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今日は、平成25年11月1日の日経朝刊19面のJTの記事からです。
【記事要約】
・日本たばこ産業(JT)が31日発表した2013年4-9月期の連結決算(国際会計基準)は、純利益が前年同期比41%増の2371億円だった。
・4-9月期としては過去最高。通期でも過去最高を更新する見通し。
・収益をけん引したのは海外たばこ事業。海外の営業利益は1867億円と29%増えた。
・一方、たばこ事業は低迷。同事業の営業利益は1322億円と3%減少。
・加工食品事業は前年同期に計上した水産事業からの撤退に伴う費用がなくなったことで、営業赤字幅が33億円縮小した。
・従業員の報酬引き上げについて「前向きに検討する」(宮崎秀樹副社長)との考えを明らかにした。
<日本経済新聞 2013年11月1日 朝刊19面より>
JTについては、2年ほど前になりますがBizBlogで復興財源の捻出に関連して記事にしたことがありました。
このときはバリュエーションの観点からJT株の価値について検討したものでした。
今回はJTの決算内容や事業内容についてチェックしてみたいと思います。
◆JT(日本たばこ産業)の財務ステータス
JTは2012年3月期よりIFRSに会計基準を変更しています。
このため、売上高に含められていた税金部分が取り除かれたことで、売上高は6兆円から2兆円程度まで大幅に下がっています。また、のれんの償却の影響も大きく、IFRS変更により、2012年3月期の有価証券報告書では、その影響額で2012年3月期ののれん償却額が82,547百万円減少(営業利益の上ブレ要因)となっています。
【リソース】IKP財務データベース
先のとおり、IFRS適用により2012年3月期より売上高が大幅に減少しています。
【リソース】IKP財務データベース
営業利益、最終利益についてはIFRSで大幅に増加しています。のれん償却額負担が軽減したのが大きな理由ですが、直近では約5300億円ほどになっています。リーマンショック時から2010年3月期に減少したのち、増加傾向にあります。
売上高営業利益率は売上高が減少したため当然増加していますが、約20%程度の利益率を維持しています。
【リソース】IKP財務データベース
ROA及びROEは2012年3月期により増加しています。のれん償却額が減少したことが主な要因と言えるでしょうが、ROAが徐々に高まっていることから順調な資産効率性の増加が見受けられます。
【リソース】有価証券報告書より(2013年3月期は飲料と食品加工を合算)
セグメント売上高をみると、「国内たばこ事業」と「海外たばこ事業」が大半を占めています。3期比較でみてみると、国内たばこ事業は減少傾向にあることがわかっています。これは最近の度重なる増税と健康志向が高まったこと、人口が減少していること等が要因であると考えられますね。
一方で、海外たばこ事業の売上高は1兆円程度をキープしているといえますが、若干の減少傾向にあります。
【リソース】有価証券報告書より(2013年3月期は飲料と加工食品を合算)
営業利益額は、国内たばこ事業で2012年3月期に約2000億円まで下がっているものの、2013年3月期には2400億円ほどまで回復しています。海外たばこ事業の営業利益も2011年3月期の水準まで回復しています。
一方で、医療事業、飲食・加工食品事業はマイナスであり、たばこ事業とは別事業を確立が急がれるでしょう。
【リソース】有価証券報告書より(2013年3月期は飲料と食品加工を合算)
セグメントごとの営業利益率をみると国内たばこ事業の方が海外たばこ事業よりも高いようです。
【リソース】有価証券報告書より
日本と海外の売上高比率をみると大体半々になっているみたいです。
増税や健康志向によって世界的にも需要は減少傾向にあります。日本国内でも減少傾向は既知の事実として認識されており、直近の第2四半期の決算説明会でも国内事業の縮小案について発表されていました。
【リソース】2014年3月期第2四半期決算発表説明資料「国内たばこ事業の更なる競争力強化」について p4
1996年に総需要3483億本だったのが、直近では1951億本まで減少しており、半分にまで減少しています。今後も減少傾向は続くことが予想され、それに対してコスト削減を図るため、現在25支店体制から15支社体制に移行、たばこ製造工場も郡山工場、浜松工場を廃止、たばこ関連工場も平塚工場、岡山印刷工場も廃止する予定となっています。これに伴い要員適正化を図るため1600人程度の希望退職の募集等を実施していきます。先手を打つことでコスト競争力を高めようとしています。
一方で、新興国では所得の上昇により単価上昇をもくろんでいるようです。「マイルドセブン」のブランドを「メビウス」に変更したこともそれの一手のようです。
海外ブランドでは、「マルボロ」を展開するフィリップモリスや、「KENT」「ラッキーストライク」を展開する英国のブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)などが展開しています。フィリップスモリスは約3兆円の売り上げで1つ頭を抜き出てますが、BATとJTは大体約2兆円ほどで推移しています。
JTでは海外展開を推進するために、「ウィンストン」を展開するRJRインターナショナル、「LD」を展開するギャラハーを買収して海外展開を強めています。
この間の決算発表会では、円安効果もあって2014年3月期では売上収益2兆3680億円、営業利益6320億円となるようです。国内たばこ需要の低迷を補う形で海外たばこ事業、食品セグメント等がどのように収益を確保できるのか、そこがポイントとなるでしょうか。また、規制業界であるし、またJT株はいまだに国が大株主となっています。以前のBizBlogの記事でも記載したとおり、JT株の売却による財源捻出の思惑はありますから、そういった動きも踏まえて注視していきたいところですね。
以 上
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