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2012/06/20 北越紀州製紙、大王製紙の筆頭株主に

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今日は、本日の日経朝刊1面の記事からです。

 

【記事要約】


・製紙業界5位の北越紀州製紙は4位の大王製紙の株式約2割を同社の創業家から取得し、筆頭株主となる方針を固めた。王子製紙、日本製紙グループ本社に次ぐ第3位連合が誕生する。大王製紙、前会長の巨額借入事件を機に深まった創業家との対立に終止符を打ち、北越紀州との提携で生き残りを目指す。

・大王製紙の創業家は保有する大王株すべての売却で最終調整、北越紀州は公正取引委員会による独占禁止法の審査を受けたうえで、大王製紙株式の約2割を約100億円で取得する。

・現在保有している大王株約3%と合わせると、大王への出資比率は2割を超える、また役員を派遣し持分法適用会社にすることも検討する。

・あわせて紙おむつやティッシュペーパーなどを製造する大王グループ18社の株式の大半を創業家から取得したうえで、大王へ売却、創業家との間で分裂状態にあった大王グループを、現経営陣のもとに一本化する。

北越紀州製紙は印刷用紙や菓子箱などに使う白板紙に強く、大王が得意な家庭用紙は生産していない、また主力工場が新潟県にあり首都圏に供給し易い北越紀州と、愛媛県に主力工場があり西日本に強い大王は地理的にも補完する

・3位連合の誕生で、製紙業界の再編が再び動き出す可能性がある。


 

製紙業界といば2006年に王子製紙が北越製紙に敵対的TOBをかけるも、ホワイトナイトとして三菱商事及び日本製紙が登場し失敗しました。その後、日本製紙と業務提携を締結するも、2009年に提携を解消するとともに、紀州製紙を完全子会社化、2011年に吸収合併し北越紀州製紙として現在に至ります。

そのほか、日本製紙とレンゴーが統合を模索しましたが白紙、三菱製紙と中越パルプ工業が合併計画を白紙撤回するなど、製紙業界の再編はいつもサプライズが多いような気がします。

 

今回の再編のニュースもサプライズでしたね。

洋紙大手4社のステータスを見てみます。レンゴーも製紙業界の大手(業界3位)ですが、板紙や段ボール専業のため、今回の比較から除いています。

 

王子製紙

日本製紙

グループ本社

大王製紙

北越紀州製紙
証券番号 3861 3893 3880 3865

直近売上高(百万円)

1,212,912

1,042,436

408,985

230,575

直近営業利益(百万円)

53,780

36,524

10,483

10,828

直近営業利益率(%) 4.43 3.50 2.56 4.69
直近経常利益(百万円)

48,375

6,057

4,748

13,906

直近当期純利益(百万円)

22,177

△41,675

△5,321

12,796

直近海外売上高比率(%)

10.56 12.05

海外売上高は

10%以下

海外売上高は

10%以下

※ 直近年度は24年3月期の決算短信の実績数値。

※ 海外売上高比率は、24年3月期の決算短信もしくは23年3月期有価証券報告書より算出。

 

輸入紙の増加による価格競争の激化、燃料費の高騰などで利益を圧迫されている中、規模こそ大きくはありませんが、北越紀州製紙の利益率は業界内では高水準のキープしていますね。

自己資本比率も高く、利益効率・財務基盤ともに北越製紙は業界内では安定しています。

 

今回の連合が実現すると、売上高規模は6400億円程度、ただし、業界2強の王子製紙、日本製紙グループ本社は1兆円規模ですからまだまだ規模では劣りますね。

大王製紙の前日の終値ベースで時価総額は、535億円程度(ただし自己株式控除前ベースで簡便的に計算)、よってその20%は、107億程度。

今回の報道によると創業家から約100億円程度で北越製紙が購入するとのことですので、これが実現するとプレミアムなし購入できることになり北越製紙にとってはお得な買い物になる可能性があります。

それだけ、創業家にとっても現経営陣との対立がが続くと、大王株式の毀損がすすむことになり、売り急いだということなのでしょうか。

 

昨日のBizBlogでもありましたが、モバイル端末の普及でますますペーパレス化が進むなどして市場が縮小するなか、起死回生するにはさらなる再編によりスケールメリットをとりにいくとともに、海外に活路を見出していく他がないと思います。

 

2012/06/19 凸版、100億円でデータ拠点、カタログの電子化・配信を受託

 

ただし、各社海外に積極的に工場を建設したり海外企業のM&Aなどに積極的ですが、海外売上高比率を見てみても、まだまだ海外展開が進んでいるとはいえません。

 

今後の製紙業界で勝ち組になれる企業が出てくるのか、各社の戦略と再編の動きに注目していたいと思います。

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