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ストック・オプション会計基準 -総論-

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1.はじめに

ストック・オプション会計基準では、従業員等とのストック・オプション取引について発行企業がどのように会計処理すべてきかという点がテーマとなってきます。

結論からいうと人件費等として「費用処理」するわけですが、費用をいつのタイミングで計上するのかという「認識」の問題と、いくら認識するのかという「測定=評価(バリュエーション)」の2つの論点が主題となってきます。

 

ストック・オプション会計基準は、企業会計基準委員会(ASBJ)より企業会計基準第8号「ストック・オプション等に関する会計基準」と企業会計基準適用指針第11号「ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針」が公表されています。

本シリーズでは、両基準を合わせて「ストック・オプション会計基準」と表現することになります。

 

ストック・オプション会計基準は、国際会計基準の流れに沿って作られたもので、当該基準が作成される前は、ストック・オプションをいくら付与しても費用処理の必要がなかったため、財務力の乏しいベンチャー企業は人件費を抑えるために積極的に導入して行きました。

しかし、当該基準の公表により、ストック・オプションの付与は人件費として費用処理が求められることとなったため、ストック・オプションを導入にあたっては、企業の財務情報への影響を考える必要がでてきました。

 

ストック・オプション会計基準は、具体的にストック・オプション等の会計処理等について下記のような内容で規定しています。本シリーズも当該基準の順序に従い解説していきます。

 

範囲
権利確定以前の会計処理(付与してからストック・オプションを実際に権利行使できるようになるまでの期間にかかる会計処理)
権利確定後の会計処理(権利行使できるようになり、実際に取得者が権利行使等を行った場合の会計処理)
ストック・オプションに係る条件変更の会計処理(ストック・オプション付与後に条件を変更した場合の会計処理)
未公開企業における取扱い
財貨又はサービスの取得の対価として自社株式オプションを付与する取引の会計処理
財貨又はサービスの取得の対価として自社の株式を交付する取引の会計処理
開示事項について

 

一方、国際財務報告基準(IFRS)では、IFRS第2号「株式報酬取引」の中で、株式報酬取引の一形態である「持分決済型の株式報酬取引(equity-settled share-based payment transaction)」として規定されています。IFRS第2号につては、「国際財務報告基準(IFRS)の株式報酬シリーズ」をご覧ください。

2 適用範囲

ストック・オプション会計基準は、次の取引に対して適用されます。

 

企業がその従業員等に対してストック・オプションを付与する取引
企業が財貨・サービスの取得において、対価として自社株式オプションを付与する取引
企業が財貨・サービスの取得において、対価として自社の株式を交付する取引

 

ただし、②③に該当する取引であっても、他の会計基準の範囲に含まれる取引については、ストック・オプション会計基準は適用されません。

 

この点、IFRS第2号「株式報酬取引」が、企業が自らの資本性金融商品の対価として財貨・サービスを受け取るか、もしくは企業の株式またはその他の資本性金融商品の価格を基礎とする金額で、財貨・サービスの提供者に対する負債を負うことにより財貨・サービスを取得する取引を対象としているという点で、ストック・オプション会計基準は、適用範囲が限定的といえます。

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