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今日は、日経朝刊15面の蛇の目ミシンの話題から。
<2012年6月1日 日経朝刊15面 要約記事>
・蛇の目ミシン工業の2013年3月期はロボット関連の営業利益が10億円程度と前期の2.4倍に増えそうだ。
・スマホ用の組立ロボットの需要が旺盛で販売台数の増加を見込む。
・同社の卓上ロボットは従来、国内生産が中心だったが、スマホ向けの需要拡大をにらみ、台湾などで価格競争力の高い製品を生産する案も検討している。
・自動車向けも需要が伸びる見通し。
・ロボット関連事業の売上構成比は1割弱にとどまるが採算がよく増益をけん引する要因となる。
<要約記事はここまで>
蛇の目ミシンと言えば、家庭用ミシンの国内大手ですね。
【リソース】蛇の目ミシン工業HP
◆蛇の目ミシンの業績推移
蛇の目ミシンの最近の業績推移は以下のとおりです。
他の企業と同様、リーマンショックによる売上は相当落ち込みましたが、最近では上昇してきています。
特徴的なのは利益率の改善でしょうか。
リーマンショック前では売上規模470億円程度で、来期予想は390億円程度なので売上はそれほど復活していませんが、利益水準では24億円を予想しており、リーマンショック前の2008年3月期が2%だった利益率が6%台となっています。
2012年3月期のセグメント売上をみると以下のとおりです。
日経の記事にもあったように、全体の約8割が家庭用ミシンで、産業機器は約14%程度しかありません。
しかし、セグメント営業利益率でみると、家庭用機器が6%程度であるのに対し、産業機器は約10%と非常に高い利益率をあげています。
地域別売上は以下のとおりです。
海外比率は6割強と海外展開が非常にすすんでいます。
北米、欧州(ロシアを含む)、その他地域と2割ずつぐらいのバランスのよい売上を計上しています。
なお、当社財務データベースは以下のとおりです。
【リソース】IKP財務データベースより(2012年3月期は有価証券報告書前によりデータ化されておりません)。
蛇の目ミシンの産業機器はこんな感じです。
蛇の目ミシンと競合する企業といえば、最近ではプリンタで有名なブラザー工業でしょうか。
ブラザー工業は事業基盤は通信・プリンティング事業ですが、皆さんご承知のとおり、発祥はミシン製造会社です。
ブラザー工業のセグメント売上は次のとおりです。
【リソース】2012年5月8日公表 ブラザー工業『2012年3月期決算説明資料』p27
売上全体の規模は5000億円であり、蛇の目ミシンとは全く規模が違いますね。
なお、家庭用ミシンは300億円程度の売上です。
蛇の目ミシンがセグメントで296億円なので、ブラザーの方が売上が高いことがわかります。
蛇の目ミシンの計画でも「国内市場でのトップシェア奪回を目指す」と書かれています。
なお、ブラザー工業はアパレル工場で使われる工業用ミシンでも220億円ほど売上を計上していますね。
最後にブラザー工業の財務データを掲載しておきます。
【リソース】IKP財務データベースより(2012年3月期は有価証券報告書前によりデータ化されておりません)。
国内需要が低迷していくことがわかっている中で、アジアを中心とした海外展開をどれだけ拡大できるのか、また、ミシン以外の高収益事業をうまく改題できるのか、そこが蛇の目ミシンのポイントでしょうか。
今後の展開に注視していきたいですね。
以 上
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