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今日は、日経朝刊10面の玩具大手の記事からです。
【記事要約】
・バンダイナムコホールディングスはアジア事業を強化する。主力の「機動戦士ガンダム」関連商品について、中国通販サイト「淘宝(タオバオ)」に出店。4月に香港でもガンプラの自社専用サイトを開設したほか、台湾やシンガポールでも同様のサイトを3年以内に開設、韓国では展開済み。百貨店が中心だった販路を広げ、3年後にアジアでのガンダム商品売上高を現在の約2倍の80億円に引き上げる。
・タカラトミーも主力玩具「プラレール」シリーズで年内にもアジアに投入する計画。同シリーズの海外売上高を2014年度に現在の7.5倍の45億円に引き上げる。タカラトミーの11年度海外売上高比率は36%と高い。今後は自社商品の強化により将来的に50%超を狙う。
・玩具大手は成長著しいアジア市場の開拓を急ぐ。
ここ最近、伝統的に内需産業といわれる日本企業の海外進出の記事を取り上げますが、今日は玩具メーカーです。
まずは玩具国内大手2社のステータスを簡単に俯瞰してみます。
バンダイナムコHD | タカラトミー | |
証券番号 | 7832 | 7867 |
売上高(百万円)※ |
454,210 |
187,265 |
営業利益(百万円)※ |
34,606 |
10,186 |
経常利益(百万円)※ |
34,960 |
9,823 |
当期純利益(百万円)※ |
19,303 |
3,679 |
営業利益率(%)※ | 7.61 | 5.43 |
海外売上高比率(%)※ | 17.96 | 36.17 |
年度個社財務情報(当社DB) | ||
主な玩具シリーズ | 機動戦士ガンダム、仮面ライダーシリーズ、スーパー戦隊シリーズ、プリキュアシリーズ、Power Rangersシリーズなど |
トミカ、プラレール、リカちゃん、トランスフォーマー、ベイブレード、デュエル・マスターズ、きかんしゃトーマスなど |
※ 24年3月期決算短信情報
バンダイナムコHDですが、2010年3月期の最終赤字を境に今期まで業績は回復傾向にあります。今期は特に仮面ライダーシリーズやスーパー戦隊シリーズのヒットや業務用ゲーム機「湾岸ミッドナイト マキシマムチューン4」などの人気シリーズの最新機器の投入などが功を奏したようです。
タカラトミーは、2010年3月期に営業利益は大きく回復しています。これは、現代版ベーゴマ「メタルファイトベイブレード」などの男児玩具事業でヒット商品を創出するとともに、事業構造改革・コスト削減の徹底によるもので、タカラとトミーの合併以降最高額を利益となりました。
なお、海外売上高比率をみるとタカラトミーの方が海外展開が進んでしますね。
特に昨年の2011年3月に米国NASDAQ市場の米国の玩具・乳幼児製品メーカーであるRC2コーポレーションを500億円程度で買収した案件の貢献が大きいようです。RC2コーポレーションは人気キャラクター「きかんしゃトーマス」のおもちゃを販売するメーカーで、北米を中心とした販売網を持っています。
最後に両者のここ3年のセグメント別業績および海外売上状況をグラフ化してみます。
<バンダイナムコHD>
【セグメント内容】
「トイホビー」…玩具、玩具菓子および自動販売機用商品等の製造販売
「コンテンツ」…業務用ゲーム機等の製造販売、家庭用ゲームソフト、映画関連作品の制作販売等
「アミューズメント施設」…アミューズメント施設の運営等
<タカラトミー>
タカラトミーはR2を買収の影響で2012年3月期の米国での売上高が急速に増加しています。しかし、利益での貢献はそれに比例しているかというとそうではないようです。
特に2社で共通していることなのですが、海外展開に力を入れていますが、利益を出せているのはアジア事業のみといっても過言ではない状況です。
やはり玩具はその国の文化の影響があるため、日本の玩具の展開においては北米や欧州よりもアジアでの展開の方が馴染むのかもしれませんね。
それを織り込んでか、アジアへの展開に力を入れているのかもしれません。今後も海外展開を加速していくにしても利益を出すのは容易ではないようです。
少子高齢化による日本の玩具市場の縮小は避けられないため、今後も日本の玩具メーカーの海外展開およびM&Aは加速していくでしょう。日本の玩具メーカーの海外戦略に注目です。
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