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ストック・オプション会計基準 −権利確定前−

3.権利確定前の会計処理

ストック・オプションはそもそも経営者・従業員のインセンティブ目的に付与されていますから、通常●●年経過後でないと権利できない、また、その●●年経過後や実際に権利行使するときに発行会社に在籍していないと権利行使できないなどの条件が付与されています。

 

そのため、通常のストック・オプションには、ストック・オプションの付与日から実際にストック・オプションを行使できる権利取得日(権利確定日)までの期間が存在します。このような、ストック・オプションと報酬関係にあるサービスの提供期間であり、付与日から権利確定日までの当該期間のことを「対象勤務期間」をいいます。

 

ストック・オプションは、当該対象勤務期間にかかる将来の労働サービスの対価として付与するものであるため、従業員等へストック・オプションを付与してから、当該ストック・オプションの権利確定日までの会計処理は下記のとおりとなります。

 

<権利確定日以前の会計処理の基本>

企業がストック・オプションを付与して、これに応じて従業員等から取得するサービスは、その取得に応じて費用として計上するとともに、対応する金額を、ストック・オプションの権利の行使または失効が確定するまでの間、貸借対照表の純資産の部に新株予約権として計上します。

(借方) 株式報酬費用 ××× (貸方) 新株予約権 ×××

 

認識と測定についての詳細は次のようになります。

 

■ 認識(どのようなタイミングで費用処理するか)

ストック・オプションの公正な評価額のうち、対象勤務期間を基礎とする方法その他合理的な方法に基づき、当期に発生したと認められる金額を、各会計期間において認識します。これは、労働サービスの対価を、発生主義の原則のもと費用配分した処理に他なりません。

 

■ 測定(いくらで計上するのか)

上記の公正な評価額は、「公正な評価単価 × ストック・オプション数」で算定します。

 

1) 公正な評価単価は、次のように算定します。

・付与日現在で算定し、条件変更の場合を除き、その後は見直しを行いません。

・具体的な評価方法は、見積もりに広く受け入れている算定技法(ブラック・ショールズモデルや格子モデルなど)を利用します。

なお、失効の見込みについては、ストック・オプション数に反映させるため、公正な評価単価の算定上は考慮しません。

 

2) ストック・オプション数は、次のように算定します。

ストック・オプションの付与数全部について費用計上するわけではありません。付与されたストック・オプションは、全員が行使できるわけではなく、例えば、権利確定日以前に退職してしまう方など付与者の中には途中で失効してしまう者もいるわけです。そのため、 ストック・オプション数は、「付与されたストック・オプション数(付与数)−権利不確定による失効見積数」によって算出します。

ただし、付与日から権利確定日の直前までの間に、権利不確定による失効の見積数に重要な変動が生じた場合には、これに応じてストック・オプション数を見直し、見直し後のストック・オプション数に基づくストック・オプションの公正な評価額に基づき、その期までに費用として計上すべき額と、これまでに計上した額との差額を見直した期の損益として計上します。

 

<具体例>

以上の内容を具体例で見てみます。

 

【条件】

付与数:従業員1名当たりに100個(1個に対して1株)

付与対象者:10名

オプション料:第三者機関によると公正な評価単価は4,000円/個と評価されている。

付与日:2007年7月1日

条件:付与日から2年経過後権利行使できる。なお、退職者は失効する。

 

【会計処理】

 ■2008年3月期

2009年6月末まで1名の退職を見込んでいる。

 

(借方) 株式報酬費用 13,500千円 (貸方) 新株予約権 13,500千円

 

4,000円/個×1,000個/名×(10名−1名)×9か月/24か月=13,500千円

勤務対象期間=24か月(2007年7月〜2009年6月)

 

■2009年3月期

見積もりに変更なし。

 

(借方) 株式報酬費用 18,000千円 (貸方) 新株予約権 18,000千円

 

「4,000円/個×1,000個/名×(10名−1名)×21か月/24か月」−2008年3月期計上分13,500千円=18,000千円

 

■2010年3月期

当期に5月に2名退職した。(実際の失効者は2名で確定)

 

(借方) 株式報酬費用 500千円 (貸方) 新株予約権 500千円

 

 「4,000円/個×1,000個/名×(10名−2名)×24か月/24か月」−「2008年3月期計上分13,500千円」−「2009年3月期計上分18,000千円」=500千円

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