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2014/01/29 IBMのPCサーバー事業 レノボが2400億円で買収

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今年は、IBMのサーバー事業売却のニュースからです。

 

【記事要約】


・中国パソコン大手レノボ・グループは23日、米IBMからパソコンをベースにした安価な「PCサーバー」事業を買収すると発表。買収額は23億ドル(約2400億円)で、今回の買収を機に企業向けサーバー事業に本格進出、パソコンや携帯電話など個人向けが主体だった事業構造の転換を進める。IBMは好採算のクラウド事業などに注力し、ハードウエア事業は高性能機に絞り込む。

・レノボはPCサーバー事業の関連資産、特許権利、生産や販売などの業務を買収する。従業員全7500人の雇用を引き継ぐ。米調査会社IDCによると、IBMは同分野で8.5%のシェアを占める世界3位。同2.6%で6位だったレノボは買収で大手の一角に急浮上する。

・レノボの成長を支えてきたのは、これまで総額2000億円以上を投じてきた企業買収だ。レノボは2005年、IBMのパソコン事業を全面買収11年にはNECとパソコン事業を統合し、さらにドイツやブラジルでも関連企業の買収を繰り返してきた

・13年にはパソコンの世界シェアが前年比2.1ポイント増の17.1%となり、米HPを抜いて年間で初の首位となった

・IBMはサーバーなどハード事業の不振が響き、13年10~12月期は7四半期連続で減収。13年通期は11年ぶりの減益決算となった。今後はクラウドや人工知能の商業利用拡大に活路を求める戦略で、事業売却で得た資金などをもとに事業構造の転換を急ぐ。

<日本経済新聞 2014年1月24日 朝刊7面より


 

IBMとレノボグループと言えば、2005年にIBMがパーソナルコンピュータ事業を当時の中国パソコン最大手、レノボグループに12億5,000万ドルで売却したニュースが記憶に新しいですね。

IBMのパソコンと言えば、ビジネス向けパソコンとして根強い人気のThinkPadがありましたので、ThinkPadブランドをもつパソコン事業を当時パソコン業界で存在感が薄かった中国のメーカーに売却するということで衝撃を受けたことを覚えています(当時筆者もThinkPadを愛用してました)。

筆者はそのニュースで初めてレノボという会社を知りましたが、当時レノボグループは、このIBMのパソコン事業の買収で、パソコン販売台数で、Dell、HPに次ぎ世界3位となりました。

それから10年後、今やレノボは、パソコンでHPを抜き世界首位にまで登りつめています。

そんなレノボの成功モデルを今度はレーバー事業でも実現することはできるのでしょうか。

 

今回のサーバー事業の売却で、IBMはほぼハードウェア関連事業から撤退した形になったわけですが、ここ数年の損益構造の変化をパソコン事業を売却した2005年付近から整理すると以下のとおりとなります。

 

サーバー事業を含むハードウェア部門である「Systems and Technology」は、パソコン事業「Personal Computing Division」売却後も縮小の一途をたどっています。2004年には、全体の18%近くの利益を「Systems and Technology」は稼いでいましたが、直近2012年には、5%までに落ち込んでいます。

非効率事業の売却資金を元手に、IBMの今の業績拡大を牽引している原動力である、ITサービスとソフトに集中するとともに、将来性のあるクラウド技術や人工知能技術に注力するわけですが、その意思決定の速さ、潔さには日本企業にはないものを感じます。

ここ10数年で、技術の成熟化およびエレクトロニクス産業のモジュール化の影響で、高性能なパソコンやサーバーなどのハードウェアもかなり安価になりました。このような技術力の優劣で、差別化が難しくなると、やはり人件費が安い、新興国メーカーが強くなる傾向になりますね。パソコンなどは特にその傾向が顕著で今後ハードウェアへの依存の高いHPやDELLなどがどのようにビジネスモデルの舵取りをするか注目です。 

この点、あらゆるエレクトロニクス産業に共通の課題で、数年前にあらゆる業界に地殻変動をもらたしたスマートフォンですらも最近では、端末というハードの点においては、アップルのシェアが低下していくのを見ていると、その波が押し寄せているように思います。

テレビもブラウン管テレビからデジタル製品である薄型テレビへシフトすることによるテレビ産業のモジュール化により、技術力による差別が難しくなり日本勢は窮地に追い込まれました。カメラ産業もフィルムカメラからデジタルカメラへシフトした結果、最近その傾向があるように思われます。

 

さらに自動車にもスマート化の動きがあり、筆者としては非常に気になります。

自動車がデジタル商品化すると、最終的は、クルマという箱モノ自体は、単なるハードとなり、最終的には自動車産業がモジュール化する可能性があるためです。

 

【記事要約】 


・自動車がインターネットに常時接続する「スマートカー」や関連サービスの市場が急拡大してきた。車とネットの融合をにらみ、米グーグルはホンダや米GMなどと提携した。ネット接続機能は自動運転技術に活用できるほか、車が集めるデータを使った新ビジネスの立ち上げにもつながる。世界で10億台が走るクルマの「頭脳」を巡り、自動車、IT両業界のせめぎ合いが始まった。

 

・クルマとITの融合。両業界が急接近している背景にはネット接続機能を備える車両の普及拡大がある。主導するのは欧米勢だ。

・海外で進むクルマとITの融合だが、日本勢を中心に自動車メーカーには「IT化も自分たちで進めたい」との声は多い。娯楽性の強い車内情報システムはともかく、その先の自動運転の分野を先行するグーグルに握られかねないとの警戒感が強いからだ。

・しかし、世界の自動車保有台数である10億台を上回る15億台のパソコンやスマホ(18億台)で経験を積むアプリ開発などを「自動車メーカーが一からやってもコストや時間がかかる」(ホンダ幹部)。ホンダはグーグルのほかにもアップルとも手を組み、「自動車ユーザーに好きなアプリを使える車を選択してもらう」(同)としてIT業界の力を取り入れながらクルマの新たな魅力づくりを進めていく考えだ。

・「単なる移動手段」から、IT業界との連携でクルマをどう変えるのか。「スマートカー」を巡り、自動車各社のアイデア勝負が始まった。

<日本経済新聞 2014年1月28日朝刊より


 

筆者注目のスマートカー業界の動きも含め、2014年もエレクトロニクス産業の動きを注目していきたいと思います。

 

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