は増資、自己株式の処分が該当します。また、近年では、資産流動化による資金調達の手法も活発に行われております。

 外部資金を利用する場合には、財務指標が悪化しないように、負債と自己資本をバランスよく調達していくことが重要になります。バランスを失った資金調達は、調達コストの上昇につながり、最終的には企業の倒産リスクを高めてしまう恐れがあります。

3.本シリーズの目的

 近年は、会社法の制定により、柔軟な株式設計や社債発行規制の撤廃、新株予約権発行の整理等がなされ、企業の資金需要と投資家の選好をよりマッチさせやすい制度設計が図られました。また、事業のスリム化の目的から端を発した資産流動化も今では資金調達手法の1つとして頻繁に活用されています。

 本シリーズは、こうした状況を踏まえて、外部資金を利用する方法を中心に解説していきます。自社の資金調達計画を立案する場合には、必要な資金額だけでなく、自社を取り巻く投資家がどのような選好を持っているのか等を的確に把握し、自社の経営環境に合致したスキームを採用することが重要です。本シリーズを通じて、様々なスキームについてご確認ください。

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