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シリーズ<8> 財務報告に係る内部統制の評価範囲の決定方法@

1.はじめに

 本シリーズ8とシリーズ9では、評価範囲の決定方法について解説します。シリーズ7で解説した通り、全社的な内部統制の評価を受けて、業務プロセスの評価の範囲を決定していきます。この評価対象の決定は、実際の作業量に大きな影響を与えることになるため、制度をしっかり理解して、十分な検討をしていく必要があります。まず、全社的な内部統制の評価として、「全社的」というのが単体ベースではなく、連結ベースで考えられることを確認します。その後、シリーズ9で評価対象とすべき業務プロセスをどのように決定していくのか解説していきます。

2.評価の範囲@−連結ベースで実施

 財務報告に係る内部統制の有効性の評価は、まず評価対象を決定していくことから始まります。ただし、その評価範囲の枠が、「自社(単体)」で考えるのか、「企業集団(連結)」で考えるのかが問題となります。

 この点、内部統制実施基準では、「連結ベースで行う」と記述しており、企業集団内における内部統制の有効性が問題となることを明記しています。これは、既に有価証券報告書が連結ベースでの開示が基本となっていることを考えても、当然のことと考えられます。

 財務報告に係る内部統制の評価範囲の決定手続を行う際の対象として、自社、子会社、関連会社としますが、以下の点に留意する必要があります。

(1)子会社の場合


 連結対象となる子会社の場合、その子会社は支配しているので、通常の自社と同様に内部統制の評価を実施することができると考えられます。また、その子会社が上場していて、子会社自身が内部統制報告書を作成・監査を受けている場合には、当該子会社の財務報告に係る内部統制の有効性の評価に当たって、当該子会社の財務報告に係る内部統制報告書を利用することができます。

(2)関連会社の場合


 関連会社の場合も、基本的には連結財務諸表を構成する以上、評価対象となり自社と同様に、内部統制の評価手続を実施していく必要があります。しかし、関連会社の場合には、他の支配株主の存在、役員の派遣や兼任の状況等によっては、子会社と同様に評価を行えない可能性があります。このような場合には全社的な内部統制を中心として、当該関連会社に質問書の送付、聞き取りあるいは当該関連会社で作成している報告等の閲覧等適切な方法により評価を行う必要があります。

(3)在外子会社等の海外現法の場合


 在外子会社等の現地法人の場合も、自社と同様に評価していく必要があります。しかし、現地法人の所在地国に適切な内部統制報告書制度が存在する場合には、当該制度を適宜活用することが可能です。また、所在地国に内部統制報告制度が存在しない場合でも、第三国の制度を活用することも考えられます(例えば米国のSOX法に対応するなど)。

3.評価の範囲A−委託業務の範囲

 現在、アウトソーシングを活用する企業は多く存在しています。この場合、アウトソーシングしている業務の部分について、内部統制の評価対象となるのかが問題となります。

この点、財務諸表の作成の基礎となる取引の承認、実行、計算、集計、記録又は開示事項の作成等の業務を外部の専門会社に委託している場合であっても、最終的には委託者である経営者が財務諸表の開示に全責任を負うので、委託業務に係る内部統制についても、経営者による評価の対象に含めなければなりません。

 この際、経営者が評価する方法としては、次の2とおりが考えられます。

(1)サンプリングによる検証


 サンプリングによる検証は、委託業務結果の報告書と基礎資料との整合性を検証するととともに、委託業務の結果について、一部の項目を企業内で実施して検証する方法です。しかし、このサンプリングによる検証は、企業側でも同様の処理を行う能力を持つ場合に検証可能ですが、自社では処理できないような事項について委託しているような場合(例えば、金融機関からデリバティブ取引の期末時価情報を入手している)には、この方法を採用することはできません。

(2)受託会社の評価結果の利用


 受託業務に係る内部統制の整備及び運用状況に関しては、委託業務に関連する内部統制の評価結果を記載した報告書等を受託会社から入手して、自らの判断により委託業務の評価の代替手段とすることが考えられます。この場合には、経営者は当該報告書等が十分な証拠を提供しているかどうかを検討する必要があります。実務的には、日本公認会計士協会の監査基準委員会報告第18号や米国公認会計士協会の監査基準書第70号(Statement on Auditing Standard 70: SAS70)に従った監査報告書を受託会社の報告書に添付させて評価を行うことが考えられます。

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