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今日は、本日2月5日朝刊14面に掲載されていたセコムの話題からです。
【記事要約】
・セコムの2013年4ー12月期の連結経常利益は、前年同期比9%増の910億円前後になったようだ。
・国内はIDカードを組み合わせた警備システムや防災事業が伸びた。
・海外事業も堅調で、国内外の警備の契約件数は1年前と比べて7%増の255万件に達したようだ。
<日本経済新聞 2014年2月5日 朝刊14面より>
セコムの調子がよさそうですね。
以前のBizBlogで1度取り上げたことがあります。
このときは、セコムが中国で老人ホーム事業を展開する話で、内需型企業が海外にどんどん進出していく話題の1つとして取り上げていました。
今日は、最近のセコムの業績推移等を確認しようと思います。
まずは、セコムとの同業他社との比較をしてみようと思います。
セコム | 綜合警備保障 | セントラル警備保障 | |
証券番号 | 9735 | 2331 | 9740 |
決算期 |
3月期 |
3月期 |
2月期 |
予想売上高(百万円)※ |
809,400 |
330,000 |
41,400 |
予想営業利益(百万円)※ |
112,800 |
18,200 |
860 |
予想経常利益(百万円)※ |
115,900 |
20,000 |
1,040 |
予想当期純利益(百万円)※ |
66,100 |
10,800 |
510 |
予想営業利益率(%) | 13.93 | 5.51 | 2.07 |
直近海外売上高率(%) |
3.83 | 10%未満のため開示なし | 本邦以外に売上高なし |
【リソース】各社の直近の決算短信情報より。セコム、綜合警備保障は平成26年3月期、セントラル警備保障は平成26年2月期の連結業績予想を掲載。
相変わらず、セコムが規模や利益率ともにダンドツですね。
続けて、セコムの業績推移をみてみましょう。
【リソース】IKP財務データベースより。2014年3月期は予想値として決算短信より。
売上高の推移をみてみると、リーマンショック後で若干の落ち込みはあるものの安定推移していますね。セキュリティ関連はインフラ産業に近いですから、そこまで景気には左右されないのでしょうね。
直近では、セキュリティ以外の部分が伸びてきていますね。東電のデータセンターを2012年9月に買収したのが一定の寄与をしていますね。セキュリティ会社の中でセコムは多角化している唯一の企業と言えますが、その効果が出ています。
【リソース】IKP財務データベースより。2014年3月期は予想値として決算短信より。
利益推移も順調に伸びていますね。利益率も2ケタ以上の利益率をキープしており、優良企業と言えます。
【リソース】IKP財務データベースより。
キャッシュフローも潤沢に成長していますね。2013年3月期は東電からデータセンターを買収したのもあり、投資CFが大幅にマイナスとなっていますが、それを上回る営業活動CFを稼いでいますね。
【リソース】IKP財務データベースより。
総資本経常利益率(ROA)と自己資本当期純利益率(ROE)の推移も上昇傾向にありそうですね。特に、ROAは8%は超えてきており、財務改革が順調に進んでいる証拠とも言えますね。
【リソース】有価証券報告書より。
安定セグメントはセキュリティサービスであることはかわりませんが、それ以外の防災セグメントが直近では伸びているのがわかります。
【リソース】有価証券報告書より。
セグメントの100%分比グラフでセグメント割合の推移をみると。、徐々にセキュリティサービスの比率がさがっており、直近では60%を下回っています。セキュリティサービスは内需型サービスであり、人口減による内需低迷が予想される中で次の主軸を順調に成長させられているとも判断できます。
【リソース】有価証券報告書より。
最後にセグメント別の営業利益推移です。やはり稼ぎ頭はセキュリティサービスですね。一方で、不動産開発・販売セグメントの赤字が目立ちますね。2009年3月期、2013年3月期と大きな損失を出しており、安定したセグメントとは言えませんね。だた、防犯システム需要を確保するために不動産開発の前段階から関与する必要性もあり、この辺の経営判断は難しいところと言えます。
今後はITを駆使した情報産業や保険といった金融分野での収益確保が課題と言えるでしょう。もともと、防犯システムなどで高度な情報技術とその運用のノウハウを保有しているセコムにとって、実は情報産業は隣接産業と言えます。また、「安全」をドメインとして考える同社は、「生命の安全、暮らしの安全」という着眼点で、生命保険や損害保険にも展開しており、防犯サービスとのセットでの商品展開もしています。自社のセキュリティシステムとの組み合わせで保険料が変動する点などは一般的な損保では見られない独自の商品価値と言えるでしょう。
また、もう1つの課題は海外展開でしょうか。直近でも4%程度しか海外売上高比率がなく、海外展開が順調にできているとは言えません。警備保障は各国の警察・治安組織との連携が強い業種であることからセキュリティサービスなどのセグメントで展開していくのはナカナカ難しいところではあります。ただ、アジア各国が経済成長を遂げ成熟していく中で「防犯」に対する意識は変化していくことが考えられ、防犯セグメントやそれに関連する情報産業での進出は十分に考えられます。
セコムの今後の展開が楽しみですね。
以 上
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