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今日は、日経朝刊9面のイオンのPB展開の記事から。
<2012年2月23日 日経朝刊9面 要約記事>
・イオンは今後2年でプライベートブランド(PB=自主企画)全約6000品目を全面改良する。高齢化や単身世帯の増加をにらみ、小容量タイプを増やすほか、塩分や油分を減らすなど健康志向に対応する。
・定期的な販促活動も始める。メーカー品の割安感も強まり、価格競争力だけでは市場拡大が期待できないと判断。
・イオンの「トップバリュ」は2011年度の売上高は前年比12%増の5500億円程度になるもようで、小売事業の10%を超える。
・今までは品目数を増やすことに注力したが、ここでブランド力の底上げを図る。
・消費志向が多用で、メーカー数が多い日本では持続的な成長が難しい。実際にイオンは10年度にPBの売上高を7500億円にする計画を打ち出したが未達だった。このため、商品改良や販促策で既存の商品のテコ入れし、ヒット商品を増やして全体を底上げする方針を切り替えた。
・また、消費者へのアピールも強める。同じ商品を並べるだけでは宣伝に力を入れるメーカー品に比べ、鮮度が低下する印象を与えるため。
<記事の要約はここまで>
小売のPB商品の売り出し方が変わってきそうですね。
◆小売のPB拡大志向
セブン&アイHDやイオンを含め、小売業態の収益拡大要因のひとつがPB商品の展開です。
日経の同面記事にPB拡大による収益拡大の記事も掲載されています。日経取り上げられた5社の財務情報をみると以下のとおり。
会社名 | セブン&アイHD | イオン | ローソン | コメリ | ゼビオ |
証券番号 |
3382 | 8267 | 2651 | 8218 | 8281 |
業界 |
総合小売大手 | 総合小売大手 | コンビニ | ホームセンター | スポーツ用品 |
決算期 |
平成24年2月期 | 平成24年2月期 | 平成24年2月期 | 平成24年3月期 | 平成24年3月期 |
予想売上高 (PB売上見通し) |
4兆7,800億円 (4,200億円) |
5兆1,700億円 (5,500億円) |
4,730億円 (1,000億円) |
3,160億円 (1,000億円程度) |
1,800億円 (350億円) |
予想経常利益 |
2,840億円 |
2,000億円 ~2,100億円 |
604億円 | 202億円 | 149億円 |
予想経常利益率 |
5.9% |
3.8~4.0% |
12.7% | 6.4% | 8.3% |
四半期DB | セブン&アイ.pdf | イオン.pdf | ローソン.pdf | コメリ.pdf | ゼビオ.pdf |
※PB売上見通しは日経の記事を転載。
PB商品は、メーカーブランド品と比較すると、「広告宣伝費を圧縮でき、値引きもほぼないため利益率が高い」(日経記事)ため、小売としては非常に魅力のある商品です。
このため、各社ともにPB比率を高めていく経営戦略をとっており、セブンでも前期比ぜ10%ほど引き上げていますし、ゼビオでは売上の2割程度をPB売上に引き上げてるようです。
ホームセンターのコメリでも工具や肥料、インテリア用品などでPBを拡充しているようです。
◆今後のPBの位置づけ
PB商品は、もともと、中小メーカーの未稼働工場や遊休設備を有効活用してPB商品を生産、小売りが一括買い上げすることで仕入価格を抑制することができ、メーカーブランドと比較すれば安い販売価格とすることができたため普及していったものです。
ただ、最近ではデフレ圧力もあって、メーカー品自体が安くなってきているためPB商品との価格差での魅力はなくなってきています。
このため、販促費をある程度かけていかないと想定しているほどのPB売上高まで成長させられなくなっています。
上記のとおり、PB商品は販促費をかけないで済んだ点が高利益率を確保する1つの要因であったことも考えると、販促費がかさみ結果的にPB商品を取り扱う魅力が落ちてくる可能性もあります。
結果として、今後の収益性に影響を与える可能性も否定できません。
PB商品そのものの地位が向上し、消費者のPB商品に対するイメージが定着してきている中で、小売サイドが今後どのようにPB商品を位置づけていくのか経営判断が伴うところですね。
また、日経の記事にも大手メーカーが開発に加わり品質が向上してきていることが取り上げられていましたが、メーカーサイドにとってPB商品への関わり方をどのように行うのか、PBそもののある種のブランディング化されている中で、メーカー側も経営判断を伴うものになってきているかと思います。
今後のPBを取り巻く環境に注視していきたいですね。
以 上
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