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ストック・オプションと会社法

2.会社法上の論理構成

「シリーズ2〜5」までは、ストック・オプションの会社法上の論点について解説していきます。

 

平成17年改正前の旧商法では、株式会社に対して労働サービスなど金銭以外の財産による出資の払込は認められなかったため、ストック・オプションの付与は労働サービスの対価としては認められず、ストック・オプションの付与は、反対給付を伴わない取引として整理されていました。そのため、旧商法では、ストック・オプションは新株予約権の有利発行として常に株主総会の特別決議が必要とされていました。

 

しかし、会社法では、下記の事項が明文化されました。

新株予約権について、新株予約権者は、会社の承諾を得て、金銭による払込に代えて、払込金額に相当する金銭以外の財産を給付し、または、会社に対する債権をもって相殺することができる(会社法第246条2項)
新株予約権の発行において金銭の払込を要しないとする場合でも(会社法第238条1項2号)、それが特に有利な条件に場合のみ有利発行に該当し、株主総会での説明義務を求める(会社法第238条3項1号)

 

これにより、会社法上、ストック・オプションについて下記のとおり整理することが可能となりました。

 

ストック・オプションの発行に際して"払込金額を定めた場合"には、従業員等がサービス提供を行うことにより、従業員等が会社に対して報酬債権を取得し、新株予約権者は、当該株式会社に対する債権をもって相殺するという法的な構成を行うことが可能
ストック・オプションの発行に際して"払込金額を定めない場合"でも、労働意欲の向上その他の効果を考え、適正な便益を受領しているものと評価できる場合には、有利発行には該当しない

 

さらに、平成17年12月のストック・オプション会計基準の公表により、下記のとおり報酬規制との関係についても整理するとが可能となりました。

 

ストック・オプションは経営者や従業員への職務執行の対価として整理され、会計上の費用処理されることとなり、会社法上もストック・オプションは取締役の報酬、賞与その他職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益(報酬等)として報酬規制の対象となる

 

このように会社法の施行やストック・オプション会計基準の施行により、ストック・オプションの付与という経済的事象について、会社法上の論理構成は下記のように整理できるようになりました。

 

@ ストック・オプションの会社法上の発行パターンは、下記3つに整理することができる

 

<有償・公正発行>

ストック・オプションの公正価値を払込金額とする有償発行としつつ(払込金額を定める)、経営者・従業員等に払込金額相当の報酬債権を付与し、かかる報酬債権と払込金額とを相殺し、有利発行でないとする方法

 

<無償・公正発行>

ストック・オプション自体を職務執行の対価と考え、無償で付与し、有利発行でないとする方法

 

<無償・有利発行>

ストック・オプション自体を職務執行の対価と考え、無償で付与し、有利発行とする方法

 

なお、ここでいう「有償」とは「払込金額と報酬債権と相殺する」ことを指し、実際には金銭の払込はありません。

 

A ストック・オプションは報酬として会社法上の取締役等の報酬規制の対象になる

 

上記の「無償・有利発行」パターンでも、取締役等の職務執行の対価としての性質を失うわけではないので報酬規制の対象となります。

 

以下、「シリーズ3 ストック・オプションと報酬規制」では、上記Aの論点である会社法上の報酬規制との関係について、「シリーズ4 ストック・オプションにおける報酬規制」では、上記@の論点である公正発行と有利発行について、解説していきます。

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